答弁本文情報
平成十八年十二月五日受領答弁第一七四号
内閣衆質一六五第一七四号
平成十八年十二月五日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員馬淵澄夫君提出秋田県警本部の連続児童殺害事件への対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員馬淵澄夫君提出秋田県警本部の連続児童殺害事件への対応に関する質問に対する答弁書
一について
警察庁においては、秋田県公安委員会が作成した「苦情処理結果通知(回答)書」(平成十八年十一月九日付け秋公委総第二十八号)に記載された内容について、秋田県警察から報告を受けて承知している。畠山彩香さんの遺体の状況については、畠山彩香さんが殺害された事件の公判の開廷前であることから、その詳細を明らかにすることはできないが、警察庁としては、秋田県警察において、検視及び司法解剖を適正に実施した結果、事件性をうかがわせるような特異な損傷はなかったものと承知している。また、警察庁としては、秋田県警察において、警察犬による臭気追跡の結果、畠山彩香さんの自宅付近の藤琴川の川原に行き着いたこと、藤琴川の川岸に滑ったようなこん跡があったこと、畠山彩香さんが流されるのに十分な水量が藤琴川にあったこと等から、畠山彩香さんが自宅付近の藤琴川の川岸から川に落ちて流された可能性が高いと判断したものと承知しているが、この判断は、結果的に事実と異なるものであったと認識している。
警察庁としては、秋田県警察において、畠山彩香さんの着衣等は、所要の採証措置が講じられた後に、畠山彩香さんの母親に適正に引き渡されたものと承知している。また、警察庁としては、秋田県警察において、畠山彩香さんが死亡した原因は事故である可能性が高いという結果的に事実と異なる判断の下、秋田県山本郡藤里町粕毛地区(以下「粕毛地区」という。)等関係地区の住民に対する聞き込みを行わなかったものと承知している。
警察庁としては、秋田県警察において、平成十一年におおむね年一回以上の頻度で巡回連絡を実施するという基準を定めたところ、その後の県内の治安情勢の悪化を受け、パトロール及び検挙活動に重点を置いた地域警察活動を推進してきたことから、当該基準に沿った巡回連絡を実施することが困難となり、粕毛地区においても、必ずしも当該基準に沿った巡回連絡が実施されていなかったが、パトロールの強化等により、粕毛地区の実態把握に努めていたものと承知している。また、警察庁としては、地域警察活動は各都道府県の実情に応じて柔軟に行われるべきものであり、現時点においては、各都道府県警察における巡回連絡の実施状況について改めて確認する必要はないと考えている。
なお、今後とも、警察庁において、各都道府県の実情に応じた地域警察活動により地域の実態把握が一層適正に行われるよう、都道府県警察を指導してまいりたい。
警察庁としては、畠山彩香さんが死亡した原因について事故の可能性が高いと判断したこと及びこうした判断の下で進められた捜査が必ずしも十分なものではなかったことは、秋田県警察において真摯に反省すべきであると認識しており、今後の捜査においては、犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)第九十六条の規定に基づき、すべての資料を総合的に検討した上で捜査方針を立て、必要な体制を確保して捜査を行うよう、秋田県警察を指導しているところである。