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答弁本文情報

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平成二十四年九月十四日受領
答弁第四一七号

  内閣衆質一八〇第四一七号
  平成二十四年九月十四日
内閣総理大臣 野田佳彦

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出モロッコ及び米フロリダ州において発生した米軍垂直離着陸機オスプレイの墜落事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出モロッコ及び米フロリダ州において発生した米軍垂直離着陸機オスプレイの墜落事故に関する質問に対する答弁書



一について

 米軍においては、航空機事故が発生した場合、国防省指令等に基づき所要の調査が行われることとなっていると承知しており、これまでに、米国政府からは、本年四月にモロッコで発生した垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)の事故(以下「モロッコの事故」という。)については、米海兵隊により、事故の再発防止を目的とする安全調査及び事故原因等の解明を目的とする法務官による調査の報告書が作成されており、同年六月に米国フロリダ州で発生した垂直離着陸機CV二二オスプレイ(以下「CV二二」という。)の事故(以下「フロリダの事故」という。)については、米空軍により、事故の再発防止を目的とする安全調査及び訴訟、懲罰、管理行為等に関する証拠の収集・保存を目的とする事故調査の報告書が作成されているとの説明を受けている。

二について

 モロッコの事故においては、当該機体(以下「事故機」という。)は、同一の着陸帯で二回離着陸を行っており、第二回目の離陸において墜落に至ったものであるが、米海兵隊の法務官による調査の事故調査報告書(以下「米側報告書」という。)によれば、第一回目の離着陸の際に事故機を操縦した機長は、「着陸帯に最初に向かっている際に、・・・着陸帯付近の多くの人やテント、車両に気付いた。・・・一時の方向の水陸両用車両及び十時方向のテントや人々に留意した。こうしたことから、・・・最良の行動は、来た際と同じ方向で着陸帯を離れることであると判断した(仮訳)」とされており、また、第二回目の離陸の際に事故機を操縦した副操縦士は、離陸前に、機長に対して第一回目と同じ要領で離陸するつもりであることを知らせ、機長はこれに同意したとされている。

三及び四について

 モロッコの事故における第一回目の離陸については、政府として承知している限りでは、事故機は、離陸時、機首を磁針方位三百三十度の方向に向けており、離陸後、右方向に百八十度のホバリング旋回を行って問題なく着陸帯を離れている。第二回目の離陸については、政府として承知している限りでは、事故機は、離陸時、機首を磁針方位約三百二十度の方向に向け、二十五ノットの風を正面から受けており、離陸後、高度約二十フィートで右方向への百八十度のホバリング旋回を開始し、高度約四十六フィートで当該旋回を終了した時点で十五から二十七ノットの追い風を受けており、その後、離陸から十秒後の時点でナセルの前方への遷移を開始し、三秒間でナセルを機体に対し八十七度の状態から七十一度の状態まで遷移させ、離陸から約十五秒後、機首を磁針方位百三十二度の方向に向けた状態で墜落した。また、第一回目の離陸と第二回目の離陸の「操縦の違い」については政府として詳細は承知していないが、防衛省に設置されている「オスプレイの安全性に係る分析評価チーム」(以下「分析評価チーム」という。)がモロッコの事故について行った分析評価の結果を取りまとめた「モロッコにおけるMV−22墜落事故に関する分析評価報告書」(以下「分析評価報告書」という。)においては、第二回目の離陸については、事故機を操縦していた副操縦士が、「風の状況を適切に把握しないまま、NATOPS飛行マニュアルで定められている回避すべき相対風領域・・・に入ったこと、機首が下がった際に機体の姿勢を水平に保つための適切な処置を行わなかったこと、NATOPS飛行マニュアルに定められた制限を超えてナセルを前方に傾斜させたこと、機長及び副操縦士が後方への操縦桿制御のマージンを適切に調整するよう操作しなかったこと等が複合的に重なったことが主たる事故原因」であると結論付けているところである。

五について

 お尋ねについては、政府として詳細は承知していないが、分析評価報告書においては、「経験が十分でない副操縦士の操縦に対して機長による追い風に関する適切な助言、指示がなかった可能性があること・・・も、影響を及ぼした要因であると考えられる」としているところである。

六及び七について

 お尋ねについては、政府として詳細は承知していないが、米側報告書においては、「NATOPS飛行マニュアル内に、追い風の中での離陸から巡航への移行に関する参照事項をほとんど見つけられなかった。・・・NATOPS飛行マニュアルに、何が許容可能で何が許容できないのかを明確に規定することを提言する(仮訳)」とされている。

八について

 政府として、お尋ねの「総飛行時間」及び「内訳」については承知していないが、分析評価報告書においては、御指摘の副操縦士のMV二二の飛行時間から判断すると、当該副操縦士は「経験の浅い操縦士であると推察でき、それにも関わらずリスクを伴う操作を行ったことが事故要因の一つである可能性があると考えられる」としているところである。

九について

 お尋ねについては、政府として詳細は承知していないが、分析評価チームがフロリダの事故について行った分析評価の結果を取りまとめた「フロリダにおけるCV−22墜落事故に関する分析評価報告書」においては、「一番機の高度の変更(一番機は左旋回時三百六十六フィートから三百三十六フィートへ若干降下した)が副操縦士の誤認識を助長した」などとされ、また、「機長は事故当時、副操縦士と同じような認識・・・をもっていた」としているところである。

十及び十一について

 MV二二の編隊飛行時における機体同士の相対位置の基準については、基本的にCV二二と同様である旨米国政府から説明を受けている。その他のお尋ねについては、政府として承知していないが、米国政府からは、フロリダの事故に関するものを含むCV二二の安全に係る全ての情報は米海兵隊と共有されており、米海兵隊においても、同種の事故を防止するため適切に対応しているとの説明を受けている。

十二について

 米海兵隊が実施したMV二二の配備に係る環境レビューにおいては、MV二二から生じる下降気流は公共の安全にいかなる問題も生じさせないと評価されていると承知している。

十三について

 MV二二とCV二二は同じ推進システムを有し、構造は基本的に共通していると承知しているが、CV二二については、より脅威度の高い環境やより過酷な気象条件での低高度飛行を遂行するため、対地追従レーダー、戦術通信システムなどの装備を有していると承知している。



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