答弁本文情報
平成十七年四月二十二日受領答弁第五〇号
内閣衆質一六二第五〇号
平成十七年四月二十二日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員赤嶺政賢君提出在外被爆者保健医療助成事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員赤嶺政賢君提出在外被爆者保健医療助成事業に関する質問に対する答弁書
一及び九について
「在外被爆者保健医療助成事業実施要綱」(平成十六年十二月二十一日付け健発第一二二一〇〇四号厚生労働省健康局長通知の別紙一)に基づく在外被爆者保健医療助成事業(以下「本事業」という。)については、その適正かつ迅速な実施を図るため、これまで「在外被爆者渡日支援等事業実施要綱」(平成十四年五月三十一日付け健発第〇五三一〇〇三号厚生労働省健康局長通知の別紙)等に基づき、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾により被爆した者であって日本国内に居住地又は現在地を有しないもの(以下「在外被爆者」という。)に対し、在外被爆者の居住国において健康相談事業等を実施してきている広島県及び長崎県並びに広島市(以下「広島県等」という。)が実施主体となっている。また、本事業による助成費の支給に関する審査及び支払に関する業務について、広島県及び広島市は、在外被爆者の健康状態の調査等に実績を有する財団法人日本公衆衛生協会に、長崎県は、大韓民国赤十字社に、それぞれ委託するとともに、それぞれ当該業務の監督、指導等を行っているところである。
在外被爆者に対しては、その健康の保持及び増進を図ることを目的として、平成十四年度に在外被爆者渡日支援等事業実施要綱を定め、健康相談等の支援を行ってきたところであるが、在外被爆者の高齢化が進んでいることから、健康上の理由により来日が困難な者も含め在外被爆者の支援を図るため、在外被爆者保健医療助成事業実施要綱を定め、平成十六年度予算において、在外被爆者(原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号。以下「法」という。)第二条に規定する被爆者健康手帳の交付を受けている者又は在外被爆者渡日支援等事業実施要綱の三の(六)のアに規定する被爆確認証(以下単に「被爆確認証」という。)の交付を受けている者に限る。)の居住国の医療機関において必要な医療を受けた場合の医療費等について、支援を行うこととした。
また、本事業においては、在外被爆者一人当たりの年間の助成の上限額を原則として十三万円としている。
在外被爆者の居住国別の人数については、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令(平成七年政令第二十六号)第二条に規定する被爆者健康手帳交付台帳を基にした都道府県並びに広島市及び長崎市からの報告で把握できる範囲でお答えすると、平成十六年十二月三十一日時点における被爆者健康手帳の交付を受けた在外被爆者の居住国別の人数は、大韓民国約二千三百人、アメリカ合衆国約八百七十人、ブラジル約百四十人、その他約三十か国約二百二十人となっている。
本事業の対象者は、被爆者健康手帳の交付を受けている在外被爆者又は健康上の理由により来日できない者に対し交付される被爆確認証の交付を受けている在外被爆者である。したがって、お尋ねの場合については、被爆確認証の交付を受ければ、本事業の対象者となる。
在外被爆者の居住国は、三十か国以上にわたっており、公的医療保険制度が充実している国から必ずしもそうではない国まで様々であると承知している。また、お尋ねの場合については、医療事情等に照らし、特例として、在外被爆者が支払った民間保険会社の医療保険の保険料について助成を行うこととなっている。
法第三章(第五節を除く。)の規定により都道府県並びに広島市及び長崎市が行う各種の手当の支給等の援護に関する事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務であり、法第三章第五節の規定により都道府県並びに広島市及び長崎市が行う相談等の援護に関する事務は、同条第八項に規定する自治事務である。
在外被爆者に対しては、平成十四年度以降、その健康の保持及び増進を図ることを目的として、在外被爆者渡日支援等事業実施要綱に基づく事業により、健康相談等の支援を行っているところであり、本事業もこれと目的を同じくするものであることから、この在外被爆者渡日支援等事業実施要綱に基づく事業として位置付け、予算措置を講じている。
広島県等における本事業に関する事務は、地方自治法第二条第九項各号に掲げる事務には該当しないことから、同条第八項に規定する自治事務である。また、被爆者に対する援護については、事業の内容等に応じて、都道府県並びに広島市及び長崎市と連携を図りながら実施すべきものであり、必ずしも法定受託事務として実施しなければならないものとは考えていない。
本事業の実施に当たって、どのような訴訟が提起されるのかをあらかじめ想定することは、困難であると考えており、お尋ねの地方公共団体の訴訟に係る対応及び費用等の負担並びに本事業が法定受託事務であるか自治事務であるかによる責任等の差異についてお答えすることは困難である。
本事業は、平成十六年度予算において創設されたばかりであり、実施状況等を踏まえ、適切に対応したいと考えている。