衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十二年三月五日受領
答弁第一七五号

  内閣衆質一七四第一七五号
  平成二十二年三月五日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員甘利明君提出地球温暖化対策ならびに原子力政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員甘利明君提出地球温暖化対策ならびに原子力政策に関する質問に対する答弁書



一について

 地球温暖化対策基本法案(仮称)の策定に当たっては、広く事業者、国民等の理解と協力を得つつ推進することが重要であると認識しており、昨年十二月、当該法案の検討に先立ち、御指摘の意見募集を実施したほか、本年二月二十三日に開催された地球温暖化問題に関する閣僚委員会副大臣級検討チーム(以下「副大臣級検討チーム」という。)において、事業者、労働者及びNGOの代表者からヒアリングを実施するなど、国民各界各層の幅広い意見を聴取し、これらの意見も参考としつつ、検討を進めているところである。このような検討プロセスを踏んでおり、政府としては、議論が拙速であるという認識はない。今後も広く国民等の御意見を伺い、理解と協力を得つつ、地球温暖化対策を推進していく考えである。
 また、御指摘の国民負担については、当該法案は、我が国における地球温暖化対策の基本的な方向性を定めたものであり、当該法案に係る国民負担を算出することは困難であるが、千九百九十年比二十五パーセント削減に伴う国民負担について、副大臣級検討チームの下に設置したタスクフォース(以下「タスクフォース」という。)においては、モデル分析を行った結果、千九百九十年比二十五パーセント削減を達成する場合には同年比四パーセント増加する場合と比べて経済にマイナスの影響が出ると試算されるものの、他国も高い中期目標を掲げ世界的に地球温暖化対策が進展する場合、炭素税の税収を単に家計に還付するのではなく地球温暖化対策への財政支出や国債の償還に充てる場合又は海外との排出量取引を活用する場合には、国民負担等の経済影響を緩和できる可能性等が示された。一方で、従来の分析手法には限界があるとの指摘もあり、これまでのタスクフォースでは、新たな産業や市場の創出、イノベーションの促進等のプラスの効果の評価の仕方も必ずしも十分に検討できていないことから、これらの点について、引き続き検討を重ねていくこととしている。

二について

 千九百九十年比で言えば二千二十年までに二十五パーセントの温室効果ガスの排出削減を目指すとの中期目標(以下「中期目標」という。)は、我が国として、主要国の背中を押して、積極的な取組を促すことにより、世界全体での温室効果ガスの削減に向けた国際交渉を進展させるため、地球温暖化を防止するために科学が要請する水準に基づくものとして、すべての主要国による公平かつ実効性ある国際的枠組みの構築と意欲的な目標の合意を前提として表明したものである。
 現在検討中の地球温暖化対策基本法案(仮称)においても、このような前提が成立したと認められる場合に中期目標が設定されるものとし、政府は、当該前提が実現するよう努める旨を規定すべく検討している。
 なお、「前提条件付きの法案はこれまで存在していたか」とのお尋ねについては、御指摘の「前提条件付きの法案」についての定義が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。

三について

 米国政府は、最終的な目標は今後制定される関連の国内法令に照らして国連気候変動枠組条約事務局に対して通報されるとの認識の下、二千二十年に二千五年比で温室効果ガスの排出を十七パーセント程度削減するとの目標を本年一月二十八日に同事務局に提出している。この目標は、米国政府が二千九年に同事務局に提出した目録のうち、土地利用、土地利用変化及び林業部門を含まない値を用いて計算すると、千九百九十年比では、約三パーセントの削減となる。
 米国の目標は、二千二十年について我が国の目標と比較した場合には、決して十分とは考えられない。他方、この目標の背景には、二千五十年までに約八十三パーセント削減という要素も含まれており、二千五十年までの温室効果ガス排出の道筋については、一定の評価が可能と考えられる。
 御指摘の「中国が行動計画で示しているGDP比四〇〜四五%削減という目標値」とは、中国政府が本年一月二十八日に国連気候変動枠組条約事務局に提出した、二千二十年までに国内総生産単位当たりの二酸化炭素排出量を二千五年比で四十〜四十五パーセント削減するとの目標を指すものと理解する。そもそも国内総生産は様々な要因によって変わりうるので、十年以上先の国内総生産を確度をもって予測することは不可能であるが、その前提で、御指摘の「GDPが毎年一〇%で伸びると仮定」した場合について、中国の二千九年の名目国内総生産値(中国政府発表の速報値)が今後毎年十パーセント成長すると仮定して単純計算した場合であって、当該目標が達成された時の二千二十年の中国の二酸化炭素排出量は、二千五年比で約三倍になると試算される。
 中国政府が二酸化炭素の排出に関する目標を提出したことは評価する。しかし、各国の排出量のピークアウト(頭打ち)を早期に実現させ、世界全体の排出量を二千五十年までに少なくとも半減させるためには、提出された中国の目標がこれで十分であるというのは難しい。したがって、世界最大の排出国である中国には、今後、引き続き一層の取組を求めていくべきと考える。ただし、「共通だが差異ある責任」の原則の下、中国を先進国と同一の指標で評価するのは困難である。中国等の新興国については、削減行動の内容だけではなく、その法的位置付け、当該国の次期枠組みへの参加の仕方、その取組の国際的なガイドラインに沿った透明性の確保等の点も重要であると考える。

四について

 原子力は、エネルギーの安定供給のみならず、低炭素社会の実現に不可欠であると考えており、安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら、核燃料サイクルを含む原子力の利用を着実に推進していくことが、内閣としての一致した方針である。地球温暖化対策基本法案(仮称)における原子力に関する規定については、現在検討中である。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.