答弁本文情報
平成二十四年二月十四日受領答弁第四六号
内閣衆質一八〇第四六号
平成二十四年二月十四日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員浅野貴博君提出外務省が中国政府に出した「口上書」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浅野貴博君提出外務省が中国政府に出した「口上書」に関する質問に対する答弁書
一及び二について
在中国日本国大使館の新事務所への移転に関する中国側の対応は、中国の国内手続によるものであるため、それが正当であるかどうかについて、政府として判断する立場にないが、平成二十三年七月に中国の国内法令に基づく竣工時の手続において中国側から建築許可の申請時との面積の違いを指摘され、日中間で協議を行い、平成二十四年一月に中国側は当該新事務所への移転について同意した。
日本側から中国側に対し、日本側は、外交関係に関するウィーン条約(昭和三十九年条約第十四号)及び領事関係に関するウィーン条約(昭和五十八年条約第十四号)並びに日本の国内法令の範囲内で日本国政府として可能な協力を行うこと、中国企業による在日本中国公館施設の建設工事の請負に関する中国側の要請に関しては互恵の精神に立脚して協力すること、並びに当該建設工事に従事する中国人要員の査証等については日本側が求める一定の条件が満たされることを条件に適切な査証を発給する用意があることを内容とする口上書を発出した。
三についてで述べた口上書は、外務本省からの公電による指示に基づき在中国日本国大使館が作成したものである。当該指示は公電案として決裁され、当該決裁は外務本省に保管されている。
三についてで述べた口上書そのものを公表することは、相手国との関係もあり差し控えたい。
三についてで述べた口上書と同様の内容の口上書を他国に発出した事例は確認されていない。
三についてで述べた口上書を発出した後、在中国日本国大使館の新事務所への移転について中国側から同意を得たが、中国側の本件に関する対応の背景については、政府としてお答えする立場にない。
三についてで述べた口上書の内容は、関連する国際法に従い、我が国の国内法令の範囲内で協力するという、当然のことを述べており、他国に対するものと同じ立場を表明している。したがって、三についてで述べた口上書を中国側に発出したことが、「今後我が国の対中外交において悪しき前例となり得る」とは考えていない。なお、口上書は外交使節団と接受国の外交機関との間の一般的な連絡手段である。