衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十六年十一月十八日受領
答弁第六七号

  内閣衆質一八七第六七号
  平成二十六年十一月十八日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 伊吹文明 殿

衆議院議員長妻昭君提出GPIFにおける年金積立金の運用リスク等に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員長妻昭君提出GPIFにおける年金積立金の運用リスク等に関する再質問に対する答弁書



一について

 年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)の基本ポートフォリオの変更を含む中期計画の作成及び変更については、年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号)第二十条の規定に基づき、少なくとも五年ごとに行う財政検証の結果を勘案し、GPIFに設置されている運用委員会(以下「運用委員会」という。)の議を経ることとされており、本年十月三十一日に変更した基本ポートフォリオについて議論した運用委員会は、平成二十五年九月十七日、同年十月二十一日、同年十一月十八日、平成二十六年四月二十四日、同年六月二十日、同年七月十日、同月二十四日、同年八月五日、同年九月十九日、同年十月三日及び同月二十三日の計十一回開催されている。また、基本ポートフォリオの変更を含む中期計画の変更については、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三十条の規定に基づき、厚生労働大臣の認可に先立ち厚生労働省独立行政法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)の意見を聴くこととされており、評価委員会は平成二十六年十月三十一日に開催されている。運用委員会及び評価委員会における議論の具体的な内容については、市場への影響があることから、現時点ではお答えは差し控えたい。

二、三及び七について

 GPIFの基本ポートフォリオの変更については、「「日本再興戦略」改訂二〇一四」(平成二十六年六月二十四日閣議決定)において、「日本経済は、実質GDP成長率、雇用情勢、設備投資等の指標を見ても、力強さを取り戻しつつあり、物価動向を見てもデフレ脱却に向けて着実に前進し始めている」とし、また、「GPIFの基本ポートフォリオについては、本年六月に公表された「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し−平成二十六年財政検証結果−」を踏まえ、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済・運用環境の変化に即し、年金財政の長期的な健全性を確保するために、適切な見直しをできるだけ速やかに実施する」としているところであり、これらに沿って、GPIFにおいて、財政検証の結果を踏まえ、御指摘の名目賃金上昇率を下回る確率(以下「下方確率」という。)の推計も含む検討を行い、当該検討結果に基づく基本ポートフォリオの変更を含む中期計画の変更を厚生労働大臣が認可したところである。また、最近の経済環境については、平成二十六年十月七日の参議院予算委員会において内閣総理大臣が答弁しているとおり、現在デフレ状況ではないものと認識している。

四及び五について

 本年十月三十一日の変更後のGPIFの基本ポートフォリオ(以下「新基本ポートフォリオ」という。)の下方確率及び新基本ポートフォリオの運用環境の想定の下における変更前の基本ポートフォリオ(以下「旧基本ポートフォリオ」という。)の下方確率については、御指摘のとおりであり、基本ポートフォリオの変更によって、名目賃金上昇率から下振れするリスクは下がっている。

六について

 野村BPIとは、野村證券株式会社が作成している国内債券市場の投資収益指数であり、当該指数については、GPIFにおいて基本ポートフォリオの国内債券の標準偏差及び国内債券と他の資産との相関係数を算定する際に用いられていると承知している。
 お尋ねの下方確率については、基本ポートフォリオの期待運用利回り及び賃金上昇率を確率変数とする二次元正規分布の確率密度関数を基本ポートフォリオの期待運用利回りが賃金上昇率を下回る領域にわたって積分して算出したものであり、当該二次元正規分布は、基本ポートフォリオの運用利回りと賃金上昇率の期待値、基本ポートフォリオの運用利回りと賃金上昇率の標準偏差及び基本ポートフォリオの運用利回りと賃金上昇率との相関係数によって決まるものである。
 また、お尋ねの下方確率の推計の前提とした数値については、@新基本ポートフォリオの経済中位ケース、A新基本ポートフォリオの市場基準ケース、B旧基本ポートフォリオの経済中位ケース及びC旧基本ポートフォリオの市場基準ケースにおいて次のとおりである。
 基本ポートフォリオの運用利回りの期待値 @四・五七パーセント A四・〇八パーセント B三・五一パーセント C三・〇〇パーセント
 基本ポートフォリオの運用利回りの標準偏差 @十二・八パーセント A十二・八パーセント B七・〇パーセント C七・〇パーセント
 賃金上昇率の期待値 @二・八パーセント A二・一パーセント B二・八パーセント C二・一パーセント
 賃金上昇率の標準偏差 @一・九パーセント A一・九パーセント B一・九パーセント C一・九パーセント
 基本ポートフォリオの運用利回りと賃金上昇率との相関係数 @〇・一四 A〇・一四 B〇・一六九 C〇・一六九
 下方確率の算出方法については、GPIFにおいて、社会保障審議会年金部会に設置された年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会が平成二十六年三月十二日に取りまとめた「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方について(検討結果の報告)」を踏まえ、専門的な知見に基づき推計されたものであると承知しており、妥当なものであると考えている。

八について

 御指摘の全額国内株式で運用したと仮定した場合の下方確率については、新基本ポートフォリオの運用環境の想定下と旧基本ポートフォリオの運用環境の想定下とでは、経済中位ケースで一・二二パーセント、市場基準ケースで一・〇七パーセント異なっており、これは想定している運用環境の違いによるものである。

九について

 御指摘の全額国内債券で運用したと仮定した場合の下方確率については、新基本ポートフォリオの運用環境の想定下と旧基本ポートフォリオの運用環境の想定下とでは、経済中位ケースで四・〇九パーセント、市場基準ケースで三・二五パーセント異なっており、これは想定している運用環境の違いによるものである。

十について

 御指摘の資産構成割合とした場合における新基本ポートフォリオの運用環境の想定下における下方確率は、経済中位ケースで四十四・三パーセント、市場基準ケースで四十三・九パーセントであり、これは六についてでお答えした計算式等により推計した結果である。

十一について

 お尋ねについては、経済動向、各経済主体の行動等不確実な要素が多いことから、お答えすることは困難である。

十二について

 国家公務員共済組合連合会は、積立金の運用について自らの判断と責任の下で基本ポートフォリオを定め、それに基づき具体的な投資を行っており、今後、基本ポートフォリオの見直しを含め機動的に必要な検討が行われるものと承知している。
 また、現在、国家公務員共済組合連合会の株式運用比率は、平成二十五年度末実績で国内株式及び外国株式合わせて十六・六パーセントである。

十三について

 国家公務員共済年金に係る積立金については、国家公務員共済年金が現役世代に対する受給者の比率が比較的高いことを踏まえ、満期及び元利払いの金額が確定している国内債券への投資をより重視するとの考え方に基づき、国家公務員共済組合連合会がその運用方針を定めていることから、GPIFが運用を行う厚生年金保険及び国民年金に係る積立金と比較して株式比率が低くなっているものと承知している。



経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.