答弁本文情報
平成十八年六月十六日受領答弁第三〇八号
内閣衆質一六四第三〇八号
平成十八年六月十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員野田佳彦君提出サンフランシスコ平和条約第十一条の解釈ならびに「A級戦犯」への追悼行為に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員野田佳彦君提出サンフランシスコ平和条約第十一条の解釈ならびに「A級戦犯」への追悼行為に関する質問に対する答弁書
一の1及び2について
極東国際軍事裁判所の裁判については、法的な諸問題に関して種々の議論があることは承知しているが、我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「平和条約」という。)第十一条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾している。御指摘の答弁はいずれも、この趣旨を述べたものであり、その意味において相違はない。
極東国際軍事裁判所において、ウェッブ裁判長は、judgmentを英語で読み上げた。我が国は、平和条約第十一条により、このjudgmentを受諾しており、仏語文の平和条約第十一条も同じ意味と解される。なお、judgmentに裁判との語を当てることに何ら問題はない。
全国戦没者追悼式においては、「全国戦没者追悼式の実施に関する件」(昭和三十八年五月十四日閣議決定)における「支那事変以降の戦争による死没者」について、戦没者という全体的な概念でとらえて、追悼しているものであり、追悼の対象とする個人を特定しているものではない。
天皇及び皇后の靖国神社への公式参拝については、具体的な問題となっていないこともあり、お答えすることは差し控えたい。
内閣総理大臣の靖国神社への公式参拝は、戦没者一般を追悼するために行うものであり、同神社に合祀されている個々の戦没者に対して行うものではない。なお、内閣総理大臣の公式参拝は制度化されたものではないので、諸般の事情を総合的に考慮して、その都度、実施すべきか否かを判断すべきものと考える。