答弁本文情報
平成二十年五月二十七日受領答弁第三九九号
内閣衆質一六九第三九九号
平成二十年五月二十七日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出生活保護医療扶助運営要領に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出生活保護医療扶助運営要領に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの調査結果については、現在取りまとめ中であり、今後公表する予定である。
医療扶助の移送費の支給実績については、厚生労働省において、毎年度六月末日までに、都道府県知事等から前年度の報告を受けることとなっており、現時点でお尋ねの件数及び金額についてお答えすることは困難である。
お尋ねの「年間約四千円」は、平成十八年度の医療扶助の移送費給付総額である四十三億八千五百八十一万二千円を、各月の入院外医療扶助人員数の平均である百九万五千七百四十六人で除して得た値の概数である。
お尋ねについては、平成十七年度国民健康保険事業年報によると、同年度末の老人医療受給対象者を除いた被保険者数は、四千二十六万九千五百二十六人である。また、同年度の移送費の支給実績は、老人医療受給対象者に支給されたものを除き、五百四十九件、二千九十五万六千円である。
御指摘の四つの場合の支給実績については把握していない。
御指摘の「身体障害等」には、知的障害、精神障害、疾患等も含まれるが、御指摘の「移動困難な傷病者等」に対し実際に医療扶助の移送費を給付するか否かについては、福祉事務所において、「「生活保護法による医療扶助運営要領について」の一部改正について」(平成二十年四月一日付け社援発第〇四〇一〇〇五号厚生労働省社会・援護局長通知。以下「移送費通知」という。)で示した一定の手順に従い、個々の事案ごとにその内容を審査の上、判断することとなるものである。厚生労働省としては、「身体障害」が例示であることは明らかであり、御指摘のように「身体障害などの障害者手帳を取得している者に限定されないことを明示して通知する必要がある」とは考えていない。
電車、バス等の利用が著しく困難でない場合には、通常、最寄りの医療機関に受診することが阻害されるとは考えられないからである。なお、電車、バス等を利用する場合であっても交通費の負担が高額になる場合には、移送費の支給対象になる場合がある。
御指摘の「へき地等」については、具体的な範囲等を想定して規定しているものではなく、「へき地」も「最寄りの医療機関に電車・バス等により受診する場合であっても当該受診に係る交通費の負担が高額になる」理由の一例として示したものであり、東京都特別区が排除されるものではない。
厚生労働省としては、電車、バス等の料金は地域によって異なるものであり、実際に最寄りの医療機関に行くまでの交通費の負担も地域によって様々であることから、「高額」の基準額を具体的に示すことは困難である。
また、六についてで述べたとおり、実際に医療扶助の移送費を給付するか否かについては、福祉事務所において、移送費通知で示した一定の手順に従い、個々の事案ごとにその内容を審査の上、判断するものであり、移送費の給付範囲を一律に定め、明確化することは適切でないと考える。
今後、移送費通知に照らし不適切な事例が明らかとなった場合には、自治体に対し、必要な指導を行ってまいりたい。
移送費通知の発出により「移送に必要な最小限度の額」を支給するというこれまでの基準を変更するものではなく、移送費通知に基づいて検証を行い、この基準を満たしていると判断される場合には、従来どおり移送費が支給されるものである。
厚生労働省としては、もとより、移送費通知の発出により、必要な医療が受けられなくなるようなことがあってはならないと考えており、今後とも、移送費通知の趣旨の徹底に努めることとしている。御指摘の調査については、これを実施する予定はないが、現在、各自治体において、移送費通知に照らし適切な取扱いがなされているかどうか検証を行っているところであり、厚生労働省としては、その結果も踏まえ、必要な指導を行ってまいりたい。
従来より、通院に要する交通費の負担が医療機関に受診することを阻害するものでない場合は、当該交通費は「移送に必要な最小限度の額」に該当せず、医療扶助の移送費を支給しないこととしており、移送費通知の発出により、この方針を変更するものではない。この方針は、医療機関に受診することが阻害されないように医療扶助の移送費を支給するという考え方に基づくものであり、この考え方は「アルコール依存症の治療のための断酒会や精神障害者等の社会復帰相談事業を活用する際」に、その活用が阻害されないよう生活扶助の移送費を支給することと整合性がとれているものと考える。