答弁本文情報
平成二十年二月二十六日受領答弁第九五号
内閣衆質一六九第九五号
平成二十年二月二十六日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出草の根無償資金援助を巡る債務についての外務省の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出草の根無償資金援助を巡る債務についての外務省の対応に関する質問に対する答弁書
一について
草の根・人間の安全保障無償資金協力(平成十五年に、従来の「草の根無償資金協力」から「草の根・人間の安全保障無償資金協力」に改称した。)は、開発途上国の非政府団体(NGO)、地方公共団体等が実施する草の根レベルに裨益する比較的小規模な社会経済開発事業に対し資金協力を行うものである。
草の根・人間の安全保障無償資金協力の資金は、開発途上国における社会経済開発事業の実施に対し供与されるものであり、我が国国内における宿泊費や飲食費に充てることは認めていない。
外務省として、御指摘の記事が掲載されたことは承知している。
ラリトプール郡南部山岳地帯小規模灌漑施設建設計画については、ネパール・ラリトプール郡南部地域での農業生産性・生産量を向上させる目的で、小規模の灌漑施設を建設するものである。カトマンズ職業訓練支援計画については、家具製造等の木工技術訓練を行う目的で、カトマンズに職業訓練施設を設立するものである。
御指摘の記事にある幼少児国際教育交流協会(以下「協会」という。)が実施した二件の事業の状況については事実である。
外務省が保管している文書によれば、以下のとおりである。
本件事業の実施に際し、協会から平成九年二月末の期限までに報告がなされず、それ以降も在ネパール日本国大使館より再三の催促を行ったにもかかわらず報告が行われなかったため、同大使館は平成十年一月から二月にかけて調査を実施した。当該調査の結果、本件事業が完了していないことが判明したため、外務本省及び同大使館は協会より事業の進捗状況につき再三にわたり説明を求めた。協会から事業の進捗状況についての説明を受けたものの、その内容が十分でなかったことを踏まえ、同大使館は平成十一年三月から十月にかけて追加的な調査を行ったところ、事業が完了していないことが認められたため、平成十二年一月に改めて協会に事業の進捗につき説明を求めた。協会は、従来から自らの努力により事業を完成させたいとの意思を示していたが、平成十二年四月、協会より本件事業の完了が困難であるとの説明があったため、平成十二年五月、外務省より協会に対し、資金の返還を求めた。
お尋ねの担当部局は外務省国際協力局無償資金・技術協力課である。同課の職員が草の根・人間の安全保障無償資金協力に係る業務を担当している。また、お尋ねのコメントを行った部局も同課である。
外務省の協会に対する資金返還請求に対し、協会は返済義務のあることを認めていた。
外務省が協会の解散を知ったのは、平成十五年一月に協会の監事から、平成十四年十一月に協会の解散手続が終了した旨事後的に連絡を受けたことによるものである。外務省としては、平成十四年中も引き続き資金返還の催促を行っていたが、その間も協会から解散手続を行っている旨の連絡は受けていなかった。外務省としては、資金の回収のためあらゆる方策について検討を行ったが、返還させられるべき財産が相手方にないこと等から、当時、法的手段をとらなかったものである。結果として、今般のような事態になったことは遺憾であって、外務省としては、こうした事例を踏まえ、草の根・人間の安全保障無償資金協力の制度の改善を図ってきたところであり、今後も適正な事業の実施の確保に努めてまいりたい。