答弁本文情報
平成十八年十月二十七日受領答弁第九〇号
内閣衆質一六五第九〇号
平成十八年十月二十七日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員末松義規君提出「新型インフルエンザ」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員末松義規君提出「新型インフルエンザ」に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議(以下「関係省庁対策会議」という。)において了承された「新型インフルエンザ対策行動計画」(以下「行動計画」という。)において、関係府省庁において新型インフルエンザが発生した際の具体的な対応について、あらかじめ対応策を検討し、その流行に応じた対策を総合的に推進することとされており、文部科学省において御指摘の行動計画を策定したほか、法務省において「矯正施設における新型インフルエンザ対策ガイドライン」、外務省において「在外公館における鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ対策ガイドライン」、厚生労働省において「高齢者介護施設における新型インフルエンザ対策等の手引き」を策定するなどの対策を講じているところである。
御指摘の勧告に係る新型インフルエンザ対策については、新型インフルエンザ発生時において患者が入院する医療機関の確保に関し、厚生労働省において、「新型インフルエンザに係る医療を提供する体制の確保について(要請)」(平成十七年十二月十六日付け健感発第一二一六〇〇一号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)を昨年十二月に各都道府県に通知し、新型インフルエンザの発生に備えた医療提供体制について万全の措置がとられるよう要請するとともに、御指摘の勧告が出された後も、機会をとらえて都道府県等に対して同様の要請を行っているところである。また、新型インフルエンザ発生時における医療提供体制、移送体制の確保等の対応策に関し、厚生労働省に設置している新型インフルエンザ専門家会議において検討を進めており、その結果を踏まえて、必要な措置を講じることとしているところである。
御指摘の「勧告」とは、平成十八年八月十八日付けで世界保健機関(以下「WHO」という。)により公表された文書によるもののことであると考えられるが、当該文書においては、「クレード1」のウイルスを基に作成したH五N一型インフルエンザワクチン(以下「ワクチン」という。)の臨床試験を継続すべきであるとするとともに、ワクチンの製造に使用できる可能性がある「クレード2」のウイルスに由来する株が開発されたことを受けて、各国において「クレード2」のウイルスを基に作成したワクチンの製造及び貯留のためのワクチンの候補株の使用を勧告する可能性を示唆している。
御指摘の「ベトナム型のワクチン」とは、ベトナム社会主義共和国で分離された「クレード1」のウイルスを基に作成したワクチンのことであると考えられるが、当該ワクチンの開発については、現在、臨床試験が実施されており、その結果を踏まえ、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条第三項に基づく承認申請が行われるものと考えている。厚生労働省としては、当該承認申請が行われた場合には、同条第七項に基づき、優先して審査することとしている。
「クレード2」のウイルスを基に作成したワクチンの開発状況については、インドネシア共和国及びトルコ共和国で分離された「クレード2」のウイルスに由来する株について、現在、国立感染症研究所等においてワクチン製造用株として利用可能であるか否かを確認しており、厚生労働省としては、その確認ができ次第、製造業者における所要の準備期間を経て、ワクチン製造用株を利用可能であると確認されたものに切り替えることとしている。
政府としては、内閣官房を中心に関係府省庁が一体となって迅速な対応がとれるよう、関係省庁対策会議及び関係閣僚による会合を開催し、体制整備を進めているところである。
また、本年九月には、内閣官房が中心となり、関係省庁新型インフルエンザ対応机上訓練を実施したところであるが、この机上訓練により、関係府省庁間及び各関係府省庁内における情報共有体制及び意思決定過程が再確認されるとともに、地方自治体等も関与した机上訓練の必要性が確認されたところであり、今後、その実施について検討してまいりたい。
各企業における新型インフルエンザ対策については、企業が行うそれぞれの事業を所管する各府省庁が各企業に対する指導、助言等を行うこととしているところである。
また、御指摘の在インドネシア日本国大使館の対応については、在留邦人に対し、安全対策連絡協議会等を通じインドネシア共和国における鳥インフルエンザの感染拡大状況や予防対策について累次の情報提供を行うとともに、更なる感染拡大に備え、万一の際の心構えとして、インドネシア共和国からの出国の準備も含めて対応を検討しておくよう説明している。こうした在留邦人の安全対策については、在インドネシア日本国大使館のみならず各在外公館において、当該在外公館の管轄区域の状況に応じ、在留邦人に対し適時適切な情報提供を行っているところである。
政府としては、御指摘のようなマニュアルは策定していない。
お尋ねについては、厚生労働省において、WHO等の国際機関等から情報収集を行い、ホームページへの掲載や定期的なマスコミへの情報提供を行うことにより、適切な情報の周知に積極的に取り組んできたところであり、引き続き、厚生労働省において、関係府省庁、都道府県及びWHO等の国際機関等と連携し、国内外の新型インフルエンザの発生状況に応じて、行動計画に基づき適切な情報の提供に積極的に取り組んでまいりたい。