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平成二十四年二月十日受領
答弁第三一号

  内閣衆質一八〇第三一号
  平成二十四年二月十日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員中島政希君提出利根川水系河川整備計画の策定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中島政希君提出利根川水系河川整備計画の策定に関する質問に対する答弁書



一の1について

 利根川水系の直轄管理区間における河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第十六条の二第一項に規定する河川整備計画(以下「利根川河川整備計画」という。)の策定に当たっては、同条第三項に規定する学識経験を有する者の意見等を聴く場として利根川・江戸川有識者会議、渡良瀬川有識者会議、鬼怒川・小貝川有識者会議、霞ヶ浦有識者会議及び中川・綾瀬川有識者会議の五つの有識者会議を設置しており、それぞれの会議の開催日は次のとおりである。
 利根川・江戸川有識者会議及び中川・綾瀬川有識者会議 平成十八年十二月四日、同月十八日、平成十九年二月二十二日及び平成二十年五月二十三日
 渡良瀬川有識者会議 平成十八年十一月二十九日、同年十二月二十日、平成十九年二月二十二日及び平成二十年五月二十三日
 鬼怒川・小貝川有識者会議 平成十八年十二月四日、同月二十日、平成十九年二月二十二日及び平成二十年五月二十三日
 霞ヶ浦有識者会議 平成十八年十一月二十九日、同年十二月十八日、平成十九年二月二十二日及び平成二十年五月二十三日
 また、利根川河川整備計画の策定に係る公聴会については、平成十九年二月二十二日、同月二十三日、同月二十六日から二十八日まで、同年三月一日、同月二日及び同月五日から九日までに開催し、利根川河川整備計画の策定に係るインターネット及びはがき等による意見募集については、同年一月十日から二月九日までを募集期間として実施した。

一の2について

 御指摘の議事録の記述については、「(中略)」の記述の部分を除き、国土交通省関東地方整備局が作成した第二回利根川・江戸川有識者会議の議事録の記述と相違はない。

一の3及び4について

 利根川河川整備計画の策定に当たっては、平成二十年度まで一の1についてでお答えした有識者会議等を実施したところであり、利根川水系においては、平成二十一年度に、全国のダム事業の検証を行うこととしたことを踏まえて、八ッ場ダム建設事業の検証を予断を持たずに行い、平成二十三年十二月に八ッ場ダム建設事業に関する対応方針を決定したところである。

二の1について

 河川法第十六条の二第四項は、河川管理者は、河川整備計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない旨を規定しており、河川管理者は、関係住民の意見を十分検討し、必要と判断した場合には同計画の案に反映させることとなる。

二の2について

 河川法第十六条の二第四項に規定する公聴会の開催等関係住民の意見を反映させるために必要な措置の具体的な方法については、地域の実情等を踏まえ、河川管理者が適切に判断するものであると認識している。

三の1及び2について

 御指摘の「関東地方整備局から配布された資料」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、第一回利根川・江戸川有識者会議の資料−一の十ページに「利根川水系における河川整備計画の主要メニュー(治水)」として掲載している図において、目標治水安全度として「本川五十分の一」、八斗島地点における河道目標流量として毎秒「一三〇〇〇」立方メートル、八斗島地点上流の洪水調節施設として「八ッ場ダムの整備」、「ダムの容量再編」及び「烏川調節池の整備」が記載されており、また、既設のダムとして「矢木沢ダム」等が記載されている。さらに、同会議の資料−二の十三ページにおいて、ダムの容量再編について「下久保ダムの利水容量を治水容量に振り替え、振り替え先は利水上有利な奥利根流域で検討。」及び「奈良俣ダムと藤原ダムの容量再編を実施」と記載されている。

三の3について

 第四回利根川・江戸川有識者会議の資料−三の一ページにおいて、目標設定の考え方として、「現在の利根川水系の治水安全度の状況(利根川上流部では概ね三十分の一から四十分の一、利根川下流部では概ね十分の一から二十分の一)を考慮し、利根川本川・江戸川は、概ね五十年に一回の確率で生起すると予想される洪水を安全に流下させるように河道の整備と洪水調節施設の整備をバランスよく行うことを考えています。」と記載されている。

三の4について

 平成十八年から平成二十年までの間、国土交通省関東地方整備局においては、利根川河川整備計画の策定に係る様々な検討を行っており、例えば、個別施設の配置に関する検討を行う際に、対象洪水の選定の目安として毎秒「一五〇〇〇」立方メートルを用いたことはあるが、目標流量の案として流量を提示するには至っていない。

三の5及び6について

 八ッ場ダム建設事業の検証においては、利根川水系以外の直轄河川の河川整備計画では、急流河川等の例外的なものを除けば、河川整備計画の目標流量の規模は年超過確率二十分の一から七十分の一までの範囲となっていること等を踏まえた上で、利根川水系の社会・経済的重要性等を考慮し、八斗島地点における河川整備計画相当の目標流量を年超過確率七十分の一から八十分の一に相当する毎秒一万七千立方メートルとした。また、「八ッ場ダムを含む治水対策案」の立案に当たっては、適正な上下流・本支川バランスの確保の観点等から、上流の洪水調節施設により調節される流量を毎秒三千立方メートル程度とし、八斗島地点から江戸川分派点までの区間における河道目標流量を毎秒一万四千立方メートル程度とすることとしたものである。なお、目標流量等の検討に当たっては、河川の現況及び河道掘削等の現在実施中の主なプロジェクト等の状況により、実現可能性等を考慮している。

三の7について

 御指摘の「八ッ場ダムの検証で前提となっている八斗島上流の洪水調節施設」及び「そのほかはほとんど同じである」の意味するところが必ずしも明らかではないが、第一回利根川・江戸川有識者会議の資料−一及び資料−二における八斗島地点上流の洪水調節施設に関する記述については三の1及び2についてでお答えしたとおりであり、平成二十三年十一月に国土交通省関東地方整備局が公表した「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討報告書」(以下「検討報告書」という。)の四−五十ページの「八ッ場ダムを含む治水対策案の主な事業内容」において、八斗島地点上流の洪水調節施設として「八ッ場ダム建設」、「利根川上流ダム群再編」及び「烏川堤外調節池(新設)」が記載されており、お尋ねの「下久保ダムの容量再編事業」については記載されていない。

三の8及び9について

 三の4についてでお答えしたとおり、平成十八年から平成二十年までの間、国土交通省関東地方整備局においては、目標流量の案として流量を提示するには至っておらず、お答えすることは困難である。

三の10について

 八ッ場ダム建設事業の検証において、河川整備計画相当の目標流量である毎秒一万七千立方メートルに対する八斗島地点上流の洪水調節施設により調節される流量として設定した毎秒三千立方メートルについての内訳は存在しないが、検討報告書によれば、八斗島地点上流の洪水調節施設により調節される流量が毎秒二千八百四十立方メートルとなる昭和三十四年八月十二日から発生した洪水の降雨波形による流出計算により算出した「既設ダム」、「八ッ場ダム」、「ダム再編」及び「烏川調節池」の洪水調節効果量は、それぞれ毎秒約千二百九十立方メートル、毎秒約千四百六十立方メートル、毎秒約九十立方メートル及び毎秒零立方メートルである。

三の11について

 お尋ねの「数字」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかでないが、八ッ場ダム建設事業の検証においては、利根川水系以外の直轄河川の河川整備計画では、急流河川等の例外的なものを除けば、河川整備計画の目標流量の規模は年超過確率二十分の一から七十分の一までの範囲となっていること等を踏まえた上で、利根川水系の社会・経済的重要性等を考慮し、八斗島地点における河川整備計画相当の目標流量を年超過確率七十分の一から八十分の一に相当する毎秒一万七千立方メートルとすることとしたものである。

四の1について

 利根川河川整備計画の策定に係るスケジュールについては、現時点で未定である。



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