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答弁本文情報

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平成二十三年七月十二日受領
答弁第二九五号

  内閣衆質一七七第二九五号
  平成二十三年七月十二日
内閣総理大臣 菅 直人

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員稲田朋美君提出原子力発電所の安全基準に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員稲田朋美君提出原子力発電所の安全基準に関する質問に対する答弁書



一から六までについて

 東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」という。)の事故の原因について、これまでに得られた情報に基づく現時点での政府の見解は、次のとおりである。
 平成二十三年三月十一日の東北地方太平洋沖地震の発生時に運転中であった第一号機から第三号機までについては、原子炉は制御棒挿入を経て正常に自動停止し、原子炉を冷却するための動作を開始した。また、全ての号機において外部電源を喪失したが、第四号機に附属する定期検査中の一台を除く全ての非常用ディーゼル発電機が正常に起動した。その後、津波の到達により、第六号機に附属する一台を除く全ての非常用ディーゼル発電機の機能を喪失し、同号機及び同号機から電源融通を受けることができた第五号機を除く第一号機から第四号機までにおいて、全交流電源を喪失するに至り、第一号機から第三号機までの炉心の冷却を管理された状態が維持できなくなった。
 また、現時点で、お尋ねの「ヒューマンファクター」や「高経年化事象」が当該事故の直接的な原因であるとする事実は確認されていないが、詳細な経緯等については、今後検証してまいりたい。

七から九までについて

 経済産業省においては、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、平成二十三年三月三十日に各電気事業者に指示した緊急安全対策の実施状況について、立入検査や訓練の立会いにより確認及び評価し、福島第一原子力発電所の事故を引き起こしたものと同程度の津波により、全交流電源喪失に至ったとしても、原子炉の炉型によらず、炉心を管理された状態で維持し冷温停止状態につなげることができる対応の手順の整備や必要な機器の配備を行っていること、防潮堤の整備や建屋の水密化など中長期対策を計画していることなどを確認している。今後とも、引き続き事故の原因については予断なく徹底的な検証を行い、その検証で得られた知見を踏まえ、原子力の安全確保に万全を期してまいりたい。

十について

 中部電力株式会社浜岡原子力発電所については、平成二十三年一月一日から三十年以内にマグニチュード八程度の想定東海地震が発生する可能性が八十七パーセントと極めて切迫していることに加え、想定東海地震は東北地方太平洋沖地震と同じプレート間地震であるため、大規模な津波の襲来の可能性が高いことが懸念される。このため、安全対策の更なる信頼性の向上の観点からこうした特別な事情を考慮する必要があり、想定東海地震による大規模な津波に十分耐えられる防潮堤の設置等の中長期的対策を終えるまでの間、全号機の運転を停止すべきと判断したものである。

十一について

 経済産業省は、平成二十三年六月七日に、各電気事業者に対し、炉心損傷等のシビアアクシデントが万一発生した場合でも迅速に対応するために直ちに取り組むべき措置として、緊急時における発電所構内通信手段の確保、水素爆発防止対策等の実施を指示し、当該指示に対する各電気事業者からの報告を踏まえ、現地での立入検査や訓練の立会いにより確認及び評価し、これらの措置が適切に実施されていることを確認している。

十二について

 お尋ねの「確認の状況」については、これまでに、運転開始後四十年を経過した関西電力株式会社美浜発電所一号炉について立入検査等を実施し、同炉における高経年化対策が適切に実施されていることを確認している。
 また、福島第一原子力発電所の事故を受けて、原子力発電所の高経年化に係る新たな規制を設けてはいない。

十三について

 お尋ねの「原子力発電所の増設は行わないという方針」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、現在最も重要なことは、福島第一原子力発電所の事故をいかに収束させるかということであり、政府として、事態の収束に最善を尽くしているところである。その上で、事故の原因について徹底的な検証を行いつつ、原子力発電所の増設を含む今後のエネルギー政策の在り方について、国民各層の御意見を踏まえて検討を進めてまいりたい。

十四について

 原子力安全・保安院は、加圧水型の原子炉においては、緊急停止時に原子炉の未臨界状態を維持するため、窒素ガスを用いて蓄圧タンクから原子炉へほう酸水を自動注入することが必要であるが、ほう酸注入に伴い、蓄圧タンクの窒素ガスが一次冷却系配管へ混入した場合には、一次冷却材の循環が阻害される事態となることは認識しており、今般の緊急安全対策の実施状況の確認においては、各電気事業者において、電源車から電力を供給してほう酸水の自動注入後蓄圧タンクの出口弁を閉止する手順が整備されていることを、立入検査や訓練の立会いにより確認している。



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