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答弁本文情報

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平成二十二年十一月二十六日受領
答弁第一七〇号

  内閣衆質一七六第一七〇号
  平成二十二年十一月二十六日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員服部良一君提出六ヶ所再処理工場のガラス固化溶融炉試験等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員服部良一君提出六ヶ所再処理工場のガラス固化溶融炉試験等に関する質問に対する答弁書



一の1の(1)について

 日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)からは、日本原燃の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉(以下「ガラス溶融炉」という。)での低模擬廃液を用いた試験は、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所モックアップ試験棟確証改良溶融炉(以下「KMOC」という。)で確認された安定運転の条件を、ガラス溶融炉において確認するためのものであり、六ヶ所再処理施設の使用済燃料を用いた総合試験(以下「アクティブ試験」という。)の一環として行われるものであると聞いている。

一の1の(2)について

 平成二十二年十一月一日に日本原燃から経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)に提出された「再処理施設高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉運転方法の改善検討結果について(改正版 その2)」(以下「運転方法改善検討結果報告」という。)には、KMOCにおける試験結果等に基づくガラス溶融炉におけるガラスの流下性低下の原因の評価、当該評価を踏まえたガラス溶融炉の運転方法等の改善及びアクティブ試験再開後の試験計画等が記載されている。保安院は、適正な使用前検査の実施の観点から、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会再処理ワーキンググループ(以下「再処理ワーキンググループ」という。)における運転方法改善検討結果報告に対する専門家の意見も聴取しつつ、ガラス溶融炉の安定運転の条件等について検討を行っている。

一の1の(3)について

 日本原燃による化学試験の段階において、保安院は、「日本原燃(株)再処理施設の試験運転段階の安全規制について−試験運転計画の確認の基本方針及び使用前検査の進め方−」(平成十四年八月七日総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会核燃料サイクル安全小委員会報告書)に基づき、ガラス溶融炉の閉じ込め機能に必要な高レベル廃液ガラス固化廃ガス処理設備の負圧維持支援機能等について使用前検査を実施し、その機能を確認の上問題はないと判断しており、現在もその判断に変更はない。

一の2及び3について

 日本原燃からは、これまでにアクティブ試験で確認されたガラス溶融炉の安定運転に関する技術的課題の解決に向け、KMOCで確認された安定運転の条件等をガラス溶融炉で確認する上で、まずはガラス溶融炉とKMOCとの構造の違いのみに着目した評価を行うことが必要であり、そのためには可能な限り構造以外の違いを排除する必要があることから、炉内に残留する白金族元素及び崩壊熱の影響が考えられるガラス溶融炉A系列ではなく、KMOCと同様に高レベル廃液を供給したことのないガラス溶融炉B系列での試験を行うこととしたと聞いている。保安院は、適正な使用前検査の実施の観点から、再処理ワーキンググループにおける運転方法改善検討結果報告に対する専門家の意見も聴取しつつ、ガラス溶融炉の安定運転の条件等について検討を行っている。

一の4について

 運転方法改善検討結果報告には、ガラス溶融炉のガラスの温度等安定した運転状態の維持に係る指標についても記載があり、保安院は、適正な使用前検査の実施の観点から、再処理ワーキンググループにおける運転方法改善検討結果報告に対する専門家の意見も聴取しつつ、ガラス溶融炉の安定運転の条件等について検討を行っている。

一の5について

 日本原燃からは、ガラス溶融炉については、温度測定点の追加等により温度管理を適切に行うことによって、安定運転が可能となると聞いている。
 保安院としては、今後、六ヶ所再処理施設において新たな課題が発生した場合は、その都度、適正な使用前検査の実施の観点から、再処理ワーキンググループにおける専門家の意見も聴取しつつ、ガラス溶融炉の安定運転の条件等について検討を行っていく所存である。

二の1の(1)及び(2)について

 運転方法改善検討結果報告には、白金族元素のたい積等によるガラスの流下性低下の原因の評価及び当該評価を踏まえたガラス溶融炉の運転方法等の改善についても記載があり、保安院は、適正な使用前検査の実施の観点から、再処理ワーキンググループにおける運転方法改善検討結果報告に対する専門家の意見も聴取しつつ、ガラス溶融炉の安定運転の条件等について検討を行っている。

二の1の(3)について

 原子力機構からは、御指摘の「TVF2号炉」については、白金族元素のたい積を緩和するために、従前の溶融炉から設計を変更したほか、運転方法の改善を行っていると聞いている。

三の1について

 日本原燃からは、御指摘の「改良型溶融炉」は現行のガラス溶融炉の後継機として現在開発中のものであること、また、現行のガラス溶融炉は平成二十四年十月の六ヶ所再処理施設のしゅん工時においても使用可能であることから、しゅん工時までに御指摘の「改良型溶融炉」を導入する予定はないと聞いている。

三の2について

 日本原燃からは、六ヶ所再処理施設の平成二十四年十月のしゅん工に向け、今後取り組むべき課題が明らかになっており、運転方法改善検討結果報告に記載された新たな試験計画に沿って、着実に取組を進めていくと聞いている。政府としても、安全の確保を大前提として、六ヶ所再処理施設のしゅん工に向け必要な支援を行ってまいりたい。

四の1について

 御指摘の「完成された技術」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府が、核燃料サイクル開発機構(当時)が開発した技術を、外部専門家により技術の成立性が実証されたものと認識している根拠等については、先の答弁書(平成二十二年四月三十日内閣参質一七四第六〇号)六についてで述べたとおりである。

四の2について

 日本原燃からは、原子力機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所モックアップ試験棟において試験を行い、ガラス溶融炉の大型化及び高レベル廃液ガラス固化設備内での高レベル廃液濃縮過程の省略の影響について確認したと聞いている。

四の3について

 日本原燃からは、六ヶ所再処理施設の平成二十四年十月のしゅん工に向け、ガラス溶融炉の安定運転に関する技術的課題の解決に向けた取組も含め、今後取り組むべき課題が明らかになっており、運転方法改善検討結果報告に記載された新たな試験計画に沿って着実に取組を進めていくと聞いている。政府としても、安全の確保を大前提として、六ヶ所再処理施設のしゅん工に向け必要な支援を行ってまいりたい。

四の4について

 仮定のお尋ねにお答えすることは差し控えたいが、使用済燃料の再処理を含む核燃料サイクルについては、「エネルギー基本計画」(平成二十二年六月十八日閣議決定)にあるとおり、「中長期的にブレない」確固たる国家戦略として、引き続き、着実に推進することが、政府としての方針である。



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