答弁本文情報
平成十九年十二月二十八日受領答弁第三四八号
内閣衆質一六八第三四八号
平成十九年十二月二十八日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出公的年金の脱退手当金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出公的年金の脱退手当金に関する質問に対する答弁書
一について
社会保険審査会で把握している平成十年四月一日から平成十九年十二月二十日までの社会保険審査会に対する再審査請求及び審査請求の受付件数は、五千六百七十二件である。年度別の受付件数は、平成十年度は二百七十件、平成十一年度は三百六十八件、平成十二年度は三百四十八件、平成十三年度は三百五十三件、平成十四年度は五百四件、平成十五年度は六百五十件、平成十六年度は七百二十八件、平成十七年度は七百六十八件、平成十八年度は八百八十二件、平成十九年四月一日から十二月二十日現在までは八百一件であるが、脱退手当金に関する受付件数は把握していない。
また、国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金に係る審査請求については、社会保険審査会では取り扱っていない。
社会保険審査会に年金給付関係で再審査請求される事案の中には、社会保険庁には申立人に脱退手当金を支給したという記録があるにもかかわらず、申立人はこれを受給していないと申し立てているもの等があるが、その内容について分類した整理を行っていないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
社会保険審査会における裁決には、再審査請求を容認するものと棄却又は却下するもののいずれもがあるが、それぞれ個別事情を勘案して行われたものであることから、お尋ねについて、一概にお答えすることは困難である。
年金記録確認中央第三者委員会(以下「中央委員会」という。)への申立件数は、平成十九年六月二十二日から十二月二十日までで、国民年金と厚生年金保険とを合わせて、三百十八件である。このうち、厚生年金保険の脱退手当金に関する件数は、十一件である。また、全受付件数に占める厚生年金保険の脱退手当金に関する件数の割合は、三・五パーセントである。なお、国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金に関しては、年金記録確認第三者委員会では取り扱っていない。
厚生年金保険の脱退手当金に関する申立事案は、いずれも社会保険庁には申立人に脱退手当金を支給したという記録はあるが、申立人はこれを受給していないと申し立てているものである。
厚生年金保険の脱退手当金に関する申立事案については、これまでに中央委員会の審議の結果が出されたものはなく、お尋ねについてお答えすることは、困難である。
厚生年金保険の脱退手当金に関する申立事案は、社会保険庁には支給を証明する支給時の資料がほとんどなく、申立人には受給していないことを証明する資料がないものであり、また、申立人が受給していないという証明は、非常に難しいものである。
現在、中央委員会では、申立人の脱退手当金の受給の有無を公正に判断するため、申立人及び社会保険庁からの事情の聴取と関連資料の収集等を行うとともに、社会保険審査会における事例を参考にし、年金記録確認第三者委員会において判断を行うための調査審議の方法等の検討を行っているところであるが、お尋ねについては、現段階で何が必要かは判明していない。
厚生年金の脱退手当金は、厚生年金保険制度の発足時に、保険料の掛け捨てを嫌う国民感情に配慮する必要があったことから、被保険者のうち、加入期間が短く、年金給付の受給権が発生しない者に対し、請求に基づき、拠出した保険料の一部に相当する金額を一時金として支給する制度として設けられたものである。なお、当該制度は、昭和六十年の年金制度改正において基礎年金制度を導入したことに伴い廃止され、現在は経過措置として一定の基準を満たしている場合に限り支給することとされている。厚生年金においては、一度受給した脱退手当金を返還して年金額に反映させる仕組みとはなっていない。これは、本人の選択により、脱退手当金を受給していること、及びこれにより当該被保険者の将来の年金原資は無くなっていることから、やむを得ないものと考える。
これに対し、共済年金においては、公務員退職時に退職年金の受給権を有しない者に対して、年金原資の一部を留保した後の残額を退職一時金として退職した時点で支給していたが、その後再就職して退職し、組合員期間を通算すれば年金の受給要件を満たすこととなる場合は、当該退職一時金の額に利息を付した額を一律に返還させた上で年金を支給する仕組みとしている。これは、もともと、退職一時金を受けた者がその後に退職年金の受給権を取得したときは重複受給を避けるために年金額から一定の率を乗じて得た額を控除することとされていたものを、年金の受給期間の長期化等を踏まえて、昭和六十一年四月から創設された制度である。