答弁本文情報
平成二十四年五月十一日受領答弁第二一三号
内閣衆質一八〇第二一三号
平成二十四年五月十一日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員浅野貴博君提出政府による対ミャンマーODA再開と邦人殺害事件の真相解明の関連性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員浅野貴博君提出政府による対ミャンマーODA再開と邦人殺害事件の真相解明の関連性等に関する質問に対する答弁書
一から五までについて
ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)政府は、平成二十二年十一月に総選挙を実施し、アウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁措置を解除した。また、平成二十三年三月には民政移管が行われ、更に同年五月には政治犯約五十名を釈放した。我が国としては、これらの動きを、ミャンマーの民主化に向けた前向きな一歩であると考え、経済協力については、ミャンマーの民主化及び人権侵害の改善の状況を見守りつつ、ミャンマー国民に直接裨益する生活の基礎となる分野を中心に案件内容を個別に検討の上、実施してきたところである。その後、ミャンマーにおいては、多数の政治犯を釈放するとともに、テイン・セイン・ミャンマー大統領とアウン・サン・スー・チー氏が会談を行うなど民主化の動きが見られ、また、少数民族との和解に向けた措置がとられている。さらに、平成二十四年四月一日に行われたミャンマーの国民代表院及び民族代表院並びに州議会等の補欠選挙において、アウン・サン・スー・チー氏を含む幅広い関係者が選挙に参加しており、我が国としては、これらの動きを、ミャンマーの民主化に向けた更なる前進であると考え、歓迎しているところである。
我が国としては、ミャンマーの政治及び経済分野における改革等の取組に対する支援を通じ、ミャンマーの民主化の一層の進展を促進し、ミャンマー国民が民主化されたことの成果を広く実感できるようにすることが必要と考えている。かかる観点から、今般、ミャンマーに対する経済協力についての方針を変更し、円借款を含む本格的な支援を再開する必要があると判断し、同月二十一日の日ミャンマー首脳会談において、野田佳彦内閣総理大臣からテイン・セイン・ミャンマー大統領に対してこのような我が国の方針を伝達するとともに、円借款再開のため、ミャンマーの延滞債務問題の解決に向けた全体的な道筋について合意に至ったところである。
長井健司氏死亡事件については、政府として、これまで事件の真相究明及びビデオカメラを含め長井健司氏が死亡したときに所持していた全ての所持品の返還についてミャンマー政府へ累次申入れを行っており、平成二十三年十二月二十六日(現地時間)に、玄葉光一郎外務大臣からワナ・マウン・ルイン・ミャンマー外務大臣に対し、ミャンマー政府は長井氏の御遺族や日本国民に対し、当該事件の捜査状況や捜査結果について説明する必要がある旨伝えた。また、平成二十四年四月二十一日の日ミャンマー首脳会談においても、野田佳彦内閣総理大臣からテイン・セイン・ミャンマー大統領に対し、改めて申入れを行い、同大統領からは、非常に心を痛めているとの発言があったところである。今後もこのような申入れを継続していくこととしており、当該事件に関する我が国のミャンマー政府に対する対応については、我が国政府の申入れについての検討結果の通知を含めたミャンマー政府の対応を見極めた上で検討していく考えである。
なお、我が国政府からの申入れに対するミャンマー政府の対応についての評価を明らかにすることは、ミャンマー政府との間の今後のやり取りに支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。