答弁本文情報
平成十九年十二月二十八日受領答弁第三三九号
内閣衆質一六八第三三九号
平成十九年十二月二十八日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員河村たかし君提出名古屋コーチンの偽装疑惑問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員河村たかし君提出名古屋コーチンの偽装疑惑問題に関する質問に対する答弁書
一について
愛知県からは、適切なサンプル調査を行うために必要な準備に時間を要したと聞いており、農林水産省としては、このような愛知県の対応はやむを得なかったものと考えている。
御指摘の小売店については、東海農政局において、小売店の仕入れ及び販売に関する書類の調査、小売店の従業員等に対する聞き取り調査等を行い、その結果、意図的な異種肉の混入の事実は確認できなかったところである。また、御指摘の加工業者については、愛知県において、加工業者の仕入れ及び販売に関する書類の調査、加工業者の従業員等に対する聞き取り調査等を行い、その結果、意図的な異種肉の混入の事実は確認できなかったと聞いている。
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」という。)からは、愛知県の依頼により、「名古屋コーチン」と表示された加工品三十八点のDNA分析(以下「依頼分析」という。)を実施し、平成十九年十一月十四日付けで、愛知県に対し、当該分析の結果として、愛知県畜産総合センター種鶏場から供給されるものを基準とする名古屋コーチン(以下「県基準名古屋コーチン」という。)のDNAタイプと一致したと報告したと聞いている。
また、農研機構からは、この報告内容に係る判定の根拠としては、依頼分析において、五組のDNAマーカーを用いて判定したところ、加工品三十八点中二十二点(平成十九年十一月十五日の愛知県の発表では、二十一点とされたが、同月二十八日に二十二点と訂正)については、四組のDNAマーカーで完全に一致し、また、一組のDNAマーカーについては完全には一致しないものの、当該差異は微少であったこと等から、総合的に判断し、県基準名古屋コーチンのDNAタイプと一致すると判定したものと聞いている。
農研機構が日本家禽学会において発表した際に用いた分析手法と依頼分析の際に用いた手法については、共に五組のDNAマーカーを用いて行ったものであるが、発表時の分析手法については、簡便に大量のサンプル分析を行うための手法であることから、五組のDNAマーカーが完全に一致することを要件としたものと聞いている。一方、依頼分析においては、より厳密な検証を行う観点から、より精度の高い手法を採用したところであり、DNAマーカーについての詳細な情報を検証し、その結果、四組のDNAマーカーで完全に一致し、また、一組のDNAマーカーについては完全には一致しないものの、当該差異は微少であったこと等から、総合的に判断し、県基準名古屋コーチンのDNAタイプと一致すると判定したものと聞いている。したがって、御指摘の「緩い基準」で判定したとの報道については、正確に事実を反映したものとは言えないと考えている。
農林水産省においては、農研機構が愛知県に回答を送った平成十九年十一月十四日に依頼分析に係る分析手法及びその分析結果を把握していたところである。
また、お尋ねの日本家禽学会において発表した判定基準に基づいて判定した場合、加工品三十八点のうち県基準名古屋コーチンのDNAタイプと一致しないサンプルはどのくらい存在するのかという点に関しては、農研機構による日本家禽学会における発表と依頼分析とでは、異なる分析手法を用いていることから、同一の判定基準を用いることは不可能であると考えている。
農研機構が行ったDNA分析については、県基準名古屋コーチンに対するDNAマーカーの一致の有無を科学的知見に基づいて検証したものであり、この結果をもっていわゆる名古屋コーチン一般の定義が決定されるものではないと考えている。
農林水産省としては、地鶏肉の生産及び流通段階における管理を徹底し、消費者の信頼確保を図るため、平成十九年十一月二十一日付けで、社団法人日本食鳥協会に対し、地鶏肉等の定義に係るガイドラインの遵守について傘下会員への徹底を求めるとともに、各都道府県に対し、関係事業者による銘柄の管理、普及等の取組が円滑に進められるよう指導を求めたところであり、今後とも、同協会及び各都道府県に対して適切に指導を行ってまいりたい。