答弁本文情報
平成二十一年十二月一日受領答弁第九一号
内閣衆質一七三第九一号
平成二十一年十二月一日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員山内康一君提出郵政民営化見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山内康一君提出郵政民営化見直しに関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、欧州連合が、平成十七年十月二十七日付けの「日本の規制改革に関するEU提案」において、「郵便貯金銀行と郵便保険会社は、特典が与えられている立場を利用して、移行期間中に新たな商品分野に業務を拡大してはならない。」、「郵便局会社は、郵便貯金銀行と郵便保険会社が求めるのと同じ条件で、銀行や保険会社などの市場参加者の代理店要請を、郵便局会社は受け入れるべきである。」という趣旨の提案等を行ったのに対し、日本国政府は、平成十八年六月九日に提出した「EU側の対日提案に対する正式書面回答」において、「新会社の業務範囲の拡大について主務大臣が決定を行う際は、新商品の導入の審査にあたり対等な競争条件及び経営の自由度が考慮されることとなる。」、「郵便局会社が郵便保険会社以外の保険会社と生命保険募集委託契約等を締結し、保険業法の規制に則りつつこれらの金融機関のサービスを提供すること、また、郵便貯金銀行以外の銀行と、銀行代理店契約を締結し、銀行法の規制に則りこれらの金融機関のサービスを提供することも法律上は可能である。」等の回答を行っている。
また、平成十七年十一月二日付けの「日米間の「規制改革及び競争政策イニシアティブ」に関する日米両首脳への第四回報告書」(以下「第四回報告書」という。)においては、日米両国政府の主張がお尋ねのように記載されているわけではない。
なお、米国政府は、平成十六年十月十四日付けの「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書」において、郵便保険と郵便貯金について民間企業と完全に同一の競争条件を整備すること等を要望しており、具体的には、「郵便保険と郵便貯金事業に、民間企業と同様の法律、規制、納税条件、責任準備金条件、基準、および規制監督を適用する」、「新規の郵便保険、郵便貯金および他の関連業務との間の取引がアームスレングスであることを保証するため、完全な会計の透明性を含む適切な措置を実施する」という趣旨の要望等を行っている。日本国政府としては、これらについて、第四回報告書において、「新金融会社は、他の銀行や生命保険会社に適用されるのと同様のアームズ・レングス・ルールを含む銀行法及び保険業法に基づき金融庁に監督され、公開資本市場において取引される場合の要件を含め、他の民間株式会社に求められるのと同様の会計及びディスクロージャー要件並びに、同様の納税義務が適用されることとなる。」こと等を記載している。
政府としては、現在、御指摘の「郵政改革の基本方針」に基づき、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)、保険業法(平成七年法律第百五号)等に代わる新たな規制を検討しているところである。
今国会に提出した日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案は、日本郵政株式会社の株式の処分の停止等を内容とするものにすぎず、御指摘のような懸念はないものと考える。