答弁本文情報
平成十六年二月十三日受領答弁第四号
内閣衆質一五九第四号
平成十六年二月十三日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員東門美津子君提出米軍基地に係る沖縄の負担軽減に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員東門美津子君提出米軍基地に係る沖縄の負担軽減に関する質問に対する答弁書
一について
アメリカ合衆国(以下「米国」という。)政府との間で行った検討の過程について公にすることは、米国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあることから、答弁を差し控えたい。
「国際情勢もあり厳しい問題がある」とは、普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)の使用期限の問題(以下「使用期限問題」という。)について、アジア太平洋地域には依然として不安定性や不確実性が存在していると言わざるを得ないという国際情勢を踏まえ、厳しい問題があるという認識を示したものである。国際情勢は多くの要因により変化するため、今後の国際情勢の変化を見通すことはできず、国際情勢の変化と使用期限問題の関係につきあらかじめ述べることは困難である。
使用期限問題については、「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(平成十一年十二月二十八日閣議決定。以下「閣議決定」という。)にあるとおり、政府として、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げてきており、沖縄の考えとして伝達しただけではない。
使用期限問題については、閣議決定において、「政府としては、代替施設の使用期限については、国際情勢もあり厳しい問題があるとの認識を有しているが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受け止め、これを米国政府との話し合いの中で取り上げるとともに、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していくこととする。」とされていることに従い、引き続き、適切に対処していく考えである。
代替施設に係る管理及び運営の在り方については、今後、関係機関と協議を行いつつ検討することとしており、お尋ねの点についてお答えする段階にはない。
普天間飛行場の移設・返還については、閣議決定に基づき、政府において代替施設の建設等に関する所要の取組を進めているところである。
お尋ねの陸上ヤードについては、閣議決定を踏まえ設置した代替施設建設協議会の第二回会合において、防衛庁から代替施設の建設に係る事業の進ちょく状況について報告する際に、仮に代替施設近傍の海域に埋立てにより設置することとした場合の範囲は、大浦湾西岸海域が考えられること等を説明したものであるが、その設置場所等については、今後、陸域の利用により確保することを含め、引き続き環境に十分配慮するとともに、地元地方公共団体の理解を得つつ検討することとしている。
また、閣議決定において、代替施設の建設に当たっては、環境影響評価を実施するとともに、その影響を最小限にとどめるための適切な対策を講じることとしているところであり、仮に陸上ヤードを代替施設近傍の海域に埋立てにより設置することとした場合においても、閣議決定を踏まえ適切に対処していく考えである。
小泉内閣総理大臣から、沖縄には我が国に駐留する米国軍隊(以下「在日米軍」という。)の施設・区域の七割以上が集中しているが、自分の内閣の大きな課題の一つは沖縄の人々の負担を軽減することであり、日米関係を強化するためにもこのことが重要であることを是非理解してほしい旨述べた。これを受けて、ラムズフェルド国防長官から、沖縄の問題については十分理解している旨の発言があった。
平成十三年六月三十日の会談では、小泉内閣総理大臣から、沖縄における在日米軍施設・区域の重要性を認識すると同時に、日本国内閣総理大臣として沖縄の気持ちも理解している、普天間飛行場の移設・返還については、使用期限問題が沖縄から提起されている、海兵隊の訓練を移転することについても要請がある、沖縄の在日米軍施設・区域に係る問題については両国の関係省庁で緊密に協議させたい旨述べた。ブッシュ大統領から、関係省庁に日本国政府と緊密に協力させる、使用期限問題は困難な問題である、普天間飛行場の移設・返還に関し、よく相談していきたい旨の発言があった。また、会談後公表された「安全と繁栄のためのパートナーシップ」において、「SACOプロセスの着実な実施により沖縄県民の負担を軽減するといった在日米軍に関連する問題に取組み、日米同盟を強化していくことが重要であることにつき意見の一致を見た。」とされた。
平成十四年二月十八日の会談では、小泉内閣総理大臣から、沖縄の負担を軽減するために閣僚間で議論させたい旨述べた。ブッシュ大統領から、沖縄については建設的な議論を行いたい、閣僚間でこの問題について緊密に協議していきたい旨の発言があった。
同年六月二十五日の会談では、小泉内閣総理大臣から、沖縄を始めとする在日米軍の問題は重要であり、外務大臣間で引き続き協議させていきたい旨述べた。
平成十五年五月二十三日の会談では、沖縄の負担軽減の重要性につき一致した。
同年十月十七日の会談では、小泉内閣総理大臣から、日米関係を一層強化するとの観点からも沖縄の在日米軍施設・区域の整理・縮小を進めなければならない、沖縄の問題を含め、安全保障の問題については事務当局間でよく話し合っていく必要がある旨述べた。ブッシュ大統領から、沖縄に係る種々の問題については日米間で協議を進める必要がある旨の発言があった。
アジア太平洋地域には依然として不安定性や不確実性が存在していると言わざるを得ず、今後とも、この地域における平和と安全が確保されていくことが極めて重要であると考えている。沖縄に駐留する海兵隊は、高い機動力、即応性等を通じ、在日米軍の重要な一翼を担っており、我が国及び極東の平和と安全の維持に寄与していると認識している。
米国政府との間での在日米軍の軍事態勢の見直しに関する協議については、我が国及び極東の平和と安全のため在日米軍が有している抑止力が効率的に維持されるとともに、沖縄を含む在日米軍施設・区域の所在する地元地方公共団体の負担を十分念頭に置いた検討作業が行われるべきであると考えており、このような観点から協議を進めていく考えである。