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答弁本文情報

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平成十八年十月六日受領
答弁第一四号

  内閣衆質一六五第一四号
  平成十八年十月六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員川内博史君提出国際条約及び諸外国の法律における著作権及び著作隣接権の保護期間の規定等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員川内博史君提出国際条約及び諸外国の法律における著作権及び著作隣接権の保護期間の規定等に関する質問に対する答弁書



一について

 著作権の保護期間は、文化的所産である著作物については、著作者等の権利を保護する一方で、一定期間経過後においては、その権利を消滅させることにより、社会全体の共有財産として利用できるようにすることが適当であることから設けられたものである。

二の1)について

 著作権の保護期間を著作者の生存の間及びその死後五十年とする旨を定めた千八百九十六年五月四日にパリで補足され、千九百八年十一月十三日にベルリンで改正され、千九百十四年三月二十日にベルヌで補足され並びに千九百二十八年六月二日にローマで、千九百四十八年六月二十六日にブラッセルで、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十一年七月二十四日にパリで改正された千八百八十六年九月九日の文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(昭和五十年条約第四号。以下「ベルヌ条約」という。)第七条(1)の規定は、千九百四十八年六月二十六日のブラッセルでの改正において設けられたものである。本改正に当たっては、著作権の保護期間について、著作者とその直系の子及び孫の三世代の平均的な生存期間を含むためには著作者の死後五十年とすることが妥当であると考える国が多く、そのような国に合わせることとしたものと承知している。

二の2)について

 ベルヌ条約の目的は文学的及び美術的著作物に関する著作者の権利の保護であるため、最低限の保護期間のみを定め、各国においてベルヌ条約において規定するより長い著作権の保護期間を定めることを許容したものと考えられる。

二の3)について

 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一C)(平成六年条約第十五号。以下「TRIPs協定」という。)第十二条は、著作権の保護期間について、少なくとも五十年と規定していること、同協定第九条1において、加盟国は、千九百七十一年のベルヌ条約の第一条から第二十一条まで及び附属書の規定を遵守すると規定されていることなどから、TRIPs協定にベルヌ条約第七条(6)と同様の規定が存在しないとは単純には言えない。

三の一の1)から6)まで及び三の二について

 御指摘の点については、いずれも承知していない。

四の一の1)について

 御指摘の規定について詳細は承知していないが、一定の場合に、著作者等の相続人その他の権利譲受人に与えられる権利は、著作者等がフランスのために死亡したことが死亡証明書から判明する場合には、さらに三十年の期間だけ延長されるという内容であると承知している。その立法趣旨については承知していない。また、フランス以外に御指摘のような特例を定める国が存在するか否かについても承知していない。

四の一の2)について

 御指摘の規定について詳細は承知していないが、ジェームズ・マシュー・バリー卿作の劇「ピーター・パン」又はその著作物のいずれかの翻案の公の実演等についての使用料の請求権を、その著作物の著作権が消滅したにかかわらず、ロンドン市グレート・オーモンド街の小児病院のために被信託人に付与するという内容であると承知している。その立法趣旨については承知していない。

四の二について

 四の一の1)で御指摘のフランスの特例及び四の一の2)で御指摘の英国の特例について詳細を承知していないので、これらの規定のベルヌ条約又はTRIPs協定上の位置付けについてお答えすることは困難である。
 御指摘の米国の法案は、基本的には、米国の著作物の著作権の効力を維持するためにはその最初の発行の五十年後及びそれから著作権保護期間終了までの十年毎に所定の著作権管理費を米国著作権局に納付する義務があり、その納付期限及び六か月間の猶予期間内に著作権管理費を納付しない場合は、猶予期間の終了時点で著作権は効力を失うという内容であると承知しているが、その詳細を承知していないので、同法案と同様の制度がベルヌ条約又はTRIPs協定に違反するか否かについてお答えすることは困難である。

五について

 御指摘の点については、いずれも承知していない。

六の1)について

 欧州委員会(以下「EC」という。)が著作隣接権の保護期間延長を断念した理由について詳細は承知していないが、二千四年七月にECがとりまとめた「著作権及び関連する権利の分野におけるECの法的枠組みのレビューに関するスタッフ・ワーキングペーパー」には、域内には保護期間延長について賛成意見も反対意見もあり、現時点では変更のための期が熟していないと考えられ、更に市場の動向を監視・研究すべきであるためである旨が記載されていることは承知している。

六の2)について

 御指摘の点について詳細を承知していないので、お答えすることは困難である。



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