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平成十九年三月十六日受領
答弁第一〇七号

  内閣衆質一六六第一〇七号
  平成十九年三月十六日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員笹木竜三君提出駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員笹木竜三君提出駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案等に関する質問に対する答弁書



一について

 お尋ねの「駐留軍等の再編を実現することが、我が国の平和及び安全の維持に資する」とは、本年二月九日に国会に提出した駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(以下「法案」という。)第二条第二号に規定する駐留軍等の再編(以下単に「駐留軍等の再編」という。)を実現することにより、国際社会の安全保障環境の変化に的確に対応しつつ、我が国の平和及び安全の維持のために必要な駐留軍(同条第一号に規定する駐留軍をいう。)及び自衛隊の部隊及び機関の態勢が確保されることを指す。

二について

 法案第二条第三号に規定する防衛施設(以下単に「防衛施設」という。)には、現に設置され、又は設定されている日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二条第一項の施設及び区域並びに自衛隊の施設のすべてのほか、これらの施設又は区域の設置又は設定が予定されている地域又は水域が含まれる。

三について

 法案第四条第一項に規定する再編関連特定防衛施設(以下単に「再編関連特定防衛施設」という。)については、駐留軍等の再編が行われる防衛施設のうち、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当し、又は該当することが見込まれる防衛施設であって、当該事由によるその周辺地域における住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に配慮することが必要と認められるものを防衛大臣が指定することになる。

四の1について

 法案第五条第一項に規定する再編関連特定周辺市町村(以下単に「再編関連特定周辺市町村」という。)の指定の対象となる市町村に関し、お尋ねの「政令で定める範囲内のもの」については、再編関連特定防衛施設が所在する市町村のほか、駐留軍等の再編の態様に応じ、その隣接市町村等を定めることを想定している。

四の2について

 法案第五条第一項に規定する再編関連特別事業(以下単に「再編関連特別事業」という。)の具体的内容については、例えば、道路等の公共施設の整備、環境の保全に関する事業等を政令で定めることを想定している。

五の1について

 一般に、交付金は、特定の政策目的を達成するために交付されるものであるところ、防衛省以外の省庁が所管する法律に規定する交付金を例示すれば、次のとおりである。
 一 農業災害補償法(昭和二十二年法律第百八十五号)第百五十条の三第一項に規定する交付金
 二 農業改良助長法(昭和二十三年法律第百六十五号)第六条第一項に規定する協同農業普及事業交付金
 三 漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第百十八条第一項(同法第百三十二条において準用する場合を含む。)に規定する交付金
 四 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第七十一条の三第九項(同法第七十一条の三の二第十一項において準用する場合を含む。)の規定による交付金
 五 植物防疫法(昭和二十五年法律第百五十一号)第三十五条第一項に規定する交付金
 六 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法(昭和二十五年法律第二百五十六号)第七条又は第十一条の規定による交付金
 七 農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第二条第一項に規定する交付金
 八 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第十三条第二項の規定による交付金
 九 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第百九十五条第一項に規定する交付金
 十 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)附則第七項に規定する交付金
 十一 道路整備費の財源等の特例に関する法律(昭和三十三年法律第三十四号)第五条第一項に規定する交付金
 十二 義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律(昭和三十三年法律第八十一号)第十二条第一項に規定する交付金
 十三 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第七十二条に規定する調整交付金
 十四 大豆交付金暫定措置法(昭和三十六年法律第二百一号)第二条第一項の交付金
 十五 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)第三条第一項及び第四条第五項の規定による交付金
 十六 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第九十五条第一項に規定する交付金
 十七 公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)第五十条の規定による交付金
 十八 発電用施設周辺地域整備法(昭和四十九年法律第七十八号)第七条(同法第十条第四項において準用する場合を含む。)に規定する交付金
 十九 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第三十五条の規定による交付金
 二十 地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)第五条第二項に規定する交付金
 二十一 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第四十五条の規定による交付金
 二十二 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成四年法律第六十三号)第二十三条の規定による交付金
 二十三 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二十二条の規定による交付金
 二十四 特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(平成六年法律第七十八号)第二十一条の規定による交付金
 二十五 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百二十二条第一項及び第百二十二条の二の規定による交付金
 二十六 沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)第百五条の三第二項に規定する交付金
 二十七 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第四十七条第二項に規定する交付金
 二十八 独立行政法人水資源機構法(平成十四年法律第百八十二号)第二十一条第一項及び第二十二条第一項の規定による交付金
 二十九 次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第百二十号)第十一条第一項に規定する交付金
 三十 地域再生法(平成十七年法律第二十四号)第十三条第一項に規定する交付金
 三十一 地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法(平成十七年法律第七十九号)第七条第二項に規定する交付金
 三十二 石綿による健康被害の救済に関する法律(平成十八年法律第四号)第三十二条第一項の規定による交付金のうち同法の規定により独立行政法人環境再生保全機構が行う業務の事務の執行に要する費用に係るもの

五の2について

 平成十九年度予算案における再編交付金に係る経費の計上に当たっては、駐留軍等の再編による住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に配慮することが必要と認められる防衛施設の周辺地域をその区域とする市町村のうち、再編関連特別事業を行うことが当該防衛施設における駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に資するため必要であるとその時点で見込まれるものについて、当該市町村における影響の増加の程度及びその範囲を考慮し、併せて当該駐留軍等の再編に向けた措置の進捗状況等を勘案して積算を行ったものである。
 また、平成二十年度以降の再編交付金に係る予算については、厳しい財政状況を勘案しつつ、駐留軍等の再編の円滑な実施に資するよう、所要の金額の確保に努めてまいりたい。

六について

 法案は、駐留軍等の再編の円滑な実施に資することを目的としているものであり、駐留軍等の再編が実施される予定の時期等を勘案し、法律の効力について、平成二十九年三月三十一日までとしたものである。

七について

 法案第七条第一項に規定する再編関連振興特別地域(以下単に「再編関連振興特別地域」という。)については、再編関連特定周辺市町村の区域及びこれに隣接する市町村の区域(自然的経済的社会的条件からみて当該再編関連特定周辺市町村の区域と一体としてその振興を図る必要があると認められるものに限る。)からなる地域であって、同項各号に掲げる要件のいずれにも該当するものが指定されることになる。例えば、戦闘機やヘリコプター等の航空機部隊の新たな配置を原因として再編関連振興特別地域の指定を行う場合においては、当該航空機部隊の新たな配置により著しい影響を受ける再編関連特定周辺市町村の区域とこれに隣接する自然的経済的社会的条件からみて当該区域と一体として振興を図る必要があると認められる市町村の区域からなる地域であって、当該区域の振興を図ることが当該再編関連特定周辺市町村に係る再編関連特定防衛施設における駐留軍等の再編の円滑かつ確実な実施に特に必要であると考えられるものが、再編関連振興特別地域となると考えられる。

八について

 法案第十四条第一項に規定する駐留軍等再編関連振興会議は、防衛大臣による法案第七条第一項の規定による再編関連振興特別地域の指定や法案第八条第三項の規定による再編関連振興特別地域整備計画の決定の前提となる審議を行うこと等を目的として設置するものであることから、駐留軍等の再編に係る事務を所管する防衛大臣を議長とし、再編関連振興特別地域の整備に関する事業を所管する各省大臣等を議員として、これを防衛省に置くこととしたものである。

九について

 駐留軍等の再編に係る詳細な計画が策定されていない現時点において、お尋ねの「駐留軍等労働者の雇用への影響の見通し」について、確たることを申し上げることは困難である。
 また、このことから、それに対する今後の具体的な対策についても現時点において決めているわけではないが、例えば、転勤に関する情報提供等を想定している。

一〇の1について

 駐留米軍の国外への移転に際し、我が国以外の国が過去にいかなる財政的支援を行ったかにつき確実に知り得る立場にはないが、これまで承知している範囲においては、御指摘の事例は把握していない。また、お尋ねの「経費」について我が国が分担することを明示的に禁じる法律の規定はないと認識している。

一〇の2及び3について

 現時点では、沖縄からグアムに移転する第三海兵機動展開部隊の部隊ごとの規模等が決まっておらず、お尋ねの積算根拠等については引き続き米国と協議することになるため、お答えすることは差し控えたい。

一〇の4について

 沖縄に駐留する第三海兵機動展開部隊の要員約八千人とその家族約九千人のグアムへの移転は、我が国に駐留する米国軍隊(以下「在日米軍」という。)の抑止力を維持しつつ、地元の負担の軽減を図るものであり、駐留軍等の再編の一環として、日米安保体制の強化に資するものであると考えている。

一〇の5について

 日米間の協議の詳細な内容については、米国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。

一〇の6について

 お尋ねの「返済期間」については、現時点では、何ら決まっていない。

一一の1について

 横田飛行場への航空自衛隊航空総隊司令部の移転及びキャンプ座間への陸上自衛隊中央即応集団司令部の移転は、日米の司令部を併置することにより、日米の司令部間の連携向上や相互運用性の向上を図るものである。

一一の2について

 自衛隊の海外における活動については、引き続き、それぞれの活動の根拠となる法律の規定に基づいて、我が国が主体的に判断し、適正に実施されるものである。

一二について

 御指摘の「在日米軍の再編の個別の案件並びにSM3ミサイル及びPAC3ミサイルの配備」については、米国軍隊の配置における重要な変更及び装備における重要な変更を事前協議の対象とする日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条の実施に関する交換公文の規定及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解から、いずれも事前協議の対象とはならない。

一三について

 平成十八年五月一日の日米安全保障協議委員会の際に発表された「再編実施のための日米のロードマップ」(以下「ロードマップ」という。)における個別の再編案は、統一的なパッケージとなっており、これらの再編を実施することにより、全体として在日米軍の抑止力の維持と地元の負担の軽減を図ることとしているものである。

一四について

 御指摘の「米国側の情報システムに組み込まれる」おそれの趣旨が必ずしも明らかではないが、我が国としては、「平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成十六年十二月十日閣議決定)等に基づき情報機能の強化に努めるとともに、米国等の関係国との緊密な情報交換を行いつつ、我が国が独自に収集し、分析した情報と併せて、総合的な評価及び分析を行っているところであり、今後とも日米間の情報共有及び情報協力を適切に向上していく考えである。

一五の1について

 お尋ねの「嘉手納飛行場以南の土地の返還計画に関する日米交渉の進捗状況」については、米国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。
 また、政府としては、普天間飛行場の移設及び返還、約八千名の第三海兵機動展開部隊の要員のグアムへの移転並びに嘉手納飛行場以南の人口が密集している地域の相当規模の土地の返還により、在日米軍の施設及び区域が集中する沖縄県の負担を軽減できるものと認識している。

一五の2について

 「沖縄に関する特別行動委員会」(以下「SACO」という。)の最終報告の「土地の返還」の項で示された施設のうち、ロードマップの「土地の返還及び施設の共同使用」の項で示された候補施設以外でいまだ返還に至っていないものは、北部訓練場及びギンバル訓練場である。
 また、SACOによる移設・返還計画の再評価が必要となる可能性については、現在、日米間で協議しているところであり、お答えすることは差し控えたい。

一五の3について

 政府としては、在日米軍の施設及び区域の返還後に跡地が有効利用できるよう、不要な建物及び工作物の撤去、在日米軍の使用に起因する土壌等の汚染の蓋然性があると判断された土地における汚染の有無の調査及び汚染が発見された場合の処理並びに在日米軍の使用に起因する土地の形質変更について、工事の実施、権利者への補償等の措置を講じることとしており、所要の経費については、精査した後、適切に予算の措置を講じる考えである。
 また、日米地位協定については、政府としては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、平成十二年九月の日米両政府による「環境原則に関する共同発表」において環境保護のための諸措置を明らかにするなど運用の改善に取り組んできている。今後とも、引き続き、個別具体の問題に即して、日米地位協定の運用の改善に取り組んでいく考えである。



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