答弁本文情報
平成十九年十一月二十二日受領答弁第二二二号
内閣衆質一六八第二二二号
平成十九年十一月二十二日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員松野頼久君提出元国家公務員の日本郵政株式会社への就職に係る手続に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松野頼久君提出元国家公務員の日本郵政株式会社への就職に係る手続に関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘のとおりである。
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百三条第二項に規定する密接な関係にない場合には、同条第三項に規定する人事院の承認は必要ない。
内閣官房は、人事院に対して、御指摘の者の日本郵政株式会社取締役への就任に関し、国家公務員法第百三条第三項に規定する承認の要否を確認した。人事院は、内閣官房に対して、人事院規則一四−四(営利企業への就職)の運用通知(平成九年十二月二十五日職職−四四八人事院事務総長通知)に照らして、同条第二項に規定する密接な関係には該当しない旨を説明した。
国家公務員法第百三条第三項の趣旨は、職員が営利企業に就職しようとする際に、当該営利企業が当該職員が離職前五年間に在職していた国の機関等(以下「在職機関」という。)と密接な関係にあるか否かを所轄庁の長が判断し、当該所轄庁の長が密接な関係にあると判断した場合には、人事院に承認申請を行い、人事院が当該申請に基づき、当該関係を実質的に審査し、その承認の可否を判断することとなっている。人事院では、この所轄庁の長の判断が統一的に行われるよう、二の1並びに2の(ア)の(1)から(6)まで及び(イ)の(5)についてで述べた各府省に対する通知に、国家公務員法第百三条第二項に規定する密接な関係にある場合を定めており、これにより、(1)在職機関が有する法令に基づく行政上の権限の対象とされている営利企業、(2)職員の離職の日から五年さかのぼった日の属する年度以降の年度のうちのいずれかの年度において在職機関との間に締結した契約の総額が二千万円以上である営利企業、(3)在職機関による行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第六号に掲げる行政指導の対象とされている営利企業、(4)(1)から(3)までに掲げる営利企業の会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第三号に規定する子会社である営利企業、(5)(1)から(4)までに掲げる営利企業と同様の事情にあると認められる営利企業を在職機関との間に密接な関係にあるものとして取り扱っている。また、これらの営利企業には、職員の離職後に新たに設立された営利企業が含まれるが、これは、当該職員の在職中、在職機関に行政上の権限等が存在する場合には、在職機関の当該企業の設立準備への関与などがあり得ることによるものである。
在職機関が有する行政上の権限とは、行政手続法第二条第二号に掲げる処分又は同条第六号に掲げる行政指導を行う権限等をいうところ、御指摘の者の平成十八年一月二十三日における日本郵政株式会社への就職については、金融庁は、同社に対し、平成十七年十月二十一日以降、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第百六十三条第三項に基づく同社が作成する実施計画の認可に関する権限等を有するが、同人の同庁在職は、平成十六年七月二日までであること、また、郵政民営化委員会は、同法第十九条第一項第四号の規定に基づき当該実施計画の認可に関する総務大臣等への意見を述べる権限等を有するが、同委員会は同人の内閣官房退職後である平成十八年四月一日に設立されたことから、人事院は、同人の在職機関である同庁及び内閣は、同社との間に密接な関係がないと判断した。
これに対し、同人の平成十八年九月一日における株式会社ゆうちょ銀行の準備会社である株式会社ゆうちょ及び平成十九年十月一日における株式会社ゆうちょ銀行への就職については、同人の金融庁在職中に同庁が銀行に対する行政上の権限を有していたことから、人事院は、同庁とこれらの会社の間には密接な関係があると判断した。
このため、日本郵政株式会社への就職については、人事院に対して国家公務員法第百三条第三項の承認申請がなされず、株式会社ゆうちょ及び株式会社ゆうちょ銀行への就職については、人事院に対して当該申請がなされたものであり、人事院は、当該申請を受け、同人の在職中これらの会社については設立準備行為は存在せず、同人はこれらの会社に対して権限を行使する関係にはなかったことから、これを承認したものである。
また、御指摘の平成十九年十月三十日の国会審議における人事院総裁の答弁は、職員がその在職中、離職後特定の営利企業に就職する目的で、その地位や職権を利用して当該企業に便宜を与えるなどし、もって職務の公正な執行をゆがめることのないようにするという国家公務員法第百三条第二項の立法の趣旨を述べたものであり、さらに、許認可等の行政権限の行使に携わる職員については、当該行政権限の行使に当たり職員の裁量の余地がある一方、法律は国会で議決の上制定されるものであるから、その最終的な内容の決定に職員個人の意思の介入できる余地はないという趣旨である。
御指摘の判断を了承した人事院内で最高位の者は人事院総裁である。