答弁本文情報
平成十五年六月二十四日受領答弁第五六号
内閣衆質一五六第五六号
平成十五年六月二十四日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員長妻昭君提出国家公務員の贈与等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出国家公務員の贈与等に関する質問に対する答弁書
一について
国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号。以下「倫理法」という。)は、第六条において、本省課長補佐級以上の職員に対し、事業者等から贈与等を受けた場合(贈与等により受けた利益等の価額が一件につき五千円を超える場合に限る。)には贈与等の報告を、第七条において、本省審議官級以上の職員に対し、前年に行った株券等の取得又は譲渡について株取引等の報告を、第八条において、本省審議官級以上の職員に対し、前年分の所得に係る金額等について所得等の報告を行う義務を課している。
贈与等の報告により報告すべき事項は、贈与等により受けた利益等の価額、贈与等により利益等を受けた年月日及びその基因となった事実、贈与等をした事業者等の名称及び住所等である。
株取引等の報告により報告すべき事項は、株取引等に係る株券等の種類、銘柄、数及び対価の額並びに株取引等の年月日である。
所得等の報告により報告すべき事項は、@前年分の所得に係る総所得金額及び山林所得金額に係る各種所得の金額等、A前年分の所得に係る各種所得の金額(退職所得の金額及び山林所得の金額を除く。)のうち、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の規定により、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二十二条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算される所得の金額等、B前年中において贈与により取得した財産に係る贈与税の課税価格である。
贈与等の報告の件数については、毎年、国会に報告しており、平成十二年度は一万七千五百七十四件、平成十三年度は一万六千六百三十四件である。なお、平成十四年度の報告の件数については、現在、審査・集計中である。
平成十二年度及び平成十三年度の贈与等の報告の内容について、贈与等の基因となった事実の種類等別の報告の件数を府省等別に示すと、別表第一のとおりである。
株取引等の報告の件数については、毎年、国会に報告しており、平成十二年は六十件、平成十三年は六十九件である。なお、平成十四年の報告の件数については、現在、審査・集計中である。
平成十二年及び平成十三年の株取引等の報告の内容について、その報告の件数を府省等別に示すと、別表第二のとおりであり、報告のあった株券等の種類、株取引等の回数並びに株券等の数及び対価の額を府省等別に示すと、別表第三のとおりである。
所得等の報告の件数については、毎年、国会に報告しており、平成十二年は千三百六十件、平成十三年は千二百九十九件である。なお、平成十四年の報告の件数については、現在、審査・集計中である。
平成十二年及び平成十三年の所得等の報告の内容について、その報告の件数及び報告のあった所得等の種類別の件数を府省等別に示すと、別表第四のとおりである。
経済産業省の職員から同省に提出された贈与等の報告の内容から、利害関係者と共に飲食をし、国家公務員倫理規程(平成十二年政令第百一号)に抵触する行為があったことが判明した事例が一件あった。
贈与等により受けた利益等の価額が一件につき二万円を超える贈与等報告書(以下「贈与等報告書」という。)のうち、@公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあるもの(倫理法第九条第二項第一号)、A公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるもの(同項第二号)については、同項ただし書の規定により、閲覧の対象とされていない。平成十二年度及び平成十三年度において同規定に該当するものとして閲覧の対象外となったものの府省等別の件数は、別表第五のとおりである。
贈与等報告書については、倫理法第九条第二項の規定に基づき何人も閲覧を請求することができることとされているが、一般に「閲覧」の中に「写しの交付」が含まれると解するのは困難であること、他の法令上、謄写等が認められる場合にはその旨が明記されていること等にかんがみると、同項の規定は贈与等報告書の写しの交付(以下「写しの交付」という。)を権利として保障しているものではないと考えている。
各府省等においては、このような考え方の下、その判断により写しの交付を行っている一部の府省等を除き、倫理法第九条第二項の規定による閲覧の際に、写しの交付を行っていないところである。
倫理法に基づく贈与等の報告、株取引等の報告及び所得等の報告に関する制度の運用について、現在のところ改善を検討している事項はない。