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平成十九年三月二十七日受領
答弁第一二六号

  内閣衆質一六六第一二六号
  平成十九年三月二十七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員笹木竜三君提出防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員笹木竜三君提出防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案等に関する質問に対する答弁書



一の1について

 防衛省としては、入札談合により生じた損害については、請負者との間で締結した工事請負契約に基づく違約金の請求又は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)若しくは民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定に基づく損害賠償請求等を行い、回復する考えである。
 防衛省においては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第九十六条の三に規定する罪につき略式命令を受けた役員又は使用人の属する請負者に係る十一件の建設工事のうち、工事が完了した十件の契約については、右に述べた工事請負契約に基づく違約金約二十二億円を請求し、全額の納付を受けたところであり、その余の一件についても、工事が完了し次第違約金を請求する予定である。
 なお、防衛施設庁としては、既に防衛施設庁を退職している防衛施設庁技術審議官及び建設部長の経験者に対して退職金相当額の全部又は一部の自主返納等を呼び掛けたところであるが、現在までのところ、国庫への返納実績はないと承知している。

一の2について

 御指摘の資料は、防衛施設庁長官を委員長とする「防衛施設庁入札談合等に係る事案に対する調査委員会」の関係職員が必要に応じ用いているほか、法令に基づく権限のある機関の命令等により、防衛施設庁から当該機関に対し、提出しているところである。

一の3について

 防衛施設庁においては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づく開示請求があった場合には同法の規定に従って対応することとしている。

一の4について

 防衛省の職員の再就職のあっせん、仲介等(企業、団体等からの要請に基づき職員に当該企業、団体等を再就職先として紹介すること等防衛省がその職員の再就職について何らかの関与をすること(若年定年、任期満了等により退職する自衛官の再就職を支援するため無料職業紹介事業を行う法人に対し求職情報を取り次ぐこと等を除く。)をいう。)については、個別の企業、団体等からの要請や照会に応じてこれを行うものが一般的である。
 また、防衛省の職員の再就職については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第六十二条第二項及び第三項の規定による制限があるほか、防衛庁副長官(当時)を委員長とする「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策に関する検討会」が平成十八年六月十六日に公表した「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策報告書」において記述されているとおり、関係企業等に対し平成十八年六月十五日に書面で防衛庁(当時)の離職者の採用等の自粛の要請を行ったほか、防衛事務次官から防衛庁(当時)の各機関等の長に対し、再就職に係る自粛について職員への周知徹底を図るため通達を発出するなど所要の措置を講じているところである。

二の1について

 御指摘の「魚雷データ流出事件」は、防衛庁技術研究本部第五研究所(当時)の防衛庁技官が、同技官自身が起訴された刑事事件の公判において、自らが携わった研究に係る業務用データを保存したフロッピーディスクを外部の事業者に渡したと述べた事案を指すものと思われる。
 しかしながら、防衛庁技術研究本部(当時)が、勾留中の当該技官から聞き取った情報を基に、外部の事業者に渡したとされる業務用データを調査したところ、当該データには、秘密の情報及び取扱い上の注意を要する情報は含まれていなかった。
 本事案については秘密の情報等の流出はなかったものの、防衛省においては、業務用データを保存した可搬記憶媒体を許可なく持ち出すことを禁止するなどの所要の対策をとっているところである。

二の2について

 御指摘の「陸上自衛隊ミサイルデータ流出事件」は、平成六年から七年までの間に三菱電機株式会社が防衛庁(当時)から受託した「将来SAM(その1)の研究試作」及び「将来SAM(その2)の研究試作」の成果物であるシステム設計報告書の中の一部の資料と同一のものが、株式会社三菱総合研究所を通じて、秘密に係る数値が伏せられている箇所に秘密に係る数値が書き加えられた状態で、ソフトウェア会社に流出した事案を指すものと思われる。
 防衛省としては、本事案を踏まえ、防衛関連企業に対して防衛庁管理局航空機通信電子課長(当時)から情報の保全に関する注意喚起をしたり、情報セキュリティの確保を図るための特約条項を含む契約の対象範囲を誘導武器関連の調達に係る企業との契約に広げるなどの対策をとってきたところである。さらに、平成十九年度から、防衛省に係る秘密を取り扱う企業と締結する契約に秘密の漏えいがあった場合には違約金を課する旨の特約条項を含めるとともに、情報セキュリティの確保を図るための特約条項をすべての装備品等の調達に係る契約に含めるなど、防衛関連企業における情報の保全の強化を図るための措置をとることとしている。

二の3、6及び7について

 海上自衛隊の護衛艦に係る秘密電子計算機情報流出事案等の一連の情報流出事案を受けて、私有パソコンを職場等に持ち込むことの禁止、職場以外において私有パソコンにより業務用データを取り扱うことの禁止等の対策を講じ、可搬記憶媒体に出力するファイルを強制的に秘匿化するソフトの導入等の対策を決定したところであるが、その後判明した情報流出事案を受けて、これらの対策をさらに徹底するため、職員が自宅等において使用する私有パソコン及び私有可搬記憶媒体に業務用データが保存されていないこと等について、職員本人から私有パソコン及び私有可搬記憶媒体内を検索した結果を示す資料の提出を受けるなどの方法により確認すること、可搬記憶媒体に出力するファイルを強制的に秘匿化するソフトの導入計画を早めること等の対策を講じた。

二の4について

 御指摘の「防衛庁ホームページ機密情報流出事件」は、平成十八年三月、二の2についてで述べた流出事案に係る報告書を防衛庁(当時)のホームページに掲載したところ、当該ホームページに掲載した図の電子データの作成が適切でなかったため、閲覧者の操作によっては、伏せてある数値が見えてしまうことを部内で発見し、当該電子データをサーバから消去した上で、伏せてある数値が見えないようにして再掲載を行った事案を指すものと思われる。
 防衛省としては、本事案において伏せてあった数値は、平成十八年三月の時点においては、秘匿する必要はないと判断されたものであるが、広く公表する必要はないと判断したことから右報告書においては伏せていたものであり、伏せていた数値が見えたことにより、国民にあたかも秘密に係る数値が明らかになったとの誤解を与えかねない事態を生じさせたと考えている。
 防衛省としては、本事案を踏まえ、ホームページへの掲載に当たっての資料の内容の確認の強化を図るため、職員に対し、資料のホームページへの掲載手続を徹底したり、情報の保全に係る必要な教育を行うなどの所要の対策をとっているところである。

二の5について

 御指摘の「三沢基地データ流出事件」は在日米軍に係る事案であると承知しており、防衛省として対策を講じていない。

三について

 現在、捜査が行われているところであり、その具体的な内容についてのお答えは差し控えたい。

四の1について

 防衛施設庁の職員等による入札談合等の事案が発生したこと等にかんがみ、本年二月九日に国会に提出した防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)においては、防衛省の所掌事務をより適正かつ効果的に遂行し得る体制を整備するため、防衛施設庁を廃止し、防衛施設庁の事務を防衛省本省で処理するために必要な組織の改編等を行うこととしている。
 具体的には、防衛施設庁が所掌する自衛隊の施設、駐留軍に提供した施設等に係る建設工事の実施に関する事務については、防衛施設庁の廃止後は、建設工事の入札及び契約の適正化を図るため、その実施の基準に関することを内部部局に、その他を装備本部を改編して設置する装備施設本部にそれぞれ所掌させることとし、両者を異なる組織に所掌させることにより、建設工事の実施に関する事務の遂行について公正性及び透明性を確保することとしている。
 また、法案においては、地方支分部局として地方防衛局を新設し、防衛省の所掌する建設工事の実施に関する事務を分掌させることとしているが、その内部組織を定めるに当たっては、積算部門と契約部門を分離すること等により、その事務の遂行について公正性及び透明性を確保することとしている。
 さらに、法案においては、特別の機関として防衛監察本部を新設し、防衛省のすべての機関を対象として職員の職務執行における法令の遵守その他の職務執行の適正を確保するための監察を行う体制を整備することとしている。

四の2及び4について

 法案においては、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の防衛大臣直轄部隊のうち一定のものを、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として置くことができることとしている。これは、「平成十七年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成十六年十二月十日閣議決定)において、各自衛隊を一体的に運用し、自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するため、自衛隊は統合運用を基本とし、そのための体制を強化すること、及びそのために教育訓練、情報通信などの各分野において統合運用基盤を確立することとしていることを踏まえて行うものである。この共同の部隊の運用に係る防衛大臣の指揮は、統合幕僚長を通じて行い、これに関する防衛大臣の命令は、統合幕僚長が執行することとしている。
 なお、この共同の部隊として、平成十九年度においては、自衛隊指揮通信システム隊(仮称)を新編することを予定している。

四の3について

 防衛監察本部については、法案において、職員の職務執行の適正を確保するための監察に関する事務をつかさどること、その長を防衛監察監とすること等を定めており、五十人程度の職員をもって組織することを予定している。
 また、防衛監察本部が効果的な監察を行うためには、部外の人材の専門的知見を活用することも重要と考えており、防衛監察本部の人事の在り方については、このような観点も踏まえて検討しているところである。

四の5について

 中央即応集団は、ゲリラや特殊部隊による攻撃等の事態が発生した場合に事態の拡大防止等を図り、及び国際的な安全保障環境を改善するために国際社会が協力して行う活動(以下「国際平和協力活動」という。)に主体的かつ積極的に取り組むため、中央即応集団司令部、空挺団、ヘリコプター団、特殊作戦群等をもって新編することとした部隊であり、迫撃砲、軽装甲機動車、輸送ヘリコプター等の装備を保有させることとしている。

四の6について

 お尋ねの中央即応連隊は、主としてゲリラや特殊部隊による攻撃等の事態が発生した場合に方面隊を増援すること及び国際平和協力活動のための自衛隊の海外派遣が決定された後速やかに派遣予定地において準備を行うことを任務とし、連隊本部、本部管理中隊及び普通科中隊をもって中央即応集団隷下に新編することを予定している。

五について

 自衛隊法第八十二条の二の規定により、防衛大臣は一定の要件及び手続の下で自衛隊の部隊に対し、弾道ミサイル等に対する破壊措置をとるべき旨を命ずることができることとされている。この破壊措置は、弾道ミサイル等の落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止することを目的としたものであり、我が国の弾道ミサイル防衛システムにより行うこととしている。
 お尋ねの「弾道ミサイル破壊措置緊急対処要領」については、自衛隊法第八十二条の二第三項の規定により防衛大臣が作成し、内閣総理大臣の承認を受けることとされており、本年三月二十三日、その手続を経て「自衛隊法第八十二条の二第三項に規定する弾道ミサイル等に対する破壊措置に関する緊急対処要領」として公表したところである。
 この緊急対処要領においては、第一に、防衛大臣が自衛隊法第八十二条の二第三項の規定による命令を発する場合及びこの場合において同項に規定する緊急の場合に該当することの認定に関し必要な事項、第二に、同項の規定による措置の対象とする弾道ミサイル等の範囲及びその破壊方法、第三に、同項の規定による措置を実施する自衛隊の部隊の行動の範囲、第四に、同項の規定による措置を実施する自衛隊の部隊の指揮に関する事項等を定めている。

六について

 防衛省においては、国際平和協力活動に係る今後の具体的な施策について検討しているところであるが、その内容については、お答えできる段階にない。



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