答弁本文情報
平成二十七年四月七日受領答弁第一七八号
内閣衆質一八九第一七八号
平成二十七年四月七日
衆議院議長 町村信孝 殿
衆議院議員郡和子君提出死因究明等の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員郡和子君提出死因究明等の推進に関する質問に対する答弁書
一について
警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(平成二十四年法律第三十四号)第九条の規定に基づき、警察署長が関係行政機関に通報した件数は、同法が施行された平成二十五年四月一日から同年十二月三十一日までの間においては四十八件、平成二十六年においては百五件であり、例えば、その中には、工事現場等における作業中の事故死について労働基準監督署に通報したもの等が含まれていると承知している。
また、同法第十二条において読み替えて準用する同法第九条の規定に基づき、海上保安部長等が関係行政機関に通報した事例は、平成二十五年四月一日から平成二十六年十二月三十一日までの間においては、ない。
「死因究明等推進計画」(平成二十六年六月十三日閣議決定)に掲げられた「死因究明等に関する関係府省庁間の施策の管理・調整等を行う体制」として、「当面の死因究明等施策の推進について」(平成二十六年九月十六日閣議決定)において、失効前の死因究明等の推進に関する法律(平成二十四年法律第三十三号)第八条第一項に規定する死因究明等推進会議の会長及び委員を構成員とする会議を開催することとしている。
同会議の庶務は、関係省庁の協力の下で内閣府に置かれた死因究明等施策推進室が処理しており、関係省庁との間で連絡会議を開催するなど、「死因究明等推進計画」に掲げられた各施策の実施の推進に資するための取組を行っている。
「死因究明等推進計画」に掲げられた「死因究明等推進協議会(仮称)」については、関係府省庁が連携して、地方公共団体等に対して情報提供等の支援を行いながら、その設置及び活用に向けた協力を求めているところであり、今後も、地方における自主的な取組を促してまいりたい。
警察庁としては、司法解剖を実施する機関(以下「実施機関」という。)により契約単価等に大きな開きが見受けられたため、司法解剖の全国的な斉一性を確保する観点から、解剖を実施する法医学者等から構成される特定非営利活動法人日本法医学会(以下「法医学会」という。)と協議し、契約単価等の基準を定めた上で、都道府県警察に対し、これを参考としつつ、各実施機関における検査の実態を考慮した適正な価格で契約するよう指導している。
いずれにせよ、警察庁としては、司法解剖が適切に実施されるよう、各実施機関の実態を踏まえた解剖経費の確保に努めているところである。
お尋ねの「外部の有識者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、警察庁としては、司法解剖の全国的な斉一性を確保する観点からは、法医学会と協議を行うことが適当であると考えている。
お尋ねの「検査経費の多寡が死因究明の精度に与える影響」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、司法解剖に必要な検査項目等は、個々の死体ごとに異なることなどから、お答えすることは困難である。
大学における法医学に関する講座は法医学に関する教育及び研究を担う等の目的で設置されており、文部科学省としては、これを死因究明に係る独立した鑑定機関とすることは考えていないが、今後、法医学に係る教育及び研究を担う大学と各種検査の実施を行う都道府県警察の科学捜査研究所との連携を強化する等の取組を推進してまいりたい。