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答弁本文情報

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平成十九年六月十五日受領
答弁第三二八号

  内閣衆質一六六第三二八号
  平成十九年六月十五日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出自治体病院の改善及び充実に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出自治体病院の改善及び充実に関する質問に対する答弁書



一の1及び2について

 自治体病院の責務と役割は、それぞれの病院の立地等により異なるものであるが、地域の公的な医療機関として、民間医療機関では担うことが困難な採算性確保の上で難しい医療を担うものと認識している。

一の3及び4について

 地域における基幹病院・中核病院となっている自治体病院は、小児医療、救急医療等の不採算部門、がんセンター等の高度医療、へき地医療等の分野における地域医療の提供において重要な役割を果たしていると認識している。
 しかしながら、各地方公共団体においては、自治体病院だけではなく、民間医療機関なども含め、地域において必要な医療を提供する体制を整えるべきものであり、自治体病院はその厳しい経営状況を踏まえると、自らの経営形態の見直しも含めて、経営の効率化を図る必要があると考えている。

一の5について

 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の三において、国及び地方公共団体は、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならないとされているところであり、国及び地方公共団体は、国民に必要な医療提供体制を確保するために必要な措置を講ずるよう努めているところである。

二の1について

 全国の自治体病院の損益収支の合算額は、平成十七年度が千四百七十六億円、平成十二年度が六百四十四億円、平成七年度が六百三十四億円のそれぞれ純損失となっている。

二の2について

 自治体病院の経営は、全国的に見て大変厳しい状況にあり、近年、損益収支は悪化傾向にあると認識している。

三の1について

 自治体病院は、救急医療、高度医療、へき地医療など、採算性確保の上で難しい医療を担っていることに加え、近年においては診療報酬の改定、患者数の減少等に起因して収入が減少していることやこれに対応した歳出の削減合理化の努力が取組の途上にあること等が原因と考えられる。

三の2及び3について

 自治体病院の経営が悪化した要因は、三の1についてで述べたとおりであり、御指摘の「医療費抑制政策」が根本的な要因ではないと考えている。

三の4について

 平成十九年版厚生労働白書については、現在作成中であるが、御指摘の報道については承知していない。

四の1について

 近年の自治体病院の厳しい経営状況や道路整備の進展等を踏まえると、例えば二次医療圏を単位として、地域全体で効率的な医療サービスが提供されるよう、中核的医療を行う基幹病院と日常的な医療確保を行う病院及び診療所への再編を行うとともに、これらのネットワーク化を進めていくことが必要であると考えている。

四の2について

 自治体病院の再編・ネットワーク化により、自治体病院の経営基盤の安定化が図られるとともに、地域全体として必要な医療が継続的に提供できる体制が整備されるものと考えている。

四の3について

 再編・ネットワーク化は、地域全体の医療水準の維持、向上を図るものであり、他地域との間での医療格差を拡大させないために必要であると考えている。

四の4及び5について

 再編・ネットワーク化により、期待する効果については四の2についてで述べたとおりであるが、現在のところ、山形県置賜地域においては、患者と医師の大病院指向により、基幹病院に患者が集中する一方、診療所等では医師確保が困難な状況にあること等は承知している。御指摘の問題については、同地域において解決が図られるべきものであると考えている。

四の6について

 高知医療センターについては、関係の地方公共団体において、民間的経営手法導入の一形態としてPFIの導入を決定されたものと承知しており、本再編・統合の効果及び課題等については、関係の地方公共団体において分析・評価が行われるべき問題であると考える。

四の7について

 御指摘の計画策定に当たっては、再編・ネットワーク化により目指すべき医療機能の面での具体的な効果等や再編した場合としない場合の将来的な財政負担等について十分に検討するとともに、住民に対して説明することが必要であると考えている。

五の1について

 平成十七年度において、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)が適用されている自治体病院数は九百八十二病院であり、病院全体の十・九パーセントを占めている。経営主体別の病院数については、都道府県立が二百十七病院、市町村立が六百五十七病院となっている。

五の2について

 自治体病院が民間医療機関との適切な役割分担の下、必要な地域医療を継続的に提供するためには、地方公営企業としての経済性を発揮し、経営の健全化に努めなければならない。
 その手法の一つとして、民間への事業譲渡等について検討を要請しているものであるが、地域医療確保の観点から地方公共団体が引き続き自治体病院として存続させ、指定管理者制度を導入する場合や、地方独立行政法人化を行う場合には、地方公営企業法の規定等に基づき一般会計において適切な経費負担が行われるべきであると考えている。

五の3について

 @指定管理者制度は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十四条の二第三項の規定により、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するものに、公の施設の管理を行わせる制度である。
 APFIは、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号)の規定に基づき、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の整備等を実施するものである。
 B社会医療法人は、医療法第四十二条の二第一項の規定により、医療法人のうち、救急医療等地域で必要とされ、かつ確保が困難な医療を行うこと等の要件を満たすものとして、都道府県知事等が認定するものである。
 C民間移譲(民設民営)は、公の施設としての自治体病院を廃止し、民間法人等に対して経営を譲渡するものである。
 D地方独立行政法人(非公務員型及び公務員型)は、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)の規定に基づき、地方独立行政法人を設立し、経営を譲渡するものである。
 E地方公営企業法の全部適用及びF一部適用については、病院事業は、同法第二条第二項の規定により同法の財務規定等のみが当然に適用されるところであるが、同条第三項の規定により、条例で定めるところにより、同法の規定の全部を適用することができることとされているものである。

五の4について

 平成十八年十一月一日現在で調査した平成十七年度以降の民間移譲等の実態については、指定管理者制度は都道府県が一団体、市町村が九団体、PFIは都道府県が二団体、民間移譲は都道府県が三団体、市町村が四団体、地方独立行政法人は都道府県が二団体、市町村が一団体、地方公営企業法の全部適用は都道府県が四団体、市町村が十八団体となっている。なお、地方公営企業法の一部適用については、調査の対象としておらず、社会医療法人については、現時点では認定を受けている医療法人はない。

五の5について

 平成十八年十一月一日現在で調査した検討状況は、指定管理者制度は都道府県が三団体、市町村が二十八団体、PFIは都道府県が二団体、市町村が十七団体、民間移譲は都道府県が四団体、市町村が二十四団体、地方独立行政法人は都道府県が十一団体、市町村が二十三団体である。なお、社会医療法人並びに地方公営企業法の全部適用及び一部適用については、把握していない。

六の1及び2について

 医療の質を確保しつつ必要な医療提供体制の継続を図るためには自治体病院の改革を推進していくことが不可欠であると考えている。
 このためには、コスト削減や収入の確保による経営効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しの3つの視点に立った取組が必要であると考えており、各地方公共団体において、国の示すガイドライン等を踏まえつつ、数値目標を設定した改革プランを策定するよう要請する予定である。
 各地方公共団体における改革プランの実施については、総務省において新たな支援方策を策定するとともに、改革の実施状況を調査・公表する予定である。

六の3について

 平成十八年の医療制度改革は、急速な高齢化の進展に伴い、医療費の増加が見込まれる中で、安心・信頼の確保と予防を重視するとともに、給付と負担の均衡を図り、人口構造の変化に対応できる持続可能な制度を構築するため、医療費適正化の総合的な推進等を図ったものであり、政府としても必要不可欠なものであると考えている。
 御指摘の医師の偏在に対しては、各都道府県内の医療機関に必要な医療従事者を確保するため、医療関係者等からなる医療対策協議会を設置することとし、自治体病院の経営悪化に対しては、六の1及び2についてで述べた対策を講じることとしている。
 今後とも、国民の安心の基盤である皆保険制度を堅持し、将来にわたり経済、財政とバランスがとれ、持続可能な制度が構築されるよう、医療保険制度改革に取り組んでまいりたい。



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