答弁本文情報
平成二十七年三月十七日受領答弁第一二〇号
内閣衆質一八九第一二〇号
平成二十七年三月十七日
衆議院議長 町村信孝 殿
衆議院議員本村賢太郎君提出福島近隣県における甲状腺検査の実施等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員本村賢太郎君提出福島近隣県における甲状腺検査の実施等に関する質問に対する答弁書
一について
「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」において平成二十六年十二月に取りまとめられた「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議中間取りまとめ」(以下「中間取りまとめ」という。)においては、福島県以外の地域の放射性ヨウ素による被ばくについて「福島県内よりも福島近隣県の方が多かったということを積極的に示唆するデータは認められていない。」とされていることから、福島県の近隣県における今後の施策の方向性について「まずは福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の状況を見守る必要がある。その上で、甲状腺がんに対する不安を抱えた住民には個別の健康相談やリスクコミュニケーション事業等を通じてこれまでに得られている情報を丁寧に説明することが重要である。」とされている。
福島県の近隣県における市民の不安を払拭していくためには、政府としては、福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の状況を注視するとともに、平成二十七年二月に公表した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」に従い、「福島近隣県における既存のリスクコミュニケーション事業の内容を充実させるとともに、福島県及び福島近隣県の各地域の状況や自治体としての方向性を尊重し、地域のニーズに合ったリスクコミュニケーション事業の推進」に取り組むことが適切と考えている。
県民健康調査「甲状腺検査」の実施主体である福島県においては、受診の機会を確保するため、受診勧奨の実施や休日検査の試行的な実施等の取組を行っていると承知している。政府としては、福島県が行うこれらの取組を支援することが重要と考えている。
御指摘の「甲状腺結節性疾患有所見率等調査」において、我が国における十八歳以下の者の甲状腺結節性疾患に関する有所見率等の知見が得られたことから、御指摘の「三県調査又はその他の地域の調査」を継続的に行っていく必要性はないと考えている。
中間取りまとめにおいては、「今般の原発事故による放射線被ばく線量に鑑みて福島県及び福島近隣県においてがんの罹患率に統計的有意差をもって変化が検出できる可能性は低いと考える。」及び「今般の事故による住民の被ばく線量に鑑みると、不妊、胎児への影響のほか、心血管疾患、白内障を含む確定的影響(組織反応)が今後増加することも予想されない。」とされており、世界保健機関や原子放射線の影響に関する国連科学委員会においても同様の評価が行われている。
このことから、政府としては、御指摘の「医療費の支給」については考えておらず、まずは福島県及び福島県の近隣県における疾病罹患動向を把握していくべきと考えており、また、お尋ねの「一般的にどのような場合に東京電力原子力事故に係る放射線の被ばくに起因する健康被害が生じたと推定するのか」について、一般的にお答えすることは困難である。