答弁本文情報
平成二十四年三月九日受領答弁第一〇四号
内閣衆質一八〇第一〇四号
平成二十四年三月九日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員山本拓君提出野田内閣の「売電目的の農地転用促進」政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山本拓君提出野田内閣の「売電目的の農地転用促進」政策に関する質問に対する答弁書
一の1及び2並びに六について
今通常国会に提出している「農山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律案」(以下「法案」という。)は、農山漁村に存在する資源を活用した再生可能エネルギー電気の発電の促進に当たり、食料の供給や国土の保全等の農山漁村が有する重要な機能の発揮に支障を来すことがないよう、農地、林地等の利用調整を適切に行うとともに、再生可能エネルギー発電設備(法案第二条第二項に規定する再生可能エネルギー発電設備をいう。以下同じ。)の整備と併せて地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を促進する等、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電を促進し、農山漁村の活性化を図ることを目的とするものである。
法案に基づき、再生可能エネルギー発電設備の整備を行うために必要となる農地の面積については、当該整備を行う場所が農地に限られないこと、当該場所は必要な利用調整を経て個別具体的に選定されること等から、これを予測することは困難である。
また、「食料・農業・農村基本計画」(平成二十二年三月三十日閣議決定。以下「基本計画」という。)に定められた食料自給率の目標の達成のためには、農地への復元が可能な耕作放棄地を農業生産に用いることが必要であることから、法案の施行に際しては、農山漁村において再生可能エネルギー発電設備の整備を行うに当たり、農地への復元が困難な耕作放棄地を優先的に活用する等の農地、林地等の利用調整を適切に行うこととしており、御指摘の「単なる売電の目的で農地転用(農地消滅)させ、しかも売電収入は、耕作放棄地者に得させる」ための施策を推進するものではない。
我が国において、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)の施行を始めとする各種施策により再生可能エネルギーの導入の拡大が見込まれる中、農山漁村において無計画に再生可能エネルギー発電設備が整備される場合には、農林漁業の健全な発展に必要な農地、林地等が失われ、食料の供給や国土の保全等の農山漁村が有する重要な機能の発揮に支障を来すおそれがあることから、法案は、そのような事態の発生を防止するため、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電を促進するための計画制度を創設するものである。
平成十四年三月に農林水産省が決定した「不測時の食料安全保障マニュアル」(以下「マニュアル」という。)は、不測の要因により食料の供給に影響が及ぶおそれのある事態に的確に対処するため、政府として講ずべき対策の基本的な内容、根拠法令、実施手順等を示したものである。
不測の事態のレベル及び不測の事態を招いた要因にかかわらず、国民の食生活に重大な影響を生じる可能性がある場合には、農林水産省に対策本部を設置し、農林水産省が講ずべき対策の実施等に当たることとしており、さらに、政府一体となった体制を整備する必要がある場合には、政府全体の対策本部を設置し、食料の安定供給の確保のため政府一体となって取り組むべき対策を決定することとしている。
国は、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)第二条に定められた食料の安定供給の確保に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有しており、マニュアルは、同法第十九条に定められた不測時における食料安全保障の基本的施策を具体化するため、不測時に食料の供給の確保を図るための対策やその機動的な発動の在り方等を示したものである。
基本計画においては、平成三十二年度における食料自給率の目標を五十パーセント(供給熱量ベース)と定めている。