答弁本文情報
平成二十三年六月二十一日受領答弁第二三九号
内閣衆質一七七第二三九号
平成二十三年六月二十一日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員橘慶一郎君提出GPS波浪計の活用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員橘慶一郎君提出GPS波浪計の活用に関する質問に対する答弁書
一及び五について
御指摘の「GPS波浪計」(以下単に「GPS波浪計」という。)については、国土交通省港湾局において、沖合における波浪を観測し、その観測データを港湾施設の設計及び港湾工事に当たって活用することを目的として、青森東岸沖、岩手北部沖、岩手中部沖、岩手南部沖、宮城北部沖、宮城中部沖、福島県沖、静岡御前崎沖、三重尾鷲沖、和歌山南西沖、徳島海陽沖及び高知西部沖に計十二基の整備を完了しているところであり、沖合における波浪観測の必要性等を踏まえた上で、必要に応じて今後の整備について検討してまいりたい。
なお、GPS波浪計による観測データは、気象庁が行う波浪等の実況の監視にも活用できることから、同庁に対する即時提供を行っているところである。
平成二十三年(二千十一年)東北地方太平洋沖地震に際し、気象庁は、地震発生後直ちに得られた地震観測データを解析して地震の震源及びマグニチュードを推定し、これに基づき沿岸における津波の高さの予想を行い、地震発生から三分後の平成二十三年三月十一日十四時四十九分に津波警報を発表した。同日十五時十分頃、国土交通省港湾局が岩手中部沖、岩手南部沖及び宮城北部沖に整備したGPS波浪計によって、沖合における津波の高さの急激な上昇が観測され、沿岸における津波の高さが予想を超えたものとなるおそれがあったことから、気象庁は、当該観測データに基づき、津波警報の対象となる区域の追加や予想される津波の高さの引上げを行い、同日十五時十四分に発表した。例えば、予想される津波の高さが最も高い区域であった宮城県については、予想される津波の高さを同日十四時四十九分に発表した津波警報では六メートルとしていたが、同日十五時十四分に発表した津波警報では十メートル以上に引き上げた。
沿岸に設置されている検潮所では、潮位及び沿岸に到達した津波の高さの観測をすることができる。一方、GPS波浪計は、沖合における波浪及び沿岸に到達する前の津波の高さの観測をすることができる。
GPS波浪計については、一般的に、風波及びうねりの実況の監視に役立つものと考えているが、御指摘の「富山湾における寄り回り波」については、これまでのところ、その予測手法が確立されていないが、気象庁においては、現在、日本海における風波及びうねりについて、沿岸波浪計や波浪ブイを用いた観測等により実況の監視を行うとともに、当該監視の成果及び数値予報モデル(シミュレーションモデル)を用いて予測を行っており、当該予測結果を活用して行う「富山湾における寄り回り波」の予測手法の確立に取り組んでいるところである。