答弁本文情報
平成二十年十一月十四日受領答弁第一八八号
内閣衆質一七〇第一八八号
平成二十年十一月十四日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出政府見解と異なる歴史認識を発表した航空自衛隊幕僚長に対する防衛省の対応等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出政府見解と異なる歴史認識を発表した航空自衛隊幕僚長に対する防衛省の対応等に関する質問に対する答弁書
一について
防衛省としては、平成二十年十月三十一日に、懸賞論文の主催者が、受賞論文を公表したことにより、田母神前航空幕僚長が執筆した御指摘の論文(以下「当該論文」という。)の存在を認識したところである。
当該論文は、先の大戦に関する政府の認識と明らかに異なる見解が述べられていると考えており、不適切であるとともに、憲法に関連する重要な事項について不適切な形で見解を述べている。現役の航空幕僚長がこのような内容の論文を発表することは、防衛省・自衛隊に対する国内外からの信頼を著しく傷つけたものと考えている。
田母神前航空幕僚長は、航空幕僚長の職を解かれた平成二十年十月三十一日時点で、既に将官の定年を超えており、勤務期間を延長しない限りその時点で退職となるが、防衛省としては、同氏に規律違反の可能性が排除できなかったことから、同日付けで、勤務期間を同年十一月三十日まで延長したところである。
防衛省としては、田母神前航空幕僚長が航空幕僚長の職を解かれて以降の対応から、同氏が自ら辞職する意思はなく、また、迅速な懲戒手続に協力する見込みもなかったことから、勤務期間を最大限延長した場合の定年退職となる日(平成二十一年一月二十一日)までに懲戒手続を完了することが困難であると判断し、さらに、同氏を空将という航空自衛官の身分を保有させたままにしておくことは好ましくないと判断したことから、延長期限の繰上げにより同氏を退職させたところである。
田母神前航空幕僚長の退職手当については、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定に基づき支給することとなるが、退職手当の金額については、個人に関する情報であるため、答弁を差し控えたい。
防衛省としては、現時点においては、航空自衛隊幹部学校幹部会「鵬友」発行委員会が発行する刊行物「鵬友」に、田母神前航空幕僚長の文章が掲載されており、この中には政府の認識と明らかに異なる見解が述べられていると考えている。
平成二十年十月三十一日に公表された田母神前航空幕僚長の論文の存在を認識して以降、防衛省において同氏のそれまでの部外への意見発表等の状況を確認する過程において、七についてで述べたことを認識したところである。防衛省としては、その時点で同氏に対して、お尋ねのような「措置」を行っていない。