答弁本文情報
平成十六年六月二十二日受領答弁第一二五号
内閣衆質一五九第一二五号
平成十六年六月二十二日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木康友君提出法人税法における公示制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木康友君提出法人税法における公示制度に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの法人税の公示制度は、法人税についての申告所得金額が一定の金額を超える納税者の当該申告所得金額を公示する制度であり、所得税、相続税及び贈与税における制度と同様に、第三者による監視という牽制的効果により、適正な申告の確保を図ることを目的としている。
公示制度は、公示を端緒として税務執行当局に脱税等に関する有力な情報が寄せられる場合があることや納税者が自ら正確な申告を行うことを間接的に促進する効果が期待できることから、適正な申告を確保する上で一定の役割を果たしていると考えている。一方、公示制度については、税制調査会答申(平成十四年十一月十九日)において「同制度については、所期の目的外に利用されている面があることや、犯罪や嫌がらせの誘発の要因となり、個人のプライバシーへの配慮の観点からは問題が多いと考える。また、第三者による監視という制度本来の意義に疑問が呈されており、今後、制度の廃止を含めて検討する必要があろう。」との指摘がされている。さらに、「その際、国民一般から見て申告納税制度の信頼度が低下することは好ましくないため、公示制度の廃止の代替という観点からも、グローバル化や情報化・電子化の進展と対応して、資料情報制度の充実等納税環境整備についてあわせて検討する必要がある。」と指摘されているところである。
税制調査会答申の指摘のうち、個人のプライバシーへの配慮の観点については、主として所得税、相続税及び贈与税の公示制度における問題であると考えられるが、これらの指摘を踏まえ、法人税の公示制度の在り方についても、今後所得税等の公示制度と併せて検討してまいりたい。
法人税の公示制度は、法人税についての申告所得金額が一定の金額を超える納税者のすべてについて、その申告所得金額を公示することにより、第三者による監視という牽制的効果を通じて適正な申告の確保を図ることを目的とするものであり、納税者に公示を拒否する権限を与えることは、公示制度の目的が果たせなくなることから適当でない。
また、公示の基準金額については、第三者による監視という牽制的効果の実効性の確保や税務執行上の事務負担を勘案しつつ定めているものであり、中小企業者の育成や保護という観点からその額を定めることは適当でない。
いずれにせよ、一についてで述べたとおり、法人税の公示制度の在り方については、税制調査会答申の指摘を踏まえ、今後所得税等の公示制度と併せて検討してまいりたい。