答弁本文情報
平成二十四年三月二十三日受領答弁第一三六号
内閣衆質一八〇第一三六号
平成二十四年三月二十三日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員木村太郎君提出脳脊髄液減少症対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員木村太郎君提出脳脊髄液減少症対策に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの脳脊髄液減少症発症者の診断基準については、厚生労働科学研究費補助金による「脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究」(以下「確立研究」という。)の平成二十二年度総括研究報告書で、脳脊髄液漏が確実な症例を診断するための基準案として、脳脊髄液漏出症及び低髄液圧症について、それぞれ画像判定基準案及び画像診断基準案が報告され、平成二十三年にこれらの診断基準案が診断基準として関係学会の了承を得られたと承知している。
脳脊髄液減少症に関する文献としては、国際頭痛学会・頭痛分類委員会が作成した「国際頭痛分類第二版」や脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会が作成した「脳脊髄液減少症ガイドライン二〇〇七」があるが、脳脊髄液減少症の発症原因や病態等については専門家の意見が分かれていたことから、これらの文献を参考にしつつ科学的な根拠を基に作成された今回の診断基準は、脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に寄与するものと考えている。
確立研究では、脳脊髄液減少症による頭痛等の症状緩和のための治療法の確立について研究を進めているが、お尋ねのいずれの研究についても、確立研究では実施しておらず、確立研究以外で類似の研究が実施されているかは把握していない。
今回の診断基準は、確立研究で、脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に向けた研究の第一段階として、脳脊髄液漏が確実な症例を診断するために作成されたものであり、当該症例の周辺病態の診断基準等については、確立研究で、更なる研究が進められると考えている。
御指摘の「「国際頭痛分類第二版」の診断基準」が「国内の関連訴訟で脳脊髄液減少症発症者の訴えを退ける有力な根拠のひとつとされてきた」かは承知しておらず、お答えすることは困難である。
お尋ねの治療法を含めた新たな医療技術の医療保険の適用については、日本医学会分科会に属する学会等から保険適用についての御提案を受け、中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織の下に設けられた医療技術評価分科会において検討を行った後に、又は、先進医療として承認され、先進医療専門家会議において検討を行った後に、同協議会において当該医療技術の安全性、有効性等について、科学的な根拠に基づく評価を行い、その保険適用の可否について検討を行うこととしており、お尋ねについて現時点でお答えすることは困難である。
労災保険に関しては、ブラッドパッチ療法等の治療法が医療保険の適用対象となった場合は、業務上の事由又は通勤による労働者の疾病等について労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付の対象となる。自賠責保険に関しては、被害者の症状について自動車事故と相当因果関係が認められる場合は、自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)に基づく保険金の支払の対象となる。身体障害者手帳に関しては、障害の原因となった疾病等を問わず、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)別表に掲げる永続する機能の障害を有する者が、交付の対象となる。障害年金に関しては、本人の障害の状態が国民年金法施行令(昭和三十四年政令第百八十四号)別表又は厚生年金保険法施行令(昭和二十九年政令第百十号)別表第一に定める障害の程度にある場合は、支給の対象となる。
脳脊髄液減少症対策については、平成二十四年度予算に計上した厚生労働科学研究費補助金により、脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に向けた研究を、引き続き、推進していきたいと考えている。