答弁本文情報
平成二十四年九月十四日受領答弁第四一六号
内閣衆質一八〇第四一六号
平成二十四年九月十四日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員阿部知子君提出臓器移植医療に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出臓器移植医療に関する再質問に対する答弁書
一の(一)及び(三)について
先の答弁書(平成二十四年八月二十一日内閣衆質一八〇第三六七号。以下「前回答弁書」という。)Tの1についてで「臓器移植法が想定している処置」と述べたのは、臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号。以下「臓器移植法」という。)は、患者に対して十分な救命治療が行われることを当然の前提として、移植医療の適正な実施に資することを目的としていることに照らして、不適切な処置ではないという趣旨である。
お尋ねの「ドナー管理」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、前回答弁書Tの1についてで述べたとおり、脳死下での臓器提供を行う場合にあっては、臓器移植法に基づく脳死の判定が行われる前の患者に対して、移植のために臓器を保存することのみを目的とした処置を行うことは不適切であると考えている。
前回答弁書Tの1については、心停止下での臓器提供を行う場合にあっては、臓器移植を医学的に適正に実施する上で必要と認められる処置であり、かつ、身体に対する侵襲性が極めて軽微なものについて、患者に対して救命治療を尽くしたにもかかわらず脳死状態と診断された後に、当該処置を家族の承諾に基づいて行うことは、不適切であるとは考えていないことを述べたものであり、「心停止の死亡宣告前でも、法的脳死判定手続きによらず、脳死状態と診断された段階で死亡宣告を行ったことにな」り、「法的脳死判定手続きを形骸化する」との御指摘は当たらないと考えている。
一般論としては、心停止下での臓器提供を行う場合にあっては、心停止前に、移植のために臓器を保存することのみを目的とした身体に対する侵襲性が強い処置を行うことは、許容されないと考えている。また、処置の身体に対する侵襲性の強弱については、処置の内容や個々の患者の症状に応じて医学的に判断されるべきものであり、一律の基準を示すことは困難である。
お尋ねの「メディカルコンサルタント」は、提供予定の臓器の評価を行う医師である社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)のメディカルコンサルタントを指すと考えるが、当該メディカルコンサルタントについては、法令に位置付けられているものではない。
ネットワークによれば、平成七年四月一日から平成二十四年九月六日までの間に、心停止下での臓器提供を行った場合を含め、移植のための腎臓の摘出に際し、術前処置として行われたヘパリンの投与により、ショック、出血、発熱等の副作用が起こった事例はないとのことであり、また、ヘパリンについては、通常心臓が停止する直前に投与されるものと承知していることから、御指摘の事例について再度調査を行う必要はないと考えている。
三の(一)についてで述べたとおり、ネットワークによれば、平成七年四月一日から平成二十四年九月六日までの間に、移植のための腎臓の摘出に際し、術前処置として行われたヘパリンの投与により、ショック、出血、発熱等の副作用が起こった事例はないとのことである。
臓器提供が検討される場面では、ドナー候補者の家族に対して、適切な説明がなされることが必要であると考えている。このため、説明の際に使用する文書の記載や説明の仕方については、より適切な表現とするよう、ネットワークと検討していきたい。