答弁本文情報
平成二十二年十二月十日受領答弁第二二三号
内閣衆質一七六第二二三号
平成二十二年十二月十日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員浅野貴博君提出最高裁判所裁判官に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浅野貴博君提出最高裁判所裁判官に関する質問に対する答弁書
一について
最高裁判所裁判官国民審査(以下「国民審査」という。)は、内閣の意思に基づき、既に天皇又は内閣によって任命された最高裁判所の裁判官を罷免すべきか否かを国民が決定する制度である。国民審査については、従来より、衆議院議員総選挙に際し、総務省及び都道府県の選挙管理委員会等において、ホームページなどの広報媒体を活用した啓発を行い、制度の周知徹底に努めているところであり、その意義、目的等は国民に広く認識されているものと考えている。
お尋ねについては、国民審査のための国民の判断材料の一つとして、最高裁判所裁判官国民審査法(昭和二十二年法律第百三十六号)第五十三条の規定に基づき、都道府県の選挙管理委員会から、審査に付される裁判官の氏名、生年月日及び経歴並びに最高裁判所において関与した主要な裁判その他審査に関し参考となるべき事項を掲載した審査公報が国民審査ごとに発行され、基本的な情報が示されるとともに、国民が国民審査において判断をするに当たっては、普段から目にする最高裁判所の裁判官や裁判に関する日頃の報道等も併せて判断材料とされるものと考えており、十分な判断材料が示されているものと考えている。
一について及び二についてでお答えしたとおり、国民審査については、その意義、目的等は国民に広く認識され、また、国民に十分な判断材料が示されているものと考えていることから、最高裁判所の裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かについて、国民においては、適切に判断されているものと考えており、「単なるセレモニーの一つとなってはいないか」との御指摘は当たらないものと考えている。
三についてでお答えしたとおり、国民審査については、その意義、目的等は国民に広く認識され、また、国民に十分な判断材料が示されているものと考えていることから、最高裁判所の裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かについて、国民においては、現行制度により適切に判断されているものと考えており、御指摘のような「方法」を導入することは考えていない。
現職の最高裁判所の裁判官で、司法試験に合格していないものは二人であり、司法試験に合格していて司法修習を終了していないものはいない。
最高裁判所の裁判官の指名又は任命については、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第四十一条第一項に規定する任命資格である「識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者」を満たす、最高裁判所の裁判官にふさわしい人物が選考され、適切に行われているものと考えている。
お尋ねの「行政官庁出身」及び「出身府省庁」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これまでに最高裁判所の裁判官に任命された者のうち、その前職が主に府省(国立大学を除く。)の職員(検察官を除く。)であったものについて、その主な府省ごとに人数及び氏名をお示しすると、次のとおりである。
内閣法制局 四人 高辻正己、角田禮次郎、大出峻郎、津野修
外務省 七人 栗山茂、下田武三、藤崎萬里、高島益郎、中島敏次郎、福田博、竹内行夫
旧厚生省 一人 横尾和子
旧労働省 二人 高橋久子、櫻井龍子
最高裁判所の裁判官の指名又は任命については、裁判所法第四十一条第一項に規定する任命資格である「識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者」を満たす、最高裁判所の裁判官にふさわしい人物が選考されており、御指摘は当たらないものと考えている。
四についてでお答えしたとおり、国民審査については、最高裁判所の裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かについて、国民においては、現行制度により適切に判断されているものと考えており、また、六について及び八についてでお答えしたとおり、最高裁判所の裁判官の指名又は任命については、裁判所法第四十一条第一項に規定する任命資格である「識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者」を満たす、最高裁判所の裁判官にふさわしい人物が選考され、適切に行われているものと考えている。これらのことから、御指摘について見直しを行うことは考えていない。