答弁本文情報
平成二十二年十二月七日受領答弁第二〇九号
内閣衆質一七六第二〇九号
平成二十二年十二月七日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員服部良一君提出「奨学金返還延滞増加」と「回収策強化」、「教育無償化」を巡る問題についての政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員服部良一君提出「奨学金返還延滞増加」と「回収策強化」、「教育無償化」を巡る問題についての政府の認識に関する質問に対する答弁書
一について
我が国においては、高等教育の無償化については、そのための財源の確保等の課題があることを踏まえ、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第六号)第十三条2(c)の規定の適用に当たり、「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保している。
文部科学省としては、教育の機会均等の観点から、その留保撤回を具体的な目標とし、今後とも、能力があるにもかかわらず、経済的理由により修学に困難がある学生等に対し、独立行政法人日本学生支援機構(以下「機構」という。)による学資の貸与、各大学が実施する授業料減免等を通じて、支援に努めてまいりたいと考えている。
なお、いわゆる給付型の奨学金については、高等教育を受ける者と受けない者との負担の公平や財源の確保等に関する課題があり、諸外国の例も参考にしつつ、検討してまいりたい。
御指摘の「都道府県格差」の趣旨が必ずしも明らかではないが、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成二十二年法律第十八号)により、公立高等学校については授業料を徴収しないこととされるとともに、私立高等学校等の生徒等については保護者等の収入の状況に応じて所要の額の高等学校等就学支援金が支給されている。また、各都道府県においては、地域の実情に応じて、私立の高等学校等における授業料の減免措置に対する補助事業や、機構から移管された事業を含む高等学校等の生徒に対する奨学金事業が行われている。政府としては、これらの都道府県の取組に対し、当該補助事業に対する国庫補助及び地方交付税措置、当該奨学金事業に係る資金の交付等の支援を行っているところであり、私立の高等学校等の生徒のうち低所得世帯の者に対する支援は、全ての都道府県において従来と同水準か更に手厚い支援となっているものと認識している。
政府としては、学ぶ意欲のある高等学校等の生徒が経済的理由により修学を断念することがないよう、今後とも支援に努めてまいりたい。
文部科学省としては、機構においては、学資金返還に係る延滞者への金融機関による過剰貸付けを抑制し、多重債務化を防止することは、教育的な観点からも極めて有意義であるとともに、返還促進を図る上でも有効であるとの考えから、御指摘の「延滞個人情報提供」を行っているものと承知しており、今後とも適切に行われるよう促してまいりたい。
文部科学省としては、御指摘の「支払金充当順位に係る規定」の改定については、機構において適切に検討すべきものであると認識している。
文部科学省としては、御指摘の「延滞金の減免に関する施行細則」については、学資金の貸与を受けた者等に対する周知を含め、機構において適切な運用がなされるよう促してまいりたい。
学資金の返還が困難となった者の負担の軽減については、現在、割賦金の額を減額して返還することができることとする制度の導入を検討しているところである。
文部科学省としては、貸与された学資金の適切な回収は、次の世代に対する学資金の原資を確保するためにも重要であると認識しており、今後とも、機構において、学資金の貸与を受けた者の就労等の状況を踏まえつつ、適切な回収が行われるよう促してまいりたい。
文部科学省としては、御指摘の「「返還猶予」、「返還免除」、「債権償却」の各制度」の運用については、今後とも、学資金の貸与を受けた者等に対するこれらの制度の周知を含め、機構において適切な対応が行われるよう促してまいりたい。