答弁本文情報
平成二十年十月三日受領答弁第三九号
内閣衆質一七〇第三九号
平成二十年十月三日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出「ねんきん特別便」の不備及び標準報酬月額改ざん等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出「ねんきん特別便」の不備及び標準報酬月額改ざん等に関する質問に対する答弁書
一について
年金記録問題への対応の緊急性にかんがみると、「ねんきん特別便」の送付により、すべての受給者又は被保険者に、できるだけ早く御自身の加入履歴の確認を行っていただくことが最優先課題であると考えている。仮に「ねんきん特別便」に標準報酬月額を記載することとした場合、そのためのプログラム開発等の作業が必要となり、「ねんきん特別便」の迅速な送付が困難となること、標準報酬月額は「ねんきん特別便専用ダイヤル」や社会保険事務所等で確認可能であること、被保険者についてはインターネットでの年金個人情報提供サービスにおいても確認可能であることから、「ねんきん特別便」に標準報酬月額を記載しないこととしたものである。
来年四月から被保険者へ送付することとしている「ねんきん定期便」については、昨年八月二十三日に厚生労働省において取りまとめた「年金記録適正化実施工程表」に基づいて、標準報酬月額を記載することとしているものである。
また、厚生年金受給者については、本年九月九日の年金記録問題に関する関係閣僚会議において公表した「標準報酬・資格喪失の遡及訂正事案(十七事案)に係る調査結果」を踏まえ、来年中に標準報酬月額の情報を含むお知らせの送付を開始することとしたものである。
社会保険庁としては、御指摘のような場合であっても、本人から標準報酬月額等に誤りがあるとの申出があれば、「ねんきん特別便」に対する当初の回答内容のいかんにかかわらず、年金記録の調査を行い、必要に応じ適切に対処することとしている。
社会保険庁としては、「ねんきん特別便」に対する当初の回答内容のいかんにかかわらず、標準報酬月額等の記録を本人に通知することとしている。
お尋ねの「申請主義」の意味するところが必ずしも明らかではないが、社会保険庁としては、本人に年金記録を確認していただき、少しでも事実に反する疑いのある場合には、必要な調査を行うこととしており、このことは、大臣の発言の趣旨と矛盾するものではないと考えている。
社会保険庁としては、基礎年金番号で管理されていないオンラインシステム上の記録(以下「未統合記録」という。)が本人の基礎年金番号に結び付く可能性の高い方に対して本年三月までに送付した「ねんきん特別便」(以下「名寄せ便」という。)について、本年七月三十一日において約六割の者から回答をいただいているところである。また、名寄せ便の対象とならなかった受給者に対して本年四月から五月にかけて「ねんきん特別便」を送付したところ、本年六月三十日において約七割の者から回答をいただいているところである。
年金記録の統合や年金記録の正確性の確保を進めるためには、「ねんきん特別便」等を受け取った者が記録を十分に確認し、確実に回答していただくことが不可欠であることから、社会保険庁においては、名寄せ便への回答のない者に対して、記録の確認とその結果の回答についてお願いするはがきを送付し、回答の呼びかけを行うことや、名寄せ便の記載内容を訂正する必要がない旨回答した受給者であっても内容から見て実際には訂正する必要がある可能性が高い者については、電話や訪問により、本人の年金記録に結び付く可能性のある記録について具体的な情報を提供し、記録を十分確認されているかどうかについて問合せを行うこと等の取組を進めてきたところである。今後ともこうした取組を進めることにより、「ねんきん特別便」等に対する回答を確実にしていただくよう努めてまいりたい。
社会保険庁としては、本年九月九日の年金記録問題に関する関係閣僚会議において、再発防止策の一環として、適用・徴収関係書類の管理の在り方について、業務の性格等に応じた見直しを検討する方針をお示ししているところであり、今後、当該方針に基づき、必要な見直しについて検討することとしている。
お尋ねのように年金記録確認第三者委員会のあっせんによって標準報酬月額の改ざん記録が訂正された事例は把握しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律(平成十九年法律第百三十一号。以下「厚生年金特例法」という。)第十五条に基づき本年七月に国会に提出した報告によると、厚生年金特例法第二条に規定する特例納付保険料については、保険料総額のおよそ九割が徴収できていないこととなっている。その主な理由としては、事業所が廃止されているため、当該事業所に係る元役員等の調査を継続して行っているため保険料の納付勧奨に至っていないこと等が考えられる。
社会保険庁としては、事業主による標準報酬月額の改ざんが明らかになり、その事業所が存続している場合には、当該事業主から厚生年金保険料の徴収を行うこととなる。仮に、厚生年金保険料を徴収する権利が時効により消滅していた場合であっても、厚生年金特例法第一条第一項に基づき、保険料を納付する義務を履行したことが明らかでない場合に該当するとの年金記録確認第三者委員会の意見があった場合は、年金記録の訂正を行った上で、当時の事業主等に対して特例納付保険料の納付を求めることとなる。
社会保険庁としては、厚生年金特例法に基づき、当時の事業主等に対して特例納付保険料の納付を求めるとともに、社会保険庁職員の不適正な関与が明らかとなった場合は、これに対しても厳正に対処することとしている。