答弁本文情報
平成二十七年五月二十九日受領答弁第二三五号
内閣衆質一八九第二三五号
平成二十七年五月二十九日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員鈴木貴子君提出アイヌ民族に係る歴史教科書の記述等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木貴子君提出アイヌ民族に係る歴史教科書の記述等に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の報道については承知している。
アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成九年法律第五十二号)附則第二条の規定により廃止された北海道旧土人保護法(明治三十二年法律第二十七号。以下「旧土人保護法」という。)は、困窮に瀕していたアイヌの人々に対し、土地を無償で下付し、農耕を奨励するなどアイヌの人々の生活の安定を図ることを目的として制定されたものである。
政府としては、「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書(平成二十一年七月)において「近代国家形成過程の中で、土地政策や同化政策などにより、先住民族であるアイヌの文化は深刻な打撃を受けたといえる。」と指摘されているものと承知している。
御指摘の申請図書の記述については、教科用図書検定調査審議会において調査審議が行われた結果、旧土人保護法には、アイヌの人々の土地を取り上げるという趣旨の規定は存在しないことから、記述の欠陥として「生徒が誤解するおそれのある表現である。(旧土人保護法の趣旨)」との検定意見を付すことが適当であるとされた。これを受け、文部科学省は、当該検定意見を申請者である日本文教出版株式会社に対して通知した。
御指摘の申請図書の記述に関し、申請者である日本文教出版株式会社から提出された修正後の記述について、教科用図書検定調査審議会において調査審議が行われた結果、必要な修正がなされたと判断されたことから、「生徒が誤解するおそれのある表現である。(旧土人保護法の趣旨)」という記述の欠陥は解消されたものと考えている。