答弁本文情報
平成十六年二月二十四日受領答弁第一八号
内閣衆質一五九第一八号
平成十六年二月二十四日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員首藤信彦君提出奥、井ノ上二名の外交官銃撃事件の真相解明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員首藤信彦君提出奥、井ノ上二名の外交官銃撃事件の真相解明に関する質問に対する答弁書
一について
我が国は、事件発生直後から、アメリカ合衆国軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)、連合暫定施政当局(CPA)、現地の警察等から、随時、情報の提供を受けているほか、独自の調査も行っているが、現時点で、事件発生時刻を特定できる状況にはない。
在イラク日本国大使館の上村参事官が連合暫定施政当局から、「ティクリート付近で日本人らしき者二名が殺害され、運転手が重体(意識不明)である」との連絡を受けたのは、現地時間二千三年十一月二十九日午後六時四十分頃(日本時間同月三十日午前零時四十分頃)である。
外務省中東アフリカ局長が上村参事官から二についてでお答えした内容の連絡を受けたのは、日本時間二千三年十一月三十日の午前一時頃であり、その後、遅滞なく、同局長から同局中東第二課等の関係者にその内容の連絡を行った。
内閣官房長官が秘書官を通じて二についてでお答えした内容の連絡を受けたのは、日本時間二千三年十一月三十日の午前二時過ぎである。
内閣総理大臣が秘書官を通じて二についてでお答えした内容の連絡を受けたのは、日本時間二千三年十一月三十日の午前二時過ぎである。
写真の一部を公開できないのは、現在、関係者の協力を得て行っている捜査を含む真相究明に支障を来すおそれがあるからである。事件の重大性にかんがみ、真相究明に資するような一定の進展があった場合には、可能な範囲で御説明してきているところであるが、現在も真相究明に向けた捜査等が継続していることから、情報の取扱いには慎重を期す必要があると考える。
お尋ねの合衆国軍隊又は連合暫定施政当局の公式報告が、具体的にどのようなものを想定しているのか必ずしも明らかでないが、いずれにせよ、提供を受けた情報の内容を明らかにすることは、相手方との信頼関係を損なうおそれがあり、また、捜査を含む真相究明に支障を来すおそれがあるため、お答えを差し控えたい。
事件に遭遇した職員全員が既に死亡していることから、奥大使及び井ノ上書記官が事件当時に何を携行していたのかを完全に把握することはできず、回収されていない遺留品のすべてを確定することは困難である。
お尋ねの車両の移送については、現地の治安等、種々の制約がある点を御理解いただきたいが、我が国警察当局による検証等を行うため、できるだけ速やかに我が国に移送したいと考えており、所要の準備を行っているところである。
なお、お尋ねの車両は、関係者の協力を得て行っている捜査等の対象となっているものであり、現時点でその公開については確定的に申し上げられない。
弾丸の金属成分については、現在、鑑定を継続中である。司法解剖の際に摘出された資料二十点及び被害車両から発見された資料一点のうち、発射された弾丸の一部と認められた六点の資料の重量は、それぞれ、約〇・〇七グラム、約〇・二〇グラム、約〇・四三グラム、約一・〇三グラム、約一・五六グラム及び約二・五四グラムである。
政府は、実行犯の特定を含む事件の真相究明を強く望んでおり、現地の関係当局とも引き続き緊密に連絡を取りつつ真相究明に努めているところである。
他方、車両に残された弾痕が車左面に集中していること等から、奥大使及び井ノ上書記官は乗車中に併走する車両から銃撃されたものと考えられるほか、現金等の遺留品が回収されている点など、現在まで得られた種々の情報を総合して勘案すれば、テロリストによる犯行の可能性が高いと判断している。
なお、御指摘の合衆国軍隊の誤射説がどのような根拠に基づくものであるか、これまでまったく明らかでなく、政府としてそのような説に与していないが、いずれにせよ、事件発生直後から、我が国は独自の情報収集を行うとともに、合衆国軍隊、連合暫定施政当局、現地の警察等から情報提供を受けているものの、合衆国軍隊による誤射を示唆する内容のものには一切接していないところである。
現在、現地の内務省及び警察が中心となって捜査を行っており、合衆国軍隊及び連合暫定施政当局からも最大限の協力を得ているほか、我が国独自の情報収集も行っているところであるが、その具体的方法については、関係者の協力を得て行っている捜査を含む真相究明に支障を来すおそれがあり、お答えを差し控えたい。
政府は、本事件の実行犯の特定を含む事件の真相究明を強く望んでおり、現地の関係当局とも引き続き緊密に連絡を取りつつ真相究明に努めているところであるが、いつの時点で捜査の結論が出るかを予断することはできない。