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答弁本文情報

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平成二十年四月二十五日受領
答弁第三〇三号

  内閣衆質一六九第三〇三号
  平成二十年四月二十五日
内閣総理大臣 福田康夫

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出有明海の浄化と漁業環境の改善に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出有明海の浄化と漁業環境の改善に関する再質問に対する答弁書



一の1、3及び4について

 タイラギ漁業の不漁については、タイラギ資源の減少によるものと考えているが、現在、独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所が、関係県と連携して、有明海におけるタイラギ資源の減少要因の解明に向けた調査を行っているところであり、この調査結果等を踏まえ、減少要因に応じたタイラギ資源の回復策を検討することとしている。

一の2の(1)について

 お尋ねの「JIS A 一二〇四−二〇〇〇」は、工業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)第十一条の規定に基づき定められた日本工業規格において土の粒度試験方法を規定したものであり、その適用粒径は、七十五ミリメートル以下である。
 農林水産省九州農政局が平成元年から諫早湾内において行っている底質の泥分の長期モニタリング(以下「長期モニタリング」という。)においては、この試験方法を採用して、七十五マイクロメートルふるいに残留した土粒子を対象とする「ふるい分析」と七十五マイクロメートルふるいを通過した土粒子を対象とする「沈降分析」により土の粒度組成を求めている。

一の2の(2)について

 長期モニタリングについては、厚さ十二センチメートル程度の底泥を採取するスミスマッキンタイヤー採泥器を用いて行っている。
 同調査は、平成元年から同一の調査地点において継続して行っているものであり、底質の経年的な変化の傾向を把握できる調査であると考えている。
 一方、御指摘の水産庁の調査は、先の答弁書(平成二十年三月二十五日内閣衆質一六九第一八四号。以下「先の答弁書」という。)一の2についてでお答えしたとおり、タイラギ稚貝の分布と底質環境の状態の関係を比較するために平成十五年度から平成十七年度までに実施した短期的調査であり、この結果のみをもって底質が細粒化しているかどうかの判断はできないものである。

二の1について

 長崎県からは、平成十九年八月二十二日に漁業者から諫早湾内の小長井町地先におけるアサリのへい死情報が寄せられ、同月二十四日に同県水産基盤計画課及び水産振興課が現地にて聞き取りを行った結果、潮受堤防付近の漁場におけるアサリのへい死情報を得たことから、同月二十六日に一斉調査を実施したと聞いている。

二の2について

 赤潮を形成する植物プランクトンが死滅すると海底に沈降してバクテリアによって分解されるが、その際、海水中の溶存酸素が消費されて底層が貧酸素化し、アサリがへい死することがあることから、先の答弁書二の1から3までについてで「平成十九年八月の諫早湾におけるアサリのへい死については、赤潮、貧酸素水塊を始めとする様々な要因が複合的に影響したものと考えている。」とお答えしたものである。

三の1について

 先の答弁書における事業に関する事業評価の結果を記述した文書名等については、次のとおりである。
 (1) 下水道、浄化槽その他排水処理施設の整備に関する事業
  下水道の整備に関する事業の事業評価の結果については、「個別公共事業の評価書」に記述しており、国土交通省のホームページ等で公表している。
  浄化槽の整備に関する事業の事業評価の結果については、「環境省政策評価書」に記述しており、環境省のホームページ等で公表している。
  農業集落排水処理施設の整備に関する事業の事業評価の結果については、「公共事業の事業評価書」に記述しており、農林水産省のホームページ等で公表している。
  漁業集落排水処理施設の整備に関する事業の事業評価の結果については、「公共事業の事前評価書」及び「公共事業の事後評価書」に記述しており、農林水産省のホームページ等で公表している。
 (2) 海域の環境の保全及び改善に関する事業
  環境整備船による海域に浮遊するゴミの回収については、海域環境の維持・管理に係るものであるため事業評価の対象としていないが、平成十六年度から平成十八年度までに約三百トンのゴミを回収しており、適切に実施しているところである。
 (3) 河川、海岸、港湾、漁港及び森林の整備に関する事業
  河川の整備に関する事業の事業評価の結果については、「個別公共事業の評価書」に記述しており、国土交通省のホームページ等で公表している。
  海岸の整備に関する事業の事業評価の結果については、「公共事業の事業評価書」及び「公共事業の事前評価書」に記述しており、農林水産省のホームページ等で公表している。
  港湾整備事業の事業評価の結果については、「個別公共事業の評価書」に記述しており、国土交通省のホームページ等で公表している。
  漁港の整備に関する事業の事業評価の結果については、「公共事業の事前評価書」及び「公共事業の事後評価書」に記述しており、農林水産省のホームページ等で公表している。
  森林整備事業及び治山事業の事業評価の結果については、「公共事業の事前評価書」及び「公共事業の事後評価書」に記述しており、農林水産省のホームページ等で公表している。
 (4) 漁場の保全及び整備に関する事業
  漁場環境保全創造事業の事業評価の結果については、「公共事業の事前評価書」に記述しており、農林水産省のホームページ等で公表している。
 (5) 漁業関連施設の整備に関する事業
  強い水産業づくり交付金事業については、強い水産業づくり交付金実施要綱(平成十七年三月二十三日付け水港第三千二百三十五号農林水産事務次官依命通知)において、費用対効果分析の結果、事業の実施により見込まれる効果が事業の実施に要する費用と同等以上であることを事業採択の要件としており、適切な実施を図っているところである。

三の2について

 一般的には、汚水処理人口普及率が向上すれば、汚水処理施設において削減される化学的酸素要求量(以下「COD」という。)の総量が増加することから、河川等の公共用水域に流入するCODの総量は減少し、河川等の公共用水域の水質が改善するものと考えられる。

三の3について

 平成十五年度から平成十八年度までに有明海において実施された漁場環境保全創造事業の費用対効果については、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項に基づき農林水産大臣が定めた農林水産省政策評価基本計画(以下「農林水産省政策評価基本計画」という。)に基づいて農林水産省が行った事前評価において、事業の実施により見込まれる効果が事業の実施に要する費用を上回っていたところである。

三の4について

 平成十五年度から平成十八年度までに有明海において実施された漁場環境保全創造事業については、農林水産省政策評価基本計画に基づいて農林水産省が行った事前評価において、福岡県及び熊本県の行う事業についてもアサリ等の漁獲量の増加が期待できること等を確認し、事業の実施は妥当であると判断したところである。

四の1及び2について

 先の質問主意書(平成二十年三月十七日提出質問第一八四号)四の1及び2でお尋ねの「ノリ漁を含めた漁業環境に影響を及ぼす」ことの内容並びに「開門により予測される濁りの分布」及び「漁業被害」については、平成十六年五月十一日に農林水産省が公表した「有明海の漁業関係者の皆様へ」の補足説明の「中・長期開門調査を実施することによる海域への影響と有明海の再生への取組について」の「中・長期開門調査実施の検討結果」において示されているとおりである。

四の3及び4について

 排水門付近で洗掘を生じさせない開門方法としては、御指摘の九州大学大学院総合理工学研究院経塚雄策教授が「有明海の生態系再生をめざして」で示している開門方法を含め、排水門により調整池水位を管理しつつ海水を導入する方法が考えられる。しかしながら、先の答弁書四の3についてでお答えしたとおり、この方法では、潮位や潮流などに与える変化が小さいため、短期開門調査で得られた成果以上の知見は得られないと考えている。

五の1について

 CODの量について、農林水産省九州農政局が行った調査によれば、平成十六年度の一リットル当たり九・四ミリグラムを最大として、平成十七年度は一リットル当たり八・七ミリグラム、平成十八年度は一リットル当たり七・九ミリグラムと推移していたことから、改善傾向が認められると答弁したものである。
 なお、平成十九年度は一リットル当たり八・六ミリグラムであったが、平成十六年度及び平成十七年度の値を下回っており、全体としては改善傾向にあると考えている。

五の2について

 調整池に流入するCOD、窒素及びリンの総量についてのデータは採取していない。

五の3について

 農林水産省九州農政局により設けられた諫早湾干拓調整池等水質委員会において、平成十九年度に行った水質シミュレーションモデルによる検討結果によれば、平成十五年における調整池のCODの量は、調整池内の底泥の巻上げによるものが一日当たり八千九百三十五キログラムと最も多く、次いで調整池に流入する各種排水によるものが一日当たり四千三百三十六キログラム、調整池内の植物プランクトンの発生によるものが一日当たり三千百二十二キログラムとなっている。

五の4について

 諫早湾干拓調整池等水質委員会が、実施可能と考えられる水質保全対策を逐次行った場合の調整池の水質シミュレーションモデルによる水質予測結果を検討したところ、中長期的には、水質保全目標値の達成は可能であると判断されている。

五の5について

 児島湖では、国、岡山県等において、これまで湖の水質改善等の目的から各種対策を実施してきたところであり、岡山県の資料によれば、CODの量が、昭和六十一年度には一リットル当たり十・〇ミリグラムであったものが、平成十八年度には一リットル当たり八・〇ミリグラムになっていると承知している。
 また、五の4についてでお答えした理由から、調整池で今後水質改善が実現できるものと考えている。



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