答弁本文情報
平成二十四年八月十七日受領答弁第三六四号
内閣衆質一八〇第三六四号
平成二十四年八月十七日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員服部良一君提出印刷事業場における胆管がん発症に係る労働安全衛生上の問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員服部良一君提出印刷事業場における胆管がん発症に係る労働安全衛生上の問題に関する質問に対する答弁書
一について
大阪府の印刷業の事業場での胆管がん発症の原因究明については、医学的調査の実施が不可欠であるため、厚生労働省では、平成二十四年八月上旬から産業医学や疫学等の専門家グループによる疫学的調査等を実施しているが、現時点でお尋ねの結論時期の目途等について、お答えすることは困難である。
印刷・製本業の事業場に対しては、労働基準監督官が、平成二十一年以降、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百一条、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第九十一条等の規定に基づき、臨検、帳簿及び書類の提出要求、立入検査等(以下「臨検等」という。)を毎年千件程度実施しており、労働基準関係法令上の問題が確認された場合には、当該問題を的確に是正させるため、指導を行ってきた。
厚生労働省としては、洗浄作業を行う印刷業の事業場に対して平成二十四年六月に実施した胆管がんに関する一斉点検で、七十七・五パーセントの事業場に有機溶剤中毒予防規則(昭和四十七年労働省令第三十六号)上の何らかの問題が確認されたことから、一斉点検の対象とした事業場以外の印刷業の事業場に対して、有機溶剤等の使用状況等に関する調査を行っている。今後、臨検等や説明会の実施等により、同規則等の遵守を徹底することにしている。
お尋ねの大阪労働局の労働基準監督署ごとの過去十年間の印刷業の事業場に対する「定期監督及び申告監督の件数」や「是正勧告を発した件数及びそれらの内容」については、関係する資料の保存期間が満了しているものもあること等から、網羅的にお示しすることは困難であるが、現時点で把握している限りで、平成二十一年から平成二十三年までの間の同局管内の印刷・製本業の事業場に係る@定期監督等(定期監督のほか災害時監督及び労働基準監督官が実施した災害調査を含む。以下同じ。)の実施件数、A定期監督等で法違反が確認された事業場数、B定期監督等で確認された主な法違反の内容、C申告監督の実施件数、D申告監督で法違反が確認された事業場数、E申告監督で確認された主な法違反の内容を所轄の労働基準監督署ごとにお示しすると、次のとおりである。また、法違反が確認された場合には、全て法の遵守を求める是正勧告等を行っている。
大阪中央労働基準監督署 @四十六件 A四十 B労働時間に係る法違反 C三十三件 D二十三 E定期賃金等の不払等に係る法違反
大阪南労働基準監督署 @三十七件 A二十 B労働時間に係る法違反 C十一件 D七 E定期賃金等の不払等に係る法違反
天満労働基準監督署 @二十三件 A二十二 B割増賃金に係る法違反 C八件 D五 E定期賃金等の不払等に係る法違反
大阪西労働基準監督署 @十四件 A八 B労働時間に係る法違反 C一件 D零 Eなし
西野田労働基準監督署 @十四件 A九 B安全基準に係る法違反 C三件 D一 E解雇の予告に係る法違反
淀川労働基準監督署 @十五件 A十三 B労働時間に係る法違反 C四件 D二 E割増賃金に係る法違反
東大阪労働基準監督署 @五十九件 A四十六 B労働時間に係る法違反 C八件 D三 E定期賃金等の不払等に係る法違反
岸和田労働基準監督署 @二件 A二 B労働時間に係る法違反 C零件 D零 Eなし
堺労働基準監督署 @十一件 A八 B割増賃金に係る法違反 C五件 D二 E定期賃金等の不払等に係る法違反
羽曳野労働基準監督署 @二十六件 A十九 B労働時間に係る法違反 C四件 D三 E定期賃金等の不払等に係る法違反
北大阪労働基準監督署 @十三件 A十 B労働時間に係る法違反 C四件 D二 E定期賃金等の不払等に係る法違反
泉大津労働基準監督署 @二件 A二 B労働時間に係る法違反 C一件 D一 E定期賃金等の不払等に係る法違反
茨木労働基準監督署 @十五件 A六 B労働時間に係る法違反 C二件 D二 E定期賃金等の不払等に係る法違反
お尋ねについては、関係する資料の保存期間が満了しているものもあること等から、お答えすることは困難であるが、現時点で把握している限りでは、平成二十一年から平成二十三年までの間には、定期監督や申告監督を実施していないが、平成二十四年には、これまでに定期監督を四件実施し、安全衛生管理体制等に関して是正勧告等を行った。
厚生労働省としては、御指摘の有機溶剤中毒予防規則を含め、労働安全衛生法や労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)等の関係省令等により、化学物質による労働者の健康障害防止を図っている。今後とも、有機溶剤を含む既存の化学物質について、発がん性評価のための試験やリスク評価を行い、その結果得られた最新の知見に基づき、化学物質による労働者の健康障害防止に取り組んでいきたい。