答弁本文情報
平成二十三年二月十八日受領答弁第五三号
内閣衆質一七七第五三号
平成二十三年二月十八日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員浅野貴博君提出環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に係る政府による国民への説明等に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浅野貴博君提出環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に係る政府による国民への説明等に関する再質問に対する答弁書
一について
環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定については、我が国は、随時、関係国との間で情報収集や協議を行ってきており、昨年十二月に、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポールとの間で、また、本年一月には、米国、チリ、ペルーとの間で、さらに、本年二月には、ブルネイ、マレーシアとの間で、それぞれ協議を行ったところである。
TPP協定交渉の参加国との協議を通じて得られた主な情報は、次のとおりである。
物品・サービスの市場アクセスだけでなく、投資、競争、知的財産、政府調達等の非関税分野のルール作りのほか、環境、労働等の新しい分野を含む包括的協定を目指して交渉が行われている。
本年一月、物品貿易の自由化に関するオファーの交換が行われ、今後は大半の作業部会で条文ベースの交渉が行われることが予想されている。
TPP協定の条文案の基礎は、平成十八年にシンガポール、チリ、ニュージーランド及びブルネイの間で締結された環太平洋戦略的経済連携(P4)協定及びTPP協定交渉参加国間の既存の二国間の自由貿易協定(以下「FTA」という。)となる可能性があるが、アジア太平洋地域における高い水準の自由化が目標とされていることから、可能な限り、これら既存の二国間FTAより高い水準の自由化が目指されている。
物品の市場アクセスにおけるセンシティブ品目の扱いについては、各国の状況によって個別の対応を検討する必要性は認めるとの考え方を示す国もあるが、原則として除外や再協議は認めず、長期の段階的関税撤廃といった方法によるべきであるという考え方が基本とされている。
政府としては、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた道筋の中で唯一交渉が開始しているTPP協定について、情報収集を進めながら対応しているところであり、米国を始めとする関係国との協議の結果を踏まえ、国民の理解の深まり具合なども総合的に勘案しながら、本年六月を目途に、交渉参加について結論を出すこととしている。
現段階では、我が国はTPP協定交渉に参加しておらず、同交渉における関係国の立場が必ずしも明らかでないことから、仮に我が国がTPP協定に参加した場合に予想される影響について具体的にお示しすることは困難であるが、政府としては、菅内閣が掲げる「平成の開国」と国民の暮らしとの関係について、国民に理解を深めていただけるよう、全国各地でフォーラムを開催し、各界関係者との間で議論していくこととしている。
我が国において、第一次産業が国内総生産(GDP)に占める割合が一・五パーセント程度となっていることは事実であるが、御指摘の前原外務大臣の発言は、我が国は、TPP協定交渉へ参加するか否かにかかわらず、持続可能な力強い農業を育てる必要があるとの趣旨で述べたものである。