衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十六年八月三十一日受領
答弁第七〇号

  内閣衆質一六〇第七〇号
  平成十六年八月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員川内博史君提出ドミニカ移住者問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川内博史君提出ドミニカ移住者問題に関する質問に対する答弁書



一について

 一般論として、スミニストロ又はエントレガすなわち提供又は供与という言葉は、スペイン語においても日本語においても、有償か無償かを問うものではなく、また、エナヘナシオンすなわち譲渡という意味で用いられることを排除するものではない。他方、外交文書や外交交渉において使われるこれらの文言の意味については、通常、当事国の意図や交渉の経緯等についても考慮し、個別にこれを判断する必要があると考える。
 我が国政府としては、昭和二十九年十一月の会談において、ドミニカ共和国のトルヒーリョ元帥から上塚司衆議院外務委員長に対し、日本人移住者をドミニカ共和国に受け入れたいとの申出があり、土地を無償提供すること等の表明がなされたこと、翌昭和三十年九月のトルヒーリョ元帥といわゆる吉岡調査団との会談において、トルヒーリョ元帥から吉岡調査団長に対し、スペイン人移住者と対等な条件を与えることの表明がなされたこと、スペイン人移住者は入植後一定期間経過後、土地の無償譲渡を受けることになっていたこと等にかんがみ、日本人移住者が雇用農ではなく開拓自営農として自ら土地を所有して農業を営むことを前提として、受入条件等につきドミニカ共和国政府と累次にわたる協議を行った。その結果、昭和三十一年三月十二日に、在ドミニカ共和国日本国公使館吉田公使がドミニカ共和国のメルカード農務大臣と会談し、日本人移住者の具体的な受入条件等につき大筋で合意に達した。その後、同月二十七日付けのメルカード農務大臣発吉田公使あて書簡が発出された段階で、両国政府間の合意内容が実質的に確定された。お尋ねの供与の意味について明示的に記した外交文書は見当たらないが、このような経緯にかんがみ、我が国政府としては、同書簡においてドミニカ共和国側が日本人移住者に約束した土地の供与とは、土地の所有権を移住者に無償譲渡することを意味すると理解している。これは、当時から現在まで一貫した政府の考え方である。

二について

 一についてで述べたとおり、我が国政府としては、ドミニカ共和国側が日本人移住者に約束した土地の供与とは、土地の所有権を移住者に無償譲渡することを意味すると理解している。日本人移住者が入植後、直ちに土地の所有権を得られたわけでないことは御指摘のとおりであるが、所有権という言葉をお尋ねのように「ある一定期間経過後に所有権が発生する権利」という意味で用いたわけではない。

三について

 「開拓自営農」という言葉に一般的に確立した定義は無いが、雇用農ではなく自ら土地を所有して農業を営む者というような意味で用いた。
 ドミニカ共和国への移住のための募集要項のうち、ダハボン地区の第一次の募集要項において、土地の所有権が譲渡されることとなる時期に関する言及が無かったことは御指摘のとおりであるが、日本人移住者は入植後相当期間農業に従事することが前提とされており、また、ドミニカ共和国政府としても、日本人移住者に対して土地の所有権を無償譲渡する意図を有していたことは、その後の我が国政府とドミニカ共和国政府との間の協議においても明らかであるので、御指摘のような言及が無かったことが不当であるとまでは言えないと考える。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.