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答弁本文情報

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平成十八年六月二十二日受領
答弁第三五九号

  内閣衆質一六四第三五九号
  平成十八年六月二十二日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員柚木道義君提出少年法改正案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員柚木道義君提出少年法改正案に関する質問に対する答弁書



一について

 児童相談所における非行相談の受付件数は、昭和五十九年度において二万九千五百八十九件であったものが、平成十六年度には一万八千三百六十二件と減少している。一方、児童自立支援施設の入所児童について、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)に基づく家庭裁判所の保護処分により入所してきた児童の数は、昭和五十八年度においては三百五十七人であったものが、平成十五年度には三百八十四人と若干増加している。いずれにしても、厚生労働省においては、右に述べたような児童相談所や児童自立支援施設の状況から一概に子どもたちが凶悪化したか否かについての判断を行うことは困難であると考えている。

二について

 児童相談所では、非行少年(触法少年を含む。以下同じ。)に関する相談を含む子どもに関する相談に対し、児童福祉司や児童心理司等の職員を増員することにより対応していると承知している。
 また、児童自立支援施設では、非行少年に対し、個々の状況に応じて必要な指導を行うため、心理療法担当職員等を配置し、対応を図っていると承知している。

三について

 第百六十四回国会に提出された少年法等の一部を改正する法律案(以下「本法案」という。)は、触法少年及びぐ犯少年(以下「触法少年等」という。)に係る事件についての警察による調査の手続を整備すること、触法少年に係る殺人、傷害致死、強盗等の重大事件について、児童相談所長等は原則として家庭裁判所に送致すること、少年院の入院年齢の下限を撤廃し、触法少年に対しても、家庭裁判所が特に必要と認める場合に限り、少年院送致の保護処分をすることができるようにすること、保護観察に付された者に対する指導を一層効果的にするための措置を整備すること等を内容とするものである。
 これらの改正は、事実解明を徹底し、触法少年等により適切な処遇を行う観点から調査の充実を図ること、個々の非行少年にとって、より適切な処遇が行われるよう処遇の選択肢を広げること等、少年の自立更生の観点から意義があるものであり、児童福祉の後退とは考えていない。

四について

 児童相談所においては、今までも児童福祉の観点から、非行の問題に対し、相談や調査、それに基づく指導等、必要な対応を図ってきているところであり、こうした児童相談所における対応については、本法案によってぐ犯少年に対する警察による調査手続が整備されることにより、後退するものではないと理解している。児童相談所では十分対応し難い事項について、警察の調査結果を参考にすることは、児童相談所の調査の一層の充実に資するものと考えており、児童福祉の後退とは考えていない。

五について

 被虐待経験が子どもの非行と関係があるという見解があることは承知しているが、子どもの非行については、家庭、学校、地域社会等の問題が複雑に絡み合っており、被虐待経験が非行と関係があるかどうかについて一概にお答えすることはできない。

六について

 児童相談所における相談体制の整備については、相談件数の増加等にかんがみ、平成十七年三月、児童福祉法施行令(昭和二十三年政令第七十四号)の一部を改正し、児童福祉司の担当区域を定める基準について、従来の「人口おおむね十万から十三万までを標準として定めるものとする」を「人口おおむね五万から八万までを標準として定めるものとする」こととし、同年四月一日から施行したところである。
 また、平成十七年度から、児童相談所において、夜間休日を問わず相談できる体制を確保するため、夜間や休日に対応する職員の配置を行うことを推進するための助成を行い、体制整備を図っているところである。

七について

 御指摘の「被暗示性・被誘導性が強い」というような見解があることは承知している。また、子どもは、心身が発達過程にあり、言語による自己表現が不十分である等の特性を有すると言われており、児童相談所の職員等が対応する場合には、このような特性に配慮することとしている。

八について

 厚生労働省においては、現時点では御指摘のような「聴取マニュアル」の作成は考えていないが、今後とも警察庁と連携を取りつつ子どもの特性に配慮した対応ができるよう努めてまいりたい。

九について

 警察による調査については、厚生労働省において所掌しておらず、お尋ねについてお答えすることを差し控えたい。なお、本法案における調査については、事案の真相を明らかにし、もって少年の健全な育成のための措置に資することを目的として行うものであり、少年の心理その他の特性に関する専門的知識を有する警察職員(警察官を除く。)に調査をさせることができることとするなど、少年の特性に応じた調査が行われるよう配慮しているところである。



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