答弁本文情報
平成二十年十月二十四日受領答弁第一三一号
内閣衆質一七〇第一三一号
平成二十年十月二十四日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員保坂展人君提出「年金記録」の「三百十万件廃棄事故」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員保坂展人君提出「年金記録」の「三百十万件廃棄事故」に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、昨年六月二十八日の参議院厚生労働委員会、同年十月十一日の衆議院予算委員会等において、厚生労働大臣等が御指摘の「五十一万件」を含めた厚生年金保険被保険者台帳(以下「旧台帳」という。)の保管状況を調査する旨答弁してきたところである。その後、社会保険庁においては、本年六月から八月にかけて、旧台帳の年金手帳記号番号のデータベース化(以下「データベース化」という。)を行い、あわせて、過去の資料等について改めて調査したところである。
一についてで述べたとおり、社会保険庁においては、データベース化の作業及び過去の資料等の調査を行ったところであるが、その過程で、社会保険業務センターの倉庫において、社会保険業務センターの職員が「厚生年金保険被保険者台帳の引渡し及び廃棄について」(昭和四十七年四月十四日付け庁業発第四百九十四号)に係る決裁文書(以下「廃棄等決裁文書」という。)を発見したものである。
社会保険庁としては、データベース化の作業等により、本年九月上旬に実際に保管されている旧台帳の件数が判明し、廃棄等決裁文書に記載されているとおり、旧台帳の一部の廃棄が確認されたことから、本年九月九日の「年金記録問題に関する関係閣僚会議」において、このことを報告したものであり、保坂展人衆議院議員に報告しなかったことに特段の意図があるわけではない。なお、同議員に対しては、その後、同議員からの求めに応じ、同閣僚会議において配布された資料の内容について説明を行ったところである。
御指摘の「五十一万件廃棄」についても、今回発見した廃棄等決裁文書により確認されたものである。また、御指摘の坂野社会保険庁長官の答弁については、昨年六月二十八日の参議院厚生労働委員会及び同年十月十一日の衆議院予算委員会において厚生労働大臣が行った、「五十一万件廃棄」について内部資料に記載されている旨の答弁、並びに本年九月十八日の参議院厚生労働委員会において社会保険業務センター所長が行った、「五十一万件廃棄」について廃棄等決裁文書に記載されている旨の答弁を踏まえたものである。
御指摘の柳澤厚生労働大臣の答弁は、被保険者に関する原簿の廃棄についての一般的な考え方を述べたものであるが、御指摘の「五十一万件」については、その後、昭和三十二年当時既に死亡している者や資格を喪失したままの高齢の者に係る記録であることが明らかとなったところである。このような記録については、原簿にとどめておく必要性がなかった可能性が高いと考えられることから、その廃棄が厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十八条の趣旨に反するとは、必ずしも言えないと考える。なお、これらと同一の情報を有する厚生年金保険被保険者名簿を社会保険事務所において保管しているところである。
御指摘の「二百六十万件」についても、紙の原簿が廃棄される前に磁気テープ化が行われ、社会保険オンラインシステム上に収録されており、紙の原簿の廃棄が、厚生年金保険法第二十八条の趣旨に反するとは、必ずしも言えないと考える。
御指摘の「三百十万件」については、これらと同一の情報が厚生年金保険被保険者名簿や社会保険オンラインシステム上に収録されて保管されており、年金受給者等に不利益が生じるわけではないと考えている。
旧台帳の保管状況については、舛添厚生労働大臣の指示により、調査を行い、事実関係を明らかにしてきたところであり、今回のデータベース化の作業の結果等についても、本年九月九日の「年金記録問題に関する関係閣僚会議」における報告の後、これを公表するなど、情報の公開に努めているところである。なお、昨年十二月に衆議院厚生労働委員会委員により旧台帳の保管倉庫の視察が行われ、また、本年四月に参議院厚生労働委員会委員により同倉庫の視察が行われている。