答弁本文情報
平成十八年一月三十一日受領答弁第三号
内閣衆質一六四第三号
平成十八年一月三十一日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出在上海総領事館員自殺事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出在上海総領事館員自殺事件に関する質問に対する答弁書
一について
国益とは、一般に、国家の利益を意味するものと承知している。
プライバシーとは、一般に、個人に関する私的な領域の事柄について、他人の干渉を許さず、それによって人格の自律性及び私生活の平穏を保持する利益を意味するものと承知している。
御指摘のプレスリリースにある記述は、政府の見解である。
領事関係に関するウィーン条約(昭和五十八年条約第十四号。以下「ウィーン条約」という。)は、領事関係をめぐる国家間の権利義務関係を定めており、ウィーン条約第四十条は、接受国は、相応の敬意をもって領事官を待遇するとともに、領事官の身体、自由又は尊厳に対するいかなる侵害も防止するためすべての適当な措置をとる旨を規定している。
お尋ねの「義務違反が確定されている」の意味が必ずしも明らかではないが、平成十六年五月六日における在上海総領事館館員(以下「館員」という。)の死亡の背景には、館員の遺書の内容から、現地の中国側公安当局関係者による、こうした接受国の義務に反する遺憾な行為があったと考えている。
館員は遺書を残しており、その写しが外務省に存在するが、遺書の内容等の詳細については、諜報活動及びその対応措置や館員のプライバシーにかかわるものであり、また、御遺族の意向もあり、明らかにすることは差し控えたい。
他方、我が国政府としては、遺書の内容から、現地の中国側公安当局関係者による、ウィーン条約上の接受国の義務に反する遺憾な行為があったと考えている。
平成十八年一月十一日の記者会見において、鹿取克章外務報道官が御指摘の発言を行ったことは事実であり、館員の死亡事件発生当時、秘書官に対するものを含め、外務省から内閣総理大臣官邸への報告は行われていない。
館員が死亡した平成十六年五月六日の夕刻、在上海総領事館から外務本省に対する公電による第一報が到着し、また、同日後刻、公電による第二報が到着し、より詳しい報告が行われた。これらの公電の転電先については、外務省の今後の業務遂行に支障を来すおそれがあることから、明らかにすることは差し控えたい。
八についてで述べた公電の主管課は大臣官房人事課であり、配付先の決定者は人事課長であるが、個々の公電の政府部内での配付先については、外務省の今後の業務遂行に支障を来すおそれがあることから、明らかにすることは差し控えたい。
御指摘のような決裁書を作成した事実はない。なお、館員の死亡事件発生後、中国に対する厳重な抗議及び事実関係の究明の要請、御遺族との関係等については、担当部署においてそれぞれ対応した。