答弁本文情報
平成二十二年十二月十日受領答弁第二四二号
内閣衆質一七六第二四二号
平成二十二年十二月十日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員服部良一君提出非正規労働者の雇用、保険、労働者性についての政府の認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員服部良一君提出非正規労働者の雇用、保険、労働者性についての政府の認識に関する質問に対する答弁書
一の(1)について
健康保険法(大正十一年法律第七十号)第三条第一項及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第九条に規定する「適用事業所に使用される者」とは、適用事業所と常用的使用関係にある者をいい、御指摘の内かんは、当該常用的使用関係の有無を判断するための目安として示しているものであり、「法的根拠がない」との御指摘は当たらないものと考える。
御指摘の内かんにおいては、所定労働時間等が通常の就労者の所定労働時間等のおおむね四分の三以上である短時間就労者については、原則として被保険者として取り扱うべきものであるとしているが、併せて、これに該当しない短時間就労者であっても、被保険者として取り扱うことが適当な場合があると考えられることから、当該就労者が被保険者に該当するかどうかについて、その就労の形態等個々具体的事例に即して判断すべきものであるとしており、「四分の三に満たない」ことをもって、一律に当該就労者が被保険者に該当しない取扱いとすることとしているものではない。
このような内かんの趣旨に反して、御指摘のようなことが行われている事実があるとは承知していないが、仮に、そのような事実が確認された場合には、被保険者の資格の取得の届出や、被保険者の資格の有無の判断が適切に行われるよう、日本年金機構に対して指導してまいりたい。
御指摘の事例については、使用関係や賃金の支払関係が明らかでないことから、一概にお答えすることは困難であるが、一般的に、被保険者の資格の取得の確認の請求がなされた場合において、当該確認の請求の対象となった事業所に使用される者ではなく、これとは異なる事業所に使用される者であると確認され、かつ、その者が当該事業所で被保険者となっていない場合には、年金事務所は、当該事業所が健康保険及び厚生年金保険の適用事業所の要件に該当するか否かを確認し、当該要件に該当する場合には、その者が被保険者の要件に該当するか否かを確認した上で、当該要件を満たす場合には当該事業所の事業主に対して被保険者の資格の取得の届出を提出するよう指導すべきものであると考えている。
お尋ねのような事例があるとは承知していないが、外国語指導助手については、御指摘のJET(語学指導等を行う外国青年招致事業)等による直接雇用、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)に基づく労働者派遣契約の締結等により、適正な活用をするよう、文部科学省から各都道府県・指定都市教育委員会に対し、「外国語指導助手の請負契約による活用について」(平成二十一年八月二十八日付け二十一初国教第六十五号文部科学省初等中等教育局国際教育課長通知。以下「通知」という。)を通知しているところであり、今後とも通知の趣旨の徹底を図ってまいりたい。また、労働者派遣法違反が生じた場合には、速やかに是正するよう都道府県労働局において指導してまいりたい。
お尋ねのような事例があるとは承知していないが、文部科学省としては、通知により各都道府県・指定都市教育委員会に対し、外国語指導助手が行うティーム・ティーチングについて、学級担任又は教科等担当教員(以下「担当教員」という。)の指導の下、担当教員が行う授業に係る補助を行う場合、担当教員が外国語指導助手に対して、指導内容や授業の進め方に係る具体的な指示や改善要求、外国語指導助手の行う業務に関する評価を行う場合は、いずれも請負契約によっては実施できない旨を周知しているところであり、今後とも通知の趣旨の徹底を図ってまいりたい。また、労働者派遣法違反が生じた場合には、速やかに是正するよう都道府県労働局において指導してまいりたい。
御指摘の調査結果からは、外国語指導助手を雇用する請負事業主と請負契約を行っている教育委員会が多数あることがわかるが、請負契約により外国語指導助手を活用することは可能であり、このこと自体をもって直ちに問題となるものではないと考えるが、担当教員が外国語指導助手に対する具体的な指示等を行う場合は、外国語指導助手を直接雇用するか、外国語指導助手を雇用する派遣元事業主と労働者派遣契約を締結する等しなければならないものであり、教育委員会に対し、この趣旨を徹底してまいりたい。また、労働者派遣法違反が生じた場合には、速やかに是正するよう都道府県労働局において指導してまいりたい。
労働者派遣法及び職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の違反の件数については、お尋ねの「ALTの雇用・契約形態」に関するものに限定して集計しておらず、お答えすることは困難であるが、過去十年間において、お尋ねの「ALTの雇用・契約形態」に関し、労働者派遣法又は職業安定法に基づき、派遣元事業主等に対して改善命令等の行政処分を行った例はない。
また、労働者派遣法及び職業安定法の違反については、まず、是正指導を行い、早急に法違反の状態を是正させることとしており、指導を行ったにもかかわらず、法違反の状態が是正されない場合には、事業停止命令や許可の取消し等の行政処分や告発を実施しており、行政処分を行った際には、事業所名等を公表することとしている。
お尋ねの「管理責任に関する根拠」が具体的に何を指すかは明らかではないが、教育委員会等が外国語指導助手の直接雇用又は派遣元事業主との労働者派遣契約により、外国語指導助手を活用する場合には、校務をつかさどる校長等が当該外国語指導助手を指揮監督することとなる。また、校長等は、学校を管理する教育委員会の指揮監督に服さなければならない。一方、教諭は、校長等の指揮監督の下、指導計画等に基づき外国語指導助手とともに教育活動を行うものである。
また、教育委員会等が請負事業主との請負契約により、外国語指導助手を活用する場合には、外国語指導助手に対する労働契約上の責任は請負事業主にある。教育委員会等は、請負事業主の雇用する外国語指導助手が、請負事業主の指揮命令を受けて、学校現場において請負業務を適切に遂行するよう、請負事業主による契約の履行の確保に努めることとなる。
労働基準監督機関においては、講師が労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者に該当するか否かを判断し、該当する場合には同法の遵守について適切に指導を行っているところである。
また、厚生年金保険、健康保険、雇用保険及び労働者災害補償保険の適用については、年金事務所その他の関係機関(以下「年金事務所等」という。)において、厚生年金保険法その他の関係法令(以下「厚生年金保険法等」という。)に基づき、被保険者の資格の取得の届出等の事業主による手続が適切に行われるよう、事業主に対し適切に指導を行っているところである。
労働基準法又は厚生年金保険法等に違反していることが確認された場合には、労働基準監督機関又は年金事務所等において、これらの法令が遵守されるよう、適切に指導してまいりたい。
教育訓練実施者として著しく不適当と認められる者については、教育訓練給付制度の対象講座に係る指定を行わず、又は指定を取り消すこととしているが、どのような場合に教育訓練実施者として著しく不適当と認められるかについては、個別の事例に即して判断することとしている。