答弁本文情報
平成十九年十一月九日受領答弁第一七三号
内閣衆質一六八第一七三号
平成十九年十一月九日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出富山県における冤罪判決に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出富山県における冤罪判決に関する第三回質問に対する答弁書
一について
御指摘の「富山事件」において被告人とされた方については、逮捕、勾留された上有罪判決を受け服役したことにより、精神的・経済的に大きな不利益を受けられ、遺憾であると考えている。
御指摘の「第一義的責任」の意味が必ずしも明らかではないが、第一回答弁書(平成十九年十月十九日内閣衆質一六八第一一一号)六及び七についてで述べたとおり、「富山事件」を担当した検察官については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項に規定する懲戒処分に該当する事由はなかったと認められるので、当該検察官及びその監督者について処分をする必要はないものと考えている。
第二回答弁書(平成十九年十月三十日内閣衆質一六八第一三八号)における御指摘の答弁は、取調べを担当した検察官に確認した結果を踏まえた上でのものである。
御指摘の記事においては、御指摘の発言が検察官によりなされたものであるとはされておらず、検察当局において、意見を伝えたことはないと承知している。
国家公務員法第八十二条第一項第三号に規定する「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」とは、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、職務の遂行に当たっては全力を挙げて専念するという国家公務員の立場にふさわしくない非行をいうと考えている。
お尋ねの行為の事例としては、例えば、国が有する物品の窃取、職務上知ることのできた秘密の漏えい、勤務時間外における傷害等の刑事事件がある。
御指摘の検察官が、被告人とされた方に対して、個々の事実関係を示すなどして確認を求めるという方法で誘導することにより取調べを行ったことが窺われるものと承知している。
第一回答弁書六及び七についてで述べたとおり、「富山事件」を担当した検察官については、国家公務員法第八十二条第一項に規定する懲戒処分に該当する事由はなかったと認められるので、処分をする必要はないものと考えている。
御指摘の「被疑者と取調官との信頼関係」とは、被疑者が自己の犯罪行為やプライバシーにわたる事項等通常は他人に述べるのをためらうと考えられる事項についても取調官に対して述べることができるような被疑者と取調官の関係を意味する。
仮に、取調べの全過程について録音・録画を義務付けることとすると、取調べにおいて、被疑者及び取調官が、供述や発問等の一言一句、その際の動作や表情等が後に再生されて公になることを意識せざるを得なくなること等から、右に述べたような信頼関係を築くことが困難になるものと考えている。
取調べにおいては、事案の真相を解明するため、関係者の名誉・プライバシーにかかわる事項を含め広範囲にわたって供述を求めることとならざるを得ず、その中には、結果として犯罪事実と無関係な又は関係が希薄な事項にかかわる供述等も含まれることがあるところ、仮に、取調べの全過程について録音・録画を義務付けることとすると、刑事手続の推移等により、そのような取調べの状況がすべて後に再生されて公になる場合が生じることは避けられないことから、関係者の名誉・プライバシーの保護に支障を生ずるおそれがあるものと考えている。
捜査に当たっては、客観的な証拠を十分に吟味するとともに、自白の信用性について慎重に検討するなど適正な捜査の徹底に努めることが肝要であると考えている。
取調べの全過程について録音・録画を義務付けることについては、第二回答弁書七及び八についてで述べたとおり種々の問題があるので、慎重な検討が必要であると考えている。