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平成二十二年四月十三日受領
答弁第三四九号

  内閣衆質一七四第三四九号
  平成二十二年四月十三日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員加藤勝信君提出労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員加藤勝信君提出労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に関する質問に対する答弁書



一について

 労働者派遣制度は、労働力の需給調整を図るための制度として、我が国の労働市場において一定の役割を果たしているものと認識している。他方で、行き過ぎた規制緩和により、日雇派遣等の不安定な雇用も増加し、労働者の保護に欠ける面が出てきたことも否定できない。

二の1について

 日雇派遣など社会的に問題のある形態が生じていたこと、また、いわゆる「派遣切り」において、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣についてはその雇用の不安定さが、製造業務派遣については更に技能の継承の問題が指摘されており、これらの問題点の解消を図るためである。

二の2について

 常時雇用する労働者でない者の労働者派遣や製造業務派遣の原則禁止については、その規定の施行の日を、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(以下「本法律案」という。)の公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日とすることで十分な準備時間を確保し、雇用に与える影響を最小限にすることとしている。また、御指摘の労働者派遣の禁止に伴って、労働者派遣による就業ができなくなる派遣労働者の雇用の安定を図ることは必要であると考えており、公共職業安定所又は職業紹介事業者の行う職業紹介の充実等の必要な措置を講ずるよう努めることとしている。

二の3について

 お尋ねのセーフティネットについては、適用事業に雇用されていた労働者が失業して所得の源泉を喪失した場合に、失業等給付を行うことで再就職するまでの生活の安定を図る雇用保険制度が整備されているところである。

二の4について

 二の2について及び二の3についてで述べた対策が十分な効果を上げられるよう取り組んでまいりたい。

三について

 御指摘の事前評価の結果については、厚生労働省のホームページにおいて、「規制影響分析書」として公表している。

四について

 本法律案において、更なる派遣労働者の保護、雇用の安定に重点を置いた措置を講ずることとしていることから、題名及び目的を変更するものである。

五について

 御指摘の調査は、民間の団体が独自に行った調査であり、政府として見解を述べることは差し控えたい。

六について

 本法律案により製造業務派遣が原則禁止された後も派遣労働者が従事していた業務について、引き続き労働力の需要があることが考えられることから、当該派遣労働者が派遣先に直接雇用されることも考えられる。

七について

 厚生労働省の「非正規労働者の雇止め等の状況について(三月報告)」によると、労働者派遣契約の期間満了又は中途解除により、平成二十年十月一日から平成二十二年三月十八日までの間に雇用調整を実施済みであるか又は平成二十年十月一日から平成二十二年六月末までの間に雇用調整を実施予定である派遣労働者の数は、平成二十二年三月十八日調査の時点では十四万八千六百三十四人である。
 同様に、労働契約の期間満了又は解雇により雇用調整を実施済みであるか又は雇用調整を実施予定である契約社員の数は、六万二千五百三十三人である。

八の1について

 @の禁止の理由は、業務の波動性等その特殊性にかんがみ、港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)において、港湾労働の実情を踏まえた特別の雇用調整制度が設けられているためである。
 Aの禁止の理由は、現実に重層的な下請関係のもとに業務処理が行われている中で、建設労働者の雇用の改善等に関する法律(昭和五十一年法律第三十三号)により、労働者を雇用する者と指揮命令する者が一致する請負という形態となるよう雇用関係の明確化、雇用管理の近代化等の雇用改善を図るための措置が講じられているからである。
 Bの禁止の理由は、請負形態により業務を処理することが警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)上求められており、労働者派遣を認めることは、その業務の適正な遂行を確保するためには適当でないためである。
 Cの禁止の理由は、病院等が派遣労働者を受け入れると、病院がチーム医療の構成員を特定できず、また、チーム医療の構成員に派遣元事業主の都合によって差し替えられる者が含まれることとなり、チーム医療の構成員によるお互いの能力把握や意思疎通が十分になされず、チーム医療に支障が生ずるおそれが強く、また、生命及び身体に関わる医療関連業務については慎重を期す必要があるためである。

八の2について

 港湾労働者や建設労働者の雇用の安定を図る等の必要があることから、業務の波動性等に対応して港湾運送事業又は建設事業を行う事業主が他の当該事業を行う事業主に労働者を派遣又は送出できることとすることにより、就労の機会の確保を図ることとしたものである。

八の3について

 医療関連業務については、地域における医療の確保のために労働者派遣を可能とすることが適切な場合もあり、その時々の地域医療の実態を踏まえて適時適切に定める必要があることから、政令で定めることとしているものである。

九の1及び十五について

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「法」という。)第二条第五号に規定する「常時雇用される労働者」は、従来から、期間の定めなく雇用されている労働者のほか、一年を超える期間引き続き雇用されている労働者及び一年を超えて引き続き雇用されると見込まれる労働者を指すものと解釈している。
 法施行以来この解釈で運用されており、これが定着しているとともに、労働政策審議会においても、労使代表を含め各委員が、その解釈を変更しないという前提で審議を行ったものであることから、法律で具体的に定義を明記する必要性は認められなかったものである。

九の2について

 平成二十年秋以降、いわゆる「派遣切り」が多発し、派遣労働者の雇用の不安定さが指摘されたところ、このような問題は、比較的雇用が安定している労働者が派遣される場合であれば生じるおそれが低いことから、本法律案においては、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣を原則禁止することとしているものである。
 また、厚生労働省として把握している限りにおいては、ドイツにおいては、二千三年までは常用型の労働者派遣のみが可能であったと承知している。

九の3について

 お尋ねの調査は行っていない。

九の4について

 常時雇用する労働者でない者の労働者派遣が原則禁止されることにより、従前の形態のままでは労働者派遣による就業ができなくなる派遣労働者数は、平成二十年六月一日時点での労働者派遣事業報告の集計結果を基に一定の前提の下に試算すれば、約二十四万人と考えられる。また、廃業する派遣元事業所の数は、推計していない。

九の5について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。

九の6について

 御指摘の調査は、民間の団体が独自に行った調査であり、政府として見解を述べることは差し控えたい。

九の7及び8について

 派遣元事業主にとって雇用の選択肢が狭められることは事実であると考えられるが、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣の原則禁止をもって、派遣先の労働力の需要が変化するものではないと考えられることから、労働者の雇用機会の減少につながるとの御指摘は当たらないと考えている。

九の9について

 厚生労働省が平成十九年に実施した「平成十九年就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、正社員・出向社員以外の労働者が現在の就業形態を選んだ理由は、「自分の都合のよい時間に働けるから」が四十二・〇パーセント、「通勤時間が短いから」が二十三・二パーセント、「勤務時間や労働日数が短いから」が十五・五パーセントとなっている。常時雇用する労働者でない者の労働者派遣が原則禁止された場合でも、こうした方々がニーズに応じた職に就くことができるよう、短期間の雇用関係の成立のあっせんを行う職業紹介事業の充実等を図っていく必要があると考えている。

九の10について

 厚生労働省の「雇用動向調査」によれば、平成二十年の転職入職者は約四百十三万六百人である。

九の11について

 厚生労働省の「雇用動向調査」によれば、平成二十年における入職者数のうち、公共職業安定所を通じた者は約百二十六万一千四百人、民営職業紹介所を通じた者は約十万二千六百人、縁故による者は約百五十万六千七百人である。

九の12について

 求人及び求職の状況は、その時々の景気・雇用情勢により変動することから、具体的な分析は困難であるが、政府としては、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣の禁止に伴って、労働者派遣による就業ができなくなる派遣労働者の雇用の安定を図ることは必要であると考えている。現時点においては、非正規労働者総合支援センター等を活用した派遣労働者等に対する総合的な就労及び生活支援等を実施しているところであるが、今後、更に必要な措置の検討を行い、公共職業安定所又は職業紹介事業者の行う職業紹介の充実等の必要な措置を講ずるように努めることとしている。

十の1について

 本法律案による改正後の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「改正後の法」という。)第三十五条の三第一項第一号に規定する業務については、派遣労働者自身に交渉力が期待され、又は特別の雇用管理が必要とされることから、禁止の例外としているものである。
 産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替要員派遣については、育児休業等の取得を促進する観点から、禁止の例外としているものである。
 六十歳以上の高年齢者の労働者派遣については、高齢者の雇用機会の確保に資することから、禁止の例外としているものである。
 紹介予定派遣については、派遣労働者が派遣先で直接雇用されることを実現する手段となり得るものであることから、禁止の例外としているものである。

十の2について

 常時雇用する労働者でない者の労働者派遣については、派遣労働者の雇用の安定を確保する観点から原則禁止とするものであるが、禁止の例外とするか否かについては、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣を認めても雇用の安定を確保する観点から問題がないかどうかとの観点や、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣を認めることが他の政策目的に資するかどうかとの観点から判断しているところ、御指摘の業務については、これらの観点から、禁止の例外とすることは適当でないと考えたものである。

十の3について

 法第四十条の二第一項第一号に掲げる業務について、様々な意見があることは承知しているが、当該業務の在り方については、今後必要に応じて、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとなるものと考えている。

十一の1について

 平成二十年秋以降、いわゆる「派遣切り」が多発し、その大半が製造業で発生するなど、特に製造業務派遣において、派遣労働者の雇用の不安定さが顕著に現れており、製造業の技能伝承の観点等からも問題があると指摘されたことから、本法律案においては、製造業務派遣を原則禁止することとしている。
 また、厚生労働省として把握している限りにおいては、製造業務派遣について禁止している国は承知していない。

十一の2について

 製造業務派遣の原則禁止により、従前の形態のままでは労働者派遣による就業ができなくなる派遣労働者数は、平成二十年六月一日時点での労働者派遣事業報告の集計結果を基に試算すれば、約二十万人と考えられる。また、廃業する派遣元事業所の数は、推計していない。

十一の3について

 適正な請負かどうかについては、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和六十一年労働省告示第三十七号)に基づき、個別具体的な判断を行ってきたが、事業主が自ら適正な請負かどうか判断するため、疑義応答集も示し、更なる行政解釈の明確化を行い、偽装請負の発生防止に取り組んできたところである。
 偽装請負などの不適正な請負が、是正されるよう、今後とも、法に基づく指導、助言及び勧告等を行ってまいりたい。

十一の4について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。

十一の5及び十三の1について

 御指摘の「専門職制度」については、範囲の設定が不明確となるほか、技術の進歩の速度を考えれば、製造業において求められる専門性は短い期間で変化し、必ずしも雇用の安定が十分とはいえない場合も生じ得ると考えられることから、禁止の例外としては設定しないこととしたものである。
 製造業務派遣は、派遣労働者の雇用の安定の観点から原則禁止するものであることから、禁止の趣旨にかんがみ、派遣元に常時雇用されることにより雇用の安定が図られる常時雇用する労働者の労働者派遣を例外とすることとしたものである。

十一の6について

 有期の労働契約である場合であっても、派遣労働者と異なり、事業主に直接雇用される者は、雇用関係や指揮命令関係が明確であることから、派遣労働者と同列に論じることは必ずしも適切ではないと考えている。

十一の7について

 御指摘の調査は行っていないが、製造業に従事する労働者が約一千万人いる中で、十一の2についてで述べたとおり、製造業務派遣の原則禁止によって影響を受ける者の数は約二十万人にとどまることから、このことのみをもって、製造拠点の海外展開を促すものとはならないと考えている。

十一の8について

 他から業務を請け負った事業主に雇用され、当該請け負った業務に従事する労働者は、派遣労働者と異なり、事業主に直接雇用される者であり、雇用関係や指揮命令関係が明確であることから、派遣労働者と同列に論じることは必ずしも適切ではないと考えている。
 なお、有期労働契約の在り方については、厚生労働省において、学識経験者による研究会で検討を行い、本年夏頃までに報告書を取りまとめることとしており、当該報告書も踏まえ、労働政策審議会において審議をいただき、その結果を踏まえ、必要となる施策を検討してまいりたい。

十一の9について

 請負は、労働者派遣のように雇用関係と指揮命令関係とが異なっているわけではなく、請負事業主が使用者としての責任に基づき労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)等を遵守すべきであるところ、現時点では、御指摘のような新法を検討することは考えていない。

十一の10について

 製造業務派遣は、特に派遣労働者の雇用の安定に問題の大きい業務であることから、労働者の雇用に配慮しつつも、可能な限り早く原則禁止とすべきものであるが、比較的問題が少なく労働者のニーズもある業務への労働者派遣については、禁止の影響を最小限に抑えるため、御指摘の暫定措置を置き、段階的に禁止することとしたものである。

十二の1から4までについて

 御指摘の調査は、民間の団体が独自に行った調査であり、政府として見解を述べることは差し控えたい。

十二の5について

 製造業務派遣の原則禁止の規定の施行の日は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日としており、御指摘の調査については、当該施行の日までの製造業務派遣をめぐる状況等を見極めつつ、適切な対応をしてまいりたい。

十三の2について

 製造業務派遣を原則禁止する理由は、十一の1についてで述べたとおりであり、労働者派遣の対象業務として適当でないことから、労働者派遣の禁止業務に追加するものである。そのため、御指摘のような禁止の例外は認めることは適当でないと考えている。

十四について

 民間職業仲介事業所に関する条約(第百八十一号)(平成十一年条約第九号)の御指摘の規定は、特定の種類の労働者又は特定の部門の経済活動について、労使協議を経た上で労働者派遣事業を禁止することができる旨を規定している。今回の改正は、御指摘の規定の求める労使協議に当たる労働政策審議会における審議を経て、労働者の保護を図る観点から禁止すべきと判断された特定の業務について労働者派遣事業を禁止するものであり、本法律案による措置が御指摘の規定に反することにはならないと考えている。

十六について

 派遣先は、原則一年最長三年まで労働者派遣の役務の提供を受けることが可能であるが、当該労働者派遣の期間中に本法律案により労働者派遣が禁止され、労働者派遣の役務の提供を受けることができなくなることは適当ではなく、また、派遣労働者が当該派遣先での労働者派遣による就業ができなくなることにより職を失うこととなることも適当ではないことから、禁止の影響を最小限のものとするため、禁止までの一定の猶予期間を置くこととしたものである。

十七について

 お尋ねの政令で定める業務について、具体的にどのような業務を対象とするかについては、本法律案の成立後、実態を調査し、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。また、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣の原則禁止について、最長五年の猶予期間を設ける理由については、十一の10についてで述べたとおりである。

十八の1について

 社会保険の適用の基準となる二月を基準とすることにより、派遣元事業主がより適切に雇用者責任を果たし、派遣労働者の保護が図られるようにするためである。

十八の2及び4について

 お尋ねのマッチングについては、職業紹介により図っていくこととなるが、日雇派遣労働者の円滑な移行のため、公共職業安定所又は職業紹介事業者の行う職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めることとしている。

十八の3について

 改正後の法第三十五条の四第一項の政令で定める業務については、現時点において、日雇派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題のない業務等を想定しているが、その具体的な内容については、本法律案の成立後、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。

十八の5について

 厚生労働省の「職業安定業務統計」によれば、平成二十一年における一般の労働者に対する公共職業安定所を通じた日雇労働の紹介件数は二万三千五百七十五件であり、仕事内容は主に生産工程・労務の職業及び事務的職業である。
 また、日雇労働被保険者手帳を所持する日雇労働者については、公共職業安定所の紹介による平成二十一年における就労延数は二十三万九千四百五人日であり、仕事内容は主に生産工程・労務の職業である。
 公共職業安定所における日雇労働の紹介件数は、景気動向等により変動するため、今後の見込みをお答えすることは困難である。

十八の6について

 平成二十年度職業紹介事業報告の集計結果によれば民営職業紹介所における平成二十年度の日雇就職延数は一千四百六十七万一千三百一人日であり、家政婦、マネキン、配ぜん人等の職種が主である。また、お尋ねの民営職業紹介所の設立数の見込み及び日雇就職件数の見込みについては、事業所の状況によって様々であり、一概にお答えすることは困難である。

十八の7について

 日雇派遣の原則禁止は、雇用管理上問題のある派遣形態を禁止することによって、派遣元事業主がより適切に雇用者責任を果たし、派遣労働者の保護を図るものであり、御指摘の日雇紹介へ移行した場合の社会・労働保険の適用問題の解決を目的とするものではない。

十八の8について

 御指摘の形態については、二月を超える期間の労働契約を締結していることから、日雇派遣の原則禁止の脱法行為とはならないものと考えている。

十九について

 御指摘の規定については、例えば、就業日など、みなされた労働契約の内容が不明確である等の問題があるためである。

二十の1について

 グループ企業内の労働者派遣については、本来、労働者派遣制度に期待される労働市場における需給調整機能を果たしておらず、適当ではないためである。

二十の2について

 「総労働時間」を用いることとした理由は、例えば、「人日」で算定することとした場合、一日の就業時間が長時間である労働者派遣契約と短時間である労働者派遣契約が同様に取り扱われることとなり適当ではないためである。
 また、改正後の法第二十三条の二の厚生労働省令で定める具体的な内容については、本法律案の成立後、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。

二十一について

 お尋ねの労働者派遣については、派遣先で直接雇用されるべき者に派遣労働者が代替しないようにすることが求められる法の趣旨から、労働者派遣の形態として適当ではないためである。
 また、改正後の法第四十条の十第一項の厚生労働省令で定める者については、現時点において、他の事業主の事業所を六十歳以上の定年により退職した後雇い入れた者を想定しているが、その具体的な内容については、本法律案の成立後、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。

二十二について

 本法律案においては、その施行に当たり、十分な準備期間が確保されることにより派遣労働者や派遣元事業主に対する影響を最小限のものとするよう、常時雇用する労働者でない者の労働者派遣や製造業務派遣の原則禁止については、その規定の施行の日を、本法律案の公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日とするとともに、必要な経過措置を設けているところである。

二十三について

 お尋ねの措置については、現時点においては、非正規労働者総合支援センター等を活用した派遣労働者等に対する総合的な就労及び生活支援等を実施しているところであるが、今後、更に必要な措置の検討を行うこととしている。
 また、本法律案の施行後三年を目途として、改正後の法の規定の施行状況等を勘案し、更なる派遣労働者の保護のための方策を踏まえ、改正後の法の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしている。

二十四の1について

 派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担に関する措置等である。

二十四の2について

 改正後の法第二十九条の二の規定に基づく措置に係る負担としては、派遣元事業主が派遣労働者の解雇を余儀なくされた場合の労働基準法第二十条の規定による解雇予告手当の支払に要する費用を確保するための当該費用の負担等が想定される。なお、派遣元事業主の逸失利益については、個々の状況によって様々であり、一概にお答えすることは困難である。

二十五の1について

 期間を定めて雇用される派遣労働者について、期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進することにより、当該派遣労働者の雇用の安定等を図るためである。

二十五の2について

 改正後の法第三十条の厚生労働省令で定める者については、現時点において、一年以上にわたり期間を定めて雇用する派遣労働者であった者を想定しているが、その具体的な内容については、本法律案の成立後、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。

二十六の1について

 改正後の法第三十条の二の規定により考慮することが求められる「均衡」は、派遣労働者と当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先の労働者とを比較して、賃金等について釣合いが取れているか否かが判断されるものである。これに対して、「均等」は、平等で差がないか否かが判断されることとなる。

二十六の2について

 お尋ねについては、政府としてお答えする立場にない。

二十六の3及び6について

 改正後の法第三十条の二第一項の規定は、派遣労働者の待遇の向上を図るため、派遣元事業主がその雇用する派遣労働者の賃金を決定するに当たり、当該派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮要素とすることを求める趣旨であり、お尋ねのような場合について、当該規定により派遣労働者の賃金を引き下げることが求められるものではない。

二十六の4及び7について

 派遣元事業主が改正後の法第三十条の二の規定に基づく配慮を行わなかった場合には、法第四十八条の規定に基づく指導等の対象となり得る。

二十六の5及び8について

 お尋ねについては、個々の事案に応じて、裁判所において適切に判断されるものと考えている。

二十六の9について

 お尋ねの情報の範囲については、個々の派遣元事業主によって様々であり、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、派遣先における個人情報の保護の観点から問題のない範囲に限られるものと考えている。

二十七について

 お尋ねについては、本法律案の成立後、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。

二十八について

 お尋ねについては、本法律案の成立後、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。

二十九の1から3までについて

 改正後の法第三十一条の二の厚生労働省令で定める事項については、現時点において、労働者派遣制度の仕組み等を想定しているが、その具体的な内容及びお尋ねの説明の具体的な方法については、本法律案の成立後、労働政策審議会における審議を踏まえて検討することとしている。

二十九の4について

 改正後の法第三十一条の二の規定により求められる待遇に関する事項等の説明については、賃金の額等についてその見込みを説明することを義務付けるものであるが、派遣元事業主が当該義務を果たしていない場合には、法第四十八条の規定に基づく指導等の対象となり得る。

三十の1について

 御指摘の「期間を定めないで雇用される労働者」は、派遣元事業主と期間の定めのない労働契約を結んでいる派遣労働者のみを指すものであり、有期労働契約を反復更新されて一年を超えて雇用される者又は一年を超えて雇用される見込みのある者は含まれない。

三十の2について

 法第四十条の四の規定については、本法律案による改正後も、期間を定めないで雇用される労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けている派遣先に対して適用される。

三十一について

 お尋ねについては、現時点において、紹介予定派遣である旨等を想定している。

三十二の1について

 派遣先が違法な労働者派遣の役務の提供を受けているような場合には、派遣労働者の雇用が失われないようにしつつ当該労働者派遣を是正するとともに、改正後の法による規制の実効性を確保する必要があることから、違法な労働者派遣の役務の提供を受け入れた派遣先に対して派遣労働者の保護にもつながる形で民事上の措置を講ずることとしたものである。
 なお、お尋ねの労働契約申込みみなし規定は、あくまでも派遣先が違法な労働者派遣の役務の提供を受けていた場合に限定して派遣先に対する民事上の措置を講ずることとしたものであり、また、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)との関係では、労働者派遣の特殊性を踏まえた特則と言えるものであることから、御指摘のような問題があるとは考えていない。

三十二の2について

 いずれも、派遣先が行う重大な法違反であるからである。

三十二の3について

 御指摘の判決においては、「企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができる」とされているものと承知しており、お尋ねの労働契約申込みみなし規定は、本法律案により法律による特別の制限を設けるものであることから、御指摘のような問題があるとは考えていない。

三十二の4について

 お尋ねについては、個々の事案に応じて、裁判所において適切に判断されるものと考えている。

三十二の5について

 お尋ねについては、個々の状況によって様々であり、一概にお答えすることは困難である。

三十二の6について

 三十二の1についてで述べたとおり、改正後の法による規制の実効性を確保することが労働契約申込みみなし規定を設けた趣旨であるからであり、現時点において、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第四十四条違反を労働契約申込みみなし規定の対象とする予定はない。

三十三の1について

 法違反を繰り返す派遣先に対して、迅速に対処し、派遣先の法令遵守を確保するための措置の強化を図るためである。

三十三の2について

 個別の事案に応じて判断を行うため、一概にお答えすることは困難である。

三十四について

 改正後の法第六条第五号から第七号までの規定については、これらの規定に該当する者が労働者派遣事業を行うことを認めることとすれば、法の遵守を期待できない者について労働者派遣事業を行うことを認めることとなり、労働者派遣事業の適正な運営が確保できないおそれがあるためである。
 改正後の法第六条第八号、第十一号及び第十二号の規定については、これらの規定に該当する者が、労働者派遣事業を適正に行うことが期待できず、これらの者を適切に排除することは治安対策にも資するものであるからである。

三十五について

 労働者災害補償保険において、派遣先の事業主等が生じさせた労働災害について政府が保険給付をした場合に、当該派遣先の事業主等に対して損害賠償請求を行うことは、派遣先の事業主等が労働災害を防止するインセンティブを高めるものであると考える。派遣先の事業主等に対する損害賠償の円滑な実施のため、行政庁が、当該職員に、派遣先の事業の事業場等に立入検査させることができるものとすること等としたものである。
 また、労働者派遣事業における事業主の災害補償責任については、(イ)派遣元事業主は、労働者の派遣先の事業の事業場を任意に選択できる立場にあり、労働災害が発生した派遣先の事業主と労働者派遣契約を締結し、当該労働者派遣契約に基づき労働者を派遣したことに責任があること、(ロ)派遣元事業主は、派遣労働者を雇用し、自己の業務命令によって派遣先の事業の事業場において就労させているため、派遣労働者を雇用している者として、派遣元事業主自らが派遣労働者の安全衛生の確保に責任を負っている事項を履行するばかりでなく、派遣先の事業の事業場において派遣労働者の安全衛生が確保されるよう十分配慮する責任があること等を考慮すれば、派遣元事業主に災害補償責任を負わせることが適当であるため、本法律案においては、その見直しを盛り込んでいないところである。

三十六の1について

 平成二十二年三月十七日に開催された基本政策閣僚委員会における協議において、御指摘の規定が労働者の差別につながるとの意見があり、これを削除することとしたものである。なお、与党内の議論については、政府としてお答えする立場にない。

三十六の2について

 政府としては、労働政策審議会における公労使三者の合意の重要性については十分に認識しているところであり、本法律案の成立後は、労使の協力を得ながら改正後の法の円滑な施行を図ってまいりたい。



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