答弁本文情報
平成二十一年十二月一日受領答弁第九二号
内閣衆質一七三第九二号
平成二十一年十二月一日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員照屋寛徳君提出米軍の航空機騒音に係る訴訟における損害賠償金等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員照屋寛徳君提出米軍の航空機騒音に係る訴訟における損害賠償金等に関する質問に対する答弁書
一について
国を被告として提訴され、確定した在日米軍の航空機による騒音に係る訴訟は、次のとおりである。
(1) 嘉手納飛行場
昭和五十七年二月二十六日、昭和五十八年二月二十六日及び昭和六十一年九月三十日にそれぞれ六百一名、三百五名及び一名の原告から訴えが提起された「嘉手納基地騒音差止等請求事件」については、平成十年五月二十二日の福岡高等裁判所那覇支部の判決を受け、国は損害賠償金(遅延損害金を含む。以下同じ。)として総額十五億四千八十五万八千四百五十七円を支払っている。
(2) 横田飛行場
昭和五十一年四月二十八日及び昭和五十二年十一月十七日にそれぞれ四十三名及び百十二名の原告から訴えが提起された「横田基地夜間飛行差止等請求事件」については、平成五年二月二十五日の最高裁判所の判決を受け、国は損害賠償金として総額一億六千二百三十万千百九十一円を支払っている。
昭和五十七年七月二十一日に六百四名の原告から訴えが提起された「横田基地夜間飛行差止等請求事件」については、平成六年三月三十日の東京高等裁判所の判決を受け、国は損害賠償金として総額七億二千四百十二万六千五百十六円を支払っている。
平成八年四月十日、平成九年二月十四日及び平成十年四月二十日にそれぞれ三千百四十名、二千七百八十名及び三十七名の原告から訴えが提起された「横田基地夜間飛行差止等請求事件」については、平成十九年五月二十九日の最高裁判所の判決を受け、国は損害賠償金として総額三十九億八千三百五十九万千七百五十三円を支払っている。
平成六年十二月十二日及び平成十二年八月二十四日にそれぞれ三百二十名及び三十九名の原告から訴えが提起された「横田基地夜間飛行差止等請求事件」については、平成二十一年四月十日の最高裁判所の決定を受け、国は損害賠償金として総額二億七千六百七十六万四千八十二円を支払っている。
(3) 厚木海軍飛行場
昭和五十一年九月八日に九十二名の原告から訴えが提起された「航空機発着差止等請求事件」については、平成七年十二月二十六日の東京高等裁判所の判決を受け、国は損害賠償金として総額一億六千九百三十七万四千五百九円を支払っている。
昭和五十九年十月二十二日に百六十一名の原告から訴えが提起された「航空機離着陸差止等請求事件」については、平成十一年七月二十三日の東京高等裁判所の判決を受け、国は損害賠償金として総額一億八千七百五十三万四百四十八円を支払っている。
平成九年十二月八日、平成十年二月二十三日及び同年四月二十七日にそれぞれ二千八百二十三名、六百四十八名及び千六百七名の原告から訴えが提起された「航空機離着陸損害賠償請求事件」については、平成十八年七月十三日の東京高等裁判所の判決を受け、国は損害賠償金として総額五十一億七千八百四十八万九千九百二十二円を支払っている。
(4) 小松基地
昭和五十年九月十六日及び昭和五十八年三月四日にそれぞれ十二名及び三百十八名の原告から訴えが提起された「小松基地戦闘機離着陸差止等請求事件」については、平成六年十二月二十六日の名古屋高等裁判所金沢支部の判決を受け、国は損害賠償金として総額二億二千七百四十万千四百九十一円を支払っている。
平成七年十二月二十五日及び平成八年五月二十一日にそれぞれ千六百五十三名及び百四十八名の原告から訴えが提起された「小松基地戦闘機離着陸差止等請求事件」については、平成十九年四月十六日の名古屋高等裁判所金沢支部の判決を受け、国は損害賠償金として総額十六億五千八百三十五万四千四百六十二円を支払っている。
なお、判決の確定日については、当事者ごとに異なり、最高裁判所の判決又は決定によって確定したものと、高等裁判所の判決に上訴がされなかったことにより法定の上訴期間の満了を受け確定したものがある。また、いずれの事件においても、訴訟費用については、訴訟費用額の確定がなされていないことから、国及び原告らのいずれの側からも支払っていない。
これらの判決については、過去分の損害賠償が一部認容されたものであり、国の主張について裁判所の十分な理解が得られなかったものと考えている。
一についてで述べた訴訟と同種の訴訟で現在係属中のものは、次のとおりである。
(1) 嘉手納飛行場
平成十二年三月二十七日に五千五百四十四名の原告から訴えが提起された「嘉手納基地爆音差止等請求事件」については、嘉手納飛行場周辺住民が、同飛行場におけるアメリカ合衆国軍隊の航空機(以下「米軍機」という。)の夜間離着陸の差止め及び騒音規制並びに騒音等の被害による過去及び将来の損害賠償を求めるとともに、予備的に、前記請求を実現させるため、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会においてアメリカ合衆国と外交交渉する義務があることの確認を求めるものであり、現在、最高裁判所に係属中である。
(2) 普天間飛行場
平成十四年十月二十九日及び平成十五年四月十四日にそれぞれ二百名及び二百四名の原告から訴えが提起された「普天間米軍基地爆音差止等請求事件」については、普天間飛行場周辺住民が、同飛行場における米軍機の夜間離着陸の差止め及び騒音規制並びに騒音等の被害による過去及び将来の損害賠償を求めるとともに、騒音測定の実施による騒音地域の明確化を求めるものであり、現在、福岡高等裁判所那覇支部に係属中である。
(3) 厚木海軍飛行場
平成十九年十二月十七日及び平成二十年四月二十一日にそれぞれ六千百二十八名及び九百二十四名の原告から訴えが提起された「損害賠償等請求事件」については、厚木海軍飛行場周辺住民が、同飛行場における自衛隊機及び米軍機の航空機運航差止め及び騒音規制並びに騒音等の被害による過去及び将来の損害賠償を求めるものであり、現在、横浜地方裁判所に係属中である。
平成十九年十二月十七日に五十八名の原告から訴えが提起された「航空機運航差止等請求事件」については、厚木海軍飛行場周辺住民が、同飛行場における自衛隊機の夜間飛行等及び米軍機の滑走路使用の差止め並びに自衛隊機及び米軍機の騒音規制等を求めるものであり、現在、横浜地方裁判所に係属中である。
(4) 小松基地
平成二十年十二月二十四日及び平成二十一年四月二十七日にそれぞれ二千百二十一名及び百六名の原告から訴えが提起された「小松基地戦闘機離着陸差止等請求事件」については、小松基地周辺住民が、同基地における自衛隊機及び米軍機の夜間等離着陸の差止め及び騒音規制並びに騒音等の被害による過去及び将来の損害賠償を求めるものであり、現在、金沢地方裁判所に係属中である。
(5) 岩国飛行場
平成二十一年三月二十三日及び同年十月三十日にそれぞれ四百七十六名及び百七十八名の原告から訴えが提起された「飛行差止等請求事件」については、岩国飛行場周辺住民が、同飛行場における自衛隊機及び米軍機の夜間離着陸の差止め、騒音規制及び訓練規制、米軍再編により移駐する航空機の離発着の差止め並びに騒音等の被害による過去及び将来の損害賠償を求めるものであり、現在、山口地方裁判所岩国支部に係属中である。
これらの訴訟はいずれも現在係属中であることから、お尋ねの「政府の見解」を述べることは差し控えたい。
米軍機による騒音に係る訴訟に関する損害賠償金等の日米地位協定に基づく分担の在り方(以下「本件分担の在り方」という。)については、我が国政府はアメリカ合衆国政府に対して損害賠償金等の分担を要請するとの立場で協議を重ねてきたが、本件分担の在り方についての我が国政府の立場とアメリカ合衆国政府の立場が異なっていることから、妥結を見ていない。アメリカ合衆国政府との具体的な協議の詳細については、これを公にすると同国政府との信頼関係が損なわれるおそれがあること等から答弁を差し控えたいが、政府としては、本件分担の在り方についての立場の相違の問題の解決に向け、今後とも努力していく所存である。