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平成二十四年三月二日受領
答弁第九〇号

  内閣衆質一八〇第九〇号
  平成二十四年三月二日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員馳浩君提出若年層における選挙の低投票率に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員馳浩君提出若年層における選挙の低投票率に関する質問に対する答弁書



一について

 若年層の投票率については、例えば、平成二十一年に執行された衆議院議員総選挙においては全体の投票率が六十九・二八パーセントとなっているところ、選挙後に総務省が行った抽出調査(以下「抽出調査」という。)では二十歳から二十四歳までの投票率は四十六・六六パーセントとなっており、また、平成二十二年に執行された参議院議員通常選挙においては全体の投票率が五十七・九二パーセントとなっているところ、抽出調査では二十歳から二十四歳までの投票率は三十三・六八パーセントとなっており、いずれも他の世代に比較して低い投票率となっている。若年層の投票率を含め一般に投票率が低いということについては、民主主義の健全な発展の観点から、遺憾なことであり、憂慮すべきことと受け止めている。

二及び八について

 年代による投票率の違いによる若年層への「不利益」や「政策的な意思決定への影響」について一概にお答えすることは困難であるが、政府としては、国民全体の福祉の向上に取り組むべきものと考えている。

三について

 総務省が平成二十三年四月から十二月までに開催した「常時啓発事業のあり方等研究会」の最終報告書においては、二十歳代の有権者の投票率を踏まえて、「若い有権者の投票率が低いのは、他の世代に比べて、政治的関心、投票義務感、政治的有効性感覚が低いからであると考えられ、・・・その一因として、有権者になる前の学校教育においては、政治や選挙の仕組みは教えても、政治的・社会的に対立する問題を取り上げ、関心を持たせたり、判断力を養成するような教育がほとんど行われていないことが挙げられる」と指摘され、「国として取り組むべき具体的方策の例」として、「選挙事務への協力の拡大」や「大学との連携の推進」等により「若者の政治意識の向上」を図ることや、「出前授業・模擬投票の推進」等により「将来の有権者である子どもたちの意識の醸成」を図ること等が提言されている。
 政府としては、今後、若年層の投票率向上のために、このような取組を積極的に進めてまいりたいと考えている。

四について

 若年層の投票率を含め選挙の投票率については、国によって政治や選挙の制度が異なることなどから、各国間で単純に比較できないものであり、お尋ねにお答えすることは困難である。

五について

 御指摘の「義務投票制度」については、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定する憲法第十五条との関係からも、慎重な検討を要するものと考えられるが、いずれにせよ、お尋ねの「若年層投票率が高い他国にて行われているような義務投票制度や郵便投票制度、電子投票制度等といった取り組み」については、選挙手続の中核である投票方法の在り方の問題であることから、各党各会派において十分に議論していただくべきものと認識している。

六について

 選挙の投票率については、選挙時の政治状況、有権者の政治的関心の度合いなど、様々な要因が影響するものであることから、お尋ねの「インターネットの利用を選挙運動で解禁した場合、若年層の投票率は上昇するものと考えられるか」について、一概にお答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの「シティズンシップ教育」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、我が国においては、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うため、学習指導要領に基づき、小学校、中学校、高等学校等を通じ、主に社会科や特別活動等で、民主政治の仕組みや選挙の意義について理解させるとともに、ボランティア活動等の社会参加や、学級活動や生徒会活動等における課題解決等の活動を行うこととしているほか、各教科等を通じて、説明や論述、討議などの言語活動を重視しているところである。



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