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答弁本文情報

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平成二十年一月十一日受領
答弁第三六二号

  内閣衆質一六八第三六二号
  平成二十年一月十一日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員前原誠司君提出改正建築基準法施行に伴う建築関連産業の混乱等に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員前原誠司君提出改正建築基準法施行に伴う建築関連産業の混乱等に関する再質問に対する答弁書



一の@について

 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第九十二号。以下「改正法」という。)の施行に伴い、改正法による改正後の建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号。以下「新建築基準法」という。)第六条第四項、第六条の二第一項又は第十八条第三項の確認済証(以下単に「確認済証」という。)の交付件数及び建築工事の着工件数の大幅な減少が生じることは、予見していなかったところである。

一のAについて

 先の答弁書(平成十九年十二月十四日内閣衆質一六八第三〇一号。以下「前回答弁書」という。)一についてで述べた「確認審査に要する時間が増加する」とは、新建築基準法第六条第四項及び第十八条第三項に定める期間(以下「審査期間」という。)の範囲内においてこれらの規定に規定する審査に要する時間が増加することである。

一のBについて

 前回答弁書一についてで述べた「円滑な施行のための準備」は、新建築基準法第六条第四項及び第十八条第三項の規定により、審査期間内に審査が行われ、審査の結果に基づいて申請に係る建築物の計画が新建築基準法第六条第一項に規定する建築基準関係規定(以下単に「建築基準関係規定」という。)に適合することが確認されたときは、当該申請者に確認済証が交付されるために必要な準備を含むものである。

一のCについて

 前回答弁書一についてで述べた「我が国の経済及び国民生活に支障を生じること」とは、新建築基準法第六条第四項及び第十八条第三項に規定する審査並びに新建築基準法第六条の二第一項の規定による確認のための審査(以下「確認審査」と総称する。)が適正かつ円滑に実施されない場合に生じる確認済証の交付及び建築工事の着工の大幅な遅延等により、我が国の経済の発展及び国民生活の向上について支障を生じることである。

二の@について

 建築士、建築主事、新建築基準法第二条第三十三号に規定する特定行政庁(以下単に「特定行政庁」という。)、新建築基準法第七十七条の二十一第一項に規定する指定確認検査機関(以下単に「指定確認検査機関」という。)その他の関係者が新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等による確認審査の実施に習熟していないこと並びに一部の特定行政庁等において新建築基準法第六条第一項の確認又は新建築基準法第六条の二第一項の確認(以下「建築確認」と総称する。)の申請者に過重な負担となる制度の運用が行われたことについては、改正法及び関係政省令等についての事前の周知が十分でなかったことが大きな要因であると考えており、必ずしも御指摘の「建築設計関係者(団体も含む)や建築主事らの職務怠慢によるもの」ということはできないと考えている。
 また、新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等による確認審査の実施に習熟していないことについては、関係者から国土交通省に寄せられた当該確認審査に関する質問の内容等から判断したものである。

二のAについて

 平成十九年七月の時点において、新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等による確認審査の実施に習熟していない関係者が少なからずいるのではないかとの認識を有するに至ったところである。

二のBについて

 新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等による確認審査においては、提出された建築基準法施行規則等の一部を改正する省令(平成十九年国土交通省令第六十六号。以下「改正省令」という。)による改正後の建築基準法施行規則(昭和二十五年建設省令第四十号)に定められた設計図書等に明示すべき事項に基づき、建築物の建築の計画が建築基準関係規定に適合するものであるかどうかを審査するとともに、一定の建築物については新建築基準法第六条第五項の規定により構造計算適合性判定を求める等の事務を行うこととなる。
 改正法の施行後においては、新建築基準法第七十七条の三十五の七第一項の構造計算適合性判定員が新建築基準法第六条第五項に規定する構造計算適合性判定(以下単に「構造計算適合性判定」という。)の手続において建築基準関係規定に規定する建築物の構造に関する基準に適合した建築物の計画について当該基準を超える水準の強度を備えた構造の建築物とするよう求めた事例や、改正省令による改正後の建築基準法施行規則第一条の三第一項表三(一)の項に規定する構造計算概要書など改正省令の施行に伴い新たに提出が求められることになった図書の記載の方法について特定行政庁等によって異なる取扱いが行われた事例が見られたことなどから、建築主等の間に建築確認の申請を一時的に手控えて新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等の運用の状況を見守ろうとする動きがあったことなどにより、結果として建築確認の申請件数が減少したものと考えている。

二のCについて

 おおむね習熟しているものと考えていたところである。

二のDについて

 改正法の施行前における関係者の習熟度に関する実態の把握が十分ではなかったためであると考えている。

二のEについて

 建築確認の申請者に過重な負担となる制度の運用を行った特定行政庁等のすべてを把握しているわけではないことから、具体的な特定行政庁等の名称についての答弁は差し控えたい。
 また、御質問の「割合」については、網羅的な調査を行っていないため、お答えできない。

二のFについて

 前回答弁書二についてで述べたように、一部の特定行政庁等において建築確認の申請者に過重な負担となる制度の運用が行われていたほか、確認審査において一定の建築物については構造計算適合性判定を行うことが新たに必要となったこと、関係者が新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等による確認審査の実施に習熟していなかったことなどから、改正法の施行後、全国的に建築確認の件数の減少が生じたものと考えている。

二のGについて

 確認審査等に関する指針(平成十九年国土交通省告示第八百三十五号)第一第五項第三号の規定により同号イに掲げる場合に該当するときは新建築基準法第六条第一項の確認の申請書等の補正を求め、その補正が行われたときは、補正された当該申請書等について審査を行うこととされているにもかかわらず、そのような補正は認められず改めて当該確認を申請することが必要となると関係者が誤解していた事例、建築主事等が確認審査の厳格化を理由として、設計図書に記載された事項のうち当該建築物の建築の計画が建築基準関係規定に適合するものであるかどうかの審査と無関係な事項の補正を求めた事例などがあり、このような運用は、改正法及び関係政省令等についての事前の周知が十分でなかったことが大きな要因となって行われたものと考えている。

三の@について

 前回答弁書四についてで述べた研修会及び講習会の開催回数は、同一の会場において二回以上開催された場合においては当該二回以上の開催回数を合計した開催回数である。

三のAについて

 前回答弁書四についてで述べた関係者からの意見は、研修会及び講習会の会場において表明された意見のほか、それらの開催後において財団法人建築行政情報センター等に寄せられた意見を含むものであり、当該意見が個人的なものであるかどうかは承知していない。

三のBについて

 御質問の「意見の取りまとめ書」としては作成していないが、例えば、改正省令による建築基準法施行規則別記第二号様式の改正に関し当該様式において記載することとされている設計者の範囲を明確にするよう改正すべきとの意見や、改正省令による建築基準法施行規則第一条の三第一項第一号の規定の改正に関し構造計算適合性判定を要する建築物の建築確認の申請の際に二通提出することとされている当該確認申請書の副本について三通提出するように改正すべきとの意見等が提出されたところである。

三のCについて

 改正法の施行前においては、新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等の運用に関し、社団法人日本建築士事務所協会連合会等から要望書が提出されたところである。

三のDについて

 建築基準法の改正による新たな制度の導入に際して過去に行った周知の方法に照らして十分な対応であると考えていたところである。

三のEについて

 御質問の「施行通知」が平成十九年七月の建築確認の申請の状況及び当該建築確認の申請の準備作業に影響を及ぼしたかどうかについては、建築物の規模やその設計を行った建築士等によって状況が異なることから、一概にお答えすることは困難である。

三のFについて

 平成十九年七月以降においても、関係者を対象とした新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等の運用に関する説明会、新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等に規定する建築物の構造に関する基準に関する講習会等を開催したところである。

三のG及びHについて

 平成十九年十月における新建築基準法第六条第一項第一号から第三号までに掲げる建築物の建築確認の申請の件数及び当該建築物の新建築基準法第十八条第二項の通知の件数を合計した件数(以下「確認申請等件数」という。)並びに確認済証の交付件数の前年同期における確認申請等件数及び確認済証の交付件数に対する割合は、平成十九年七月における確認申請等件数及び確認済証の交付件数の前年同期における確認申請等件数及び確認済証の交付件数に対する割合と比較して、いずれも相当程度改善してきており、関係者の新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等による確認審査の実施についての習熟が進んだことがその理由の一つであると考えている。

四の@について

 前回答弁書五及び六についてで挙げた改正法の内容については、いずれも構造計算書の偽装防止に寄与するものと考えている。

四のA及びBについて

 関係者が新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等による確認審査の実施に習熟していない事例として二のBについてで述べたような事例があり、これらの中には構造計算適合性判定に関わるものもあることから、必ずしも御質問の「法の目的である偽装防止に直接寄与していない条項」に関するものとはいえないと考えている。

五について

 国土交通省においては、特定行政庁及び指定確認検査機関に依頼し、月ごとの建築確認等の実態調査を行っているところであり、本年一月以降の当該実態調査の対象事項に建築確認の申請が行われた建築物のうち構造計算適合性判定が必要なものの割合を追加するとともに、建築確認の申請のあった日から構造計算適合性判定を求めた日までの期間及び確認済証の交付を受けた建築物の床面積の合計等についても抽出調査を実施しているところである。

六の@について

 前回答弁書九及び十についてで述べたように、新建築基準法第二十条第二号イ又は同条第三号イの規定による国土交通大臣の認定を受けたプログラム(以下「大臣認定構造計算プログラム」という。)は、建築物の構造計算の迅速かつ適確な実施に資する重要なものである。他方、大臣認定構造計算プログラムによる構造計算を行うかどうかにかかわらず、確認審査の適正かつ円滑な実施により、構造計算書の偽装の防止を図ることができるものと考えている。

六のAについて

 前回答弁書九及び十についてで述べたように、構造計算の過程における不正な入力を防止するための機能を有するものにする必要があること、当該機能について新建築基準法第六十八条の二十六第二項に規定するプログラムの性能に関する評価を受ける必要があることなどにより、開発事業者におけるプログラムの開発が遅れたためである。
 また、国土交通省においては、改正法の施行前から、開発事業者に対する説明会、新建築基準法第七十七条の五十六第二項に規定する指定性能評価機関に対する迅速かつ適確な審査の依頼の実施、当該指定性能評価機関に対する新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等に規定する建築物の構造に関する基準に関する情報の提供等の支援を行ってきたところである。

七の@について

 前回答弁書十一についてで述べたように、改正省令等の施行により、建築確認の申請書の記載事項及び添付図書が拡充されたが、その大部分は従来から建築主事等が必要に応じてその記載又は提出を求めてきたものである。

七のAについて

 前回答弁書十一についてで述べたように、建築士の業務量の状況に関する実態調査については、今後実施する予定である。

七のBについて

 改正法の施行後の構造設計に係る業務量が改正法の施行前の構造設計に係る業務量と比較してどの程度増加したかについては、建築物の規模やその設計を行った建築士等によって状況が異なることから、一概にお答えすることは困難である。なお、七のAについてで述べた建築士の業務量の状況に関する実態調査においては、構造設計に係る業務量についても調査の対象事項とする予定である。

八の@及びB並びに九のCからEまでについて

 月例経済報告の作成に当たり、改正法の施行の影響については、建築工事が着工された建築物の床面積の合計を含む建築着工統計やその他の各種の統計、企業、関係省庁その他関係者からのヒアリングの結果等を分析し、検討した上で総合的に判断を行っているところであり、住宅建設については、平成十九年十二月の月例経済報告において、「下げ止まりつつあるものの、依然として低い水準にある」との判断を示し、また、御指摘の「住宅以外の建設」については、設備投資の先行指標である建築工事費予定額(民間非居住用)が基調として減少していることが確認された同年十一月の月例経済報告に引き続き、「減少している」との判断を示したところであり、いずれも妥当なものと考えている。
 なお、「平成二十年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(平成十九年十二月十九日閣議了解)の中では、平成十九年度の経済動向について、「企業部門の底堅さが持続し、景気回復が続くと見込まれるものの、改正建築基準法施行の影響により住宅建設が減少していること等から、回復の足取りが緩やかになると見込まれる」としており、さらに、平成二十年度の経済見通しについて、民間住宅投資が、「改正建築基準法施行の影響による減少から回復する」とし、また、民間企業設備投資も、「底堅い企業収益に支えられ、改正建築基準法施行の影響から回復することもあり、引き続き増加する」としているところである。

八のAについて

 改正法の施行の影響を数量的に特定することは困難である。

八のC及びDについて

 御質問の「第三四半期の経済成長率」については、内閣府が平成十九年十一月十三日に公表した「平成十九年七〜九月期四半期別GDP速報(一次速報値)」によるものである。

八のEについて

 内閣府が公表している「四半期別GDP速報」における民間住宅の投資額は、国土交通省が毎月公表している建築着工統計における居住専用住宅、居住専用準住宅及び居住産業併用建築物の工事費予定額をそれぞれの平均工期に基づいて出来高として計算したものである。このため、「平成十九年七〜九月期四半期別GDP速報(一次速報値)」における民間住宅の投資額には、御質問の「四〜六月期以前」に着工された建築物の出来高分が含まれており、その割合は七割程度である。

八のF及びGについて

 「平成十九年七〜九月期四半期別GDP速報(一次速報値)」における民間住宅の投資額の減少には、建築着工統計における平成十九年七月から同年九月までの工事費予定額が前年同期の工事費予定額と比較して減少した影響が含まれている。

九の@について

 御質問の「建築着工統計の床面積データ」は、新建築基準法第十五条第一項の規定により建築主が建築物を建築しようとする場合に届け出た建築物の床面積の合計を集計したものである。

九のAについて

 御質問の「確認後の取り下げが発生したとの情報」の趣旨が明らかでないため、お答えできない。

九のBについて

 建築着工統計によると、平成十九年七月から同年十月までに建築工事に着工した建築物の床面積の合計は、前年同期に建築工事に着工した建築物の床面積の合計と比較して、全数で約二千三百二十六ヘクタール、居住用建築物で約千三百五十六ヘクタール、非居住用建築物で約九百七十一ヘクタールの減少となっている。

十について

 改正法及び関係政省令等の円滑な施行を図ることが必要であることにかんがみ、新建築基準法及びこれに基づく関係政省令等の内容については、改正法の施行前においても様々な方法により周知を図ってきたところであるが、結果としてそれが十分ではなかったことが大きな要因であると考えている。



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